『会報 20166月号』(発行:東京都社会保険労務士会)より

 

労働契約法の改正(平成254月)によって、条件を満たす有期契約労働者が無期労働契約を申し込んだ時は労働契約が有期から無期に変更できる、いわゆる無期転換ルールが導入されました。通算契約期間の計算からすると、最初にこのルールが適用されるのが平成304月となることは先週の記事でも紹介したとおりです。

会社としては、この無期転換権が発生するまでに有期契約労働者の状況を把握し、対応方針を決めておく必要があります。会報に、無期転換ルールを導入するに当たっての手順や留意点などについての説明記事が掲載されていましたので、要旨をまとめてみました。

今回は、無期転換ルールのパターンについてです。

 

2.無期転換ルールのパターン

(1)無期転換ルールを導入する場合

 パターン1:無期転社員雇用区分の新設

無期転換社員用の就業規則の作成が必要となります。無期転換した従業員の雇用区分が単独で、就業規則も無期転換社員用となります。

 パターン2:雇用区分が変更となり、就業規則に適用除外の項目が必要

変更となった雇用区分の就業規則が適用されます。元の雇用区分において勤務地や職種が限定されており、かつ継続する場合は、関連する事項に関しては適用除外とします。

 パターン3:雇用区分が変更となり、就業規則に適用除外の項目なし

変更となった雇用区分の就業規則等の労働条件が、全て適用となります。

 パターン4:雇用区分の変更がなく、別段の定めあり

無期転換してもパートタイマー雇用区分・フルタイム有期契約労働者雇用区分に留まりますが、別段の定めを設けて一部の労働条件の変更を行ないます。

 パターン5:同一区分で、別段の定めなし

無期転換しても、パートタイマー雇用区分・フルタイム有期契約労働者雇用区分に留まり、かつ期間の定め・定年年齢以外の労働条件の変更は行いません。

(2)無期転換ルールを適用しない社員がいる場合

 パターン6:無期転換ルール適用なし

無期転換ルールを適用しない場合、雇用契約書等及び就業規則等において更新回数の上限、または通算契約期間の上限を定める必要があります。更新手続きに不備があったり、上限を超えて雇用が継続することを期待する言動があったりした場合など、雇用継続に対する合理的な期待があったと見なされる可能性があり、注意が必要です。

 

 

次回は、パターン別規程の変更についてまとめます。

 

 



 

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