毎週日曜の朝に「NHK俳句」という番組が放映されています。これまでも時々見てはいたのですが、私も番組に合わせて、下手でも一句ずつ作ろうかと思うようになりました。できるだけ続けていこうと思います。

 

 今回の兼題は「辛夷」でした。モクレン科の落葉高木で、六弁の大きな白色の花が咲きます。うちの庭にも一本立っていて、毎年花を咲かせてくれます。花が白いハンカチーフのように見えて、この花が咲けばもうしっかり春が来たんだと確信し、冬物の洋服をクリーニングに出すことにしています。

 

 辛夷咲く日がなカーテン開けしまま

(こぶしさく ひがなかーてん あけしまま)

 

 うちの辛夷の木は事務所便りで数え切れないほど紹介して来ましたので、「辛夷」の句も過去に詠んだことがあると思い込んでいたのですが、今回が初めてでした。紹介はしていたけれど、俳句で登場したことはなかったということで、自分でも少々驚きでした。

 うちの辛夷は庭の南東の隅に立っています。隣の家の庭に最も近いので、秋の落葉の頃はその始末に大変でした。いくらかはお隣さんのほうへ落ちてしまったはずです。リビングからこの辛夷を見ると、丁度テレビを置いている方向になるので、意識をしていないのですが、自然と目に入って来ることになります。冬の間は日も短く、カーテンを閉めている時間も長いので辛夷の木を思い出すことはほとんどないのですが、春の到来を感じる頃になると一日一日と葉っぱが出て来て、そして蕾ができて、吹く風が暖かくなるとその風に応えるように白い花が咲き出す姿を眺めることができます。春の柔らかい陽射しを部屋に取り入れるようにカーテンを広く開けているところにこの白い花が見える光景は、うちの庭の春の姿を最もよく表しているかも知れません。週末、自宅で過ごす時、終日この辛夷を眺めていると、庭の前の道を往く近所の人も見上げており、多くの人に見てもらっているようです。コロナ禍で在宅勤務が始まったのですが、お蔭で平日でも辛夷の花を観賞できるようになりました。秋の落葉は大変ですが、この光景を楽しめるのであれば、それも許せそうです。

 

 これまで毎年花を咲かせていた辛夷ですが、今年はこの時期になっても咲いていません。枝のあちこちに小さな緑色の巻き葉が出て来てはいるのですが、白い花の蕾はどこにも着いていないようなのです。花が咲き出すとこの緑色の小さな葉っぱが花の直ぐ側に出て来るそうなので、もしかすると今年は花が咲かないかも知れません。去年の秋から冬にかけて剪定したのですが、枝を落とし過ぎたようです。窓からの風景が寂しくて残念ですが、今年は諦めて来年に期待しようと思います。