LA旅日記(その4) | 沖野修也オフィシャルブログ Powered by Ameba

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Kyoto Jazz Massive 沖野修也 Official Blog

ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールから
5分も歩かない場所に
LAのMOMAと呼ばれる?
現代美術館(MOCA)があったので
寄ってみた。

メインの展示は
『DESTROY THE PICTURE』
という企画で、
http://www.moca.org/museum/exhibitiondetail.php?&id=461
文字通り、
キャンバスを
割いたり
焼いたりした
破壊

表現に
フォーカスされていた。

1949年から1962年までに作られた
第二次世界大戦後の
精神の危機を訴える
攻撃的な抽象画が
100点程展示されていたのだが、
その中には、
白髪一雄、
村上三郎、
嶋本昭三、
吉原通雄といった
具体美術協会
(2ヶ月程前まで国立新美術館で回顧展をやってましたね)
http://ja.wikipedia.org/wiki/具体美術協会
のメンバーでもある
日本の作家達の作品も含まれている。

彼等の作品も興味深かったけれど、
何よりも僕の心にひっかかったのは
壁面に
展示ではなく
レイアウトの一部として
引用され
メッセージ的に掲載されていた
白髪一雄の一言だった。

AS TOTALITARIANISN HAS LOST IN THE FIELD OF POLITICS,
SO SHOULD THE TOTALITARIAN
WITHOUT FREEDOM DISAPPEAR IN THE FIELD OF CULTURE

(全体主義が政治の分野で敗北したのだから、
自由のない全体主義者は文化の分野からも消え去るべきである)

戦争が終わったというのに
彼が感じた圧迫感、
或は恐怖とは何だったのだろうか?

僕には
それが過去の事とは思えない。

福島原発の爆発を
広島や長崎の原発と結び付けて
僕達が置かれている状況を"戦後"と評する人もいるが、
現在は果たして"戦後"なのだろうか?

食べて応援
とか
瓦礫拡散に
異論を唱えると
非国民と
非難される国に僕は住んでいるのだ・・・。

フランク・ゲイリーを観て
舞い上がった僕の心は
突如としてコントロールの効かなくなった
ゲイラ・カイトのように
無軌道に旋回を繰り返し
重力の中心に向って心中するかのように
急降下してしまった。

気を取り直して
展示を観て回ると
面白い作品に遭遇し
僕の好奇心が若干回復する。

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LEE BONTECOUの"UNTITLED(1962年)"。

写真では判りにくいけど、
半立体の作品で
凹凸のある抽象画。

60年代に作られたにも関わらず、
SF映画の廃墟を思わせる。

それは、
何かの部品なのか?

それとも、
何処かへの入り口なのか?

もしかすると
それは身体の一部なのか?

僕はこうした
デザイン的にも
視覚の快感を刺激し、
尚かつ、
ものの価値を
無化したり
逆転させる
自由な芸術が好きだ。

意味なんてどうでもいい。

自分の心が解き放たれるのを
感じられるかどうか。

それにしか興味がない。

だから
誰それが褒めたとか
何とかの賞を受賞したかどうかなんて
関係ない。

その作品が訴えかけてくるものが
僕の心に響くかどうかが肝心なのだ。

何気ない
寄り道で
覗いてみた
MOCAだったけれど
思わぬ収穫があったな。

帰りにミュージアム・ショップで
Julius Shulmanの"Los Angels"という本を買った。

僕が好きな写真家が撮影した
古き良き時代のLAの建築集。

http://www.amazon.com/gp/product/1606060791/ref=pd_lpo_k2_dp_sr_1?pf_rd_p=1278548962&pf_rd_s=lpo-top-stripe-1&pf_rd_t=201&pf_rd_i=0847835480&pf_rd_m=ATVPDKIKX0DER&pf_rd_r=1PYT722APY5TCJ32ARA9

展覧会カタログにも惹かれたけど、
重いし、
後からamazonで注文すれば良いかなと・・・。

MOCAを出て
THE STANDARD DOWNTOWNのルーフ・トップで
軽くつまんで
一杯ひっかけ
MOCAの近くに戻って
TAXI乗り場で車を拾って
でホテルに戻った。

なかなか充実した一日だった。

僕は
お土産の写真集のページを

気まぐれにめくってにては
明日の行き先の
ヒントを探す。

完全にモードは建築巡礼だ。

前日に続いて
MARK DE CLIVE-LOWEがおススメの
ナイト・スポットをメールしてくれていたけれど
僕は外出を躊躇していた。

ダウンタウンからタクシーで45ドルもかけて戻って来て
(行きも45ドルかかっている)
サンタモニカに出て行くとまた往復で
80ドル位かかってしまう。

それに、
帰りにタクシーを拾える保証はない。

LAでタクシーは基本的に流していないから。

やはり、レンタカーを借りるべきだったなぁ・・・。

僕は開けていたカーテンを閉める為に
窓際に近付いた。

斜面に高級住宅が立ち並ぶ
丘陵(というか小高い山)を
ふと
見上げた時の事だ。

僕は
とんでもないものを見つけてしまった。

その山頂には、
今、僕が写真集の中で
ここに行けたらなぁと思って眺めていた
CASE STUDY HOUSEの22番が見えているではないか!

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こんな偶然って有り得るのだろうか?

泊まりたかった
THE STANDARDのDOWNTOWNが一杯で
THE STANDARDのHOLLYWOODを予約。

フランク・ゲイリーの建築を見に行ったついでに
ふらっと、美術館に立寄り・・・。

そこのミュージアム・ショップで買った写真集
に収められた歴史的な実験住宅が、
ホテルの正面にある山の頂きに見えている(笑)。

僕は、すぐさまWEBを検索し、
内覧できるツアーがある事を見つけ出した。

行くしかない!

僕はスケジュールと予約フォームを探した。

あまりの興奮に
指先が震えている。

しかも、
こういう時に限って
PCがフリーズする。

僕は再起動している間に、
もう一度
窓際に駆け寄った。

これは夢じゃない。

サイレンもクラクションも何も
その夜は
僕の耳には届かなかった。

(つづく)