毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

 今回の兼題は「万緑」でした。国語の授業で俳句のところになると必ず引用される「万緑」の有名な句があるので、ほとんどの人が聞いたことのある季語だと思いますが、「万緑」を説明するのはなかなか難しいものです。“夏の山野をおおう植物の満目の緑をいう”などと説明されても、そうかなと思うだけで、「万緑」の言葉の力強さを説明し切れていないようにも感じます。結局、わたしの頭の中では、“吾子”と白い“歯”のイメージで「万緑」を捉えています。

 

 万緑やLGBTQ+のパレード来

(ばんりょくや えるじーびーてぃーきゅーの ぱれーどく)

 

 「万緑」では今までにも詠んだことはありましたが、「万緑」の言葉自体が持つ力が強過ぎるので、いつも困ってしまいます。万緑自体を詠むにしても、私の貧弱な語彙ではその強さを表現し切れないですし、取り合わせで詠むにしても、持って来るものに相当の力がないと「万緑」と吊り合いが取れません。やっぱり“吾子”と白い“歯”は偉大だなあと感心と諦めを繰り返していたのですが、これまでと同じように過去のものから探し出そうとするのではなく、最近の新しいものの中から見つかるのではないかと発想の転換をしたところ...見つかりました。日本語ではなく、カタカナの外来語でもなく、アルファベットの言葉です...LGBTQ+。アルファベットを句に詠み込むのは初めてです。

 セクシュアルマイノリティ(性的少数者)全般を指す言葉として近年広く使われるようになりました。英語の頭文字を並べた造語なので文字だけだと分かり難いところがありますが、パレードを見れば直ぐに分かります。イメージがレインボーカラーというところも「万緑」に負けないぐらいの力強さがあります。そもそもパレード自体が明るさと楽しさで溢れています。これまでの過去の苦しい時代があって、それを乗り越えたという本物の強さが伝わって来ます。人の多様性を理解して受け入れ、一人ひとりを大切にするという当たり前の考え方が、これからも毎年、万緑が世の中を覆うように、LGBTQ+の思想も広がり続けてほしいと思います。

 

 わたしが最初に耳にしたのは“LGBT”でしたが、その後“Q”が加えられて“LGBTQ”となり、この句を詠もうとして調べてみたら、さらに“+”がプラスされて “LGBTQ+”となっていることに気が付き、そして日々進歩していることに驚きました。でも、“+”まで入れると音数がオーバーしてしまいます。それに今後も文字が追加されて行くことも十分考えられます。仕方がないので、今回は“LGBTQ+”の“+”を無発音で詠むことで中七音としていただきたいと思います。俳句の基本からずれるのではないか、と厳しい考え方もあるかと思いますが、これも多様性として受け止めてもらえると嬉しいです。