2011年6月2日 中央支部 研修会より

 

労働保険 - 年度更新業務の注意点(1)

 

去る6月2日(木)に、東京都社会保険労務士会の中央支部で開催されました研修会に出席してきました。テーマは「労働保険の年度更新業務の注意点」と「標準報酬月額に係わる算定基礎届の作成のポイントと注意点」でした。今ちょうどこれらの業務で忙しい時期ですし、今年度として注意すべき点がいくつかあります。研修会で学んだ内容をまとめてみましたので、参考になれば幸いです。

 
こちら休日社労士Web事務所-労働保険_年度更新_申告書の書き方
 

Ⅰ.労働保険の年度更新業務の注意点

1.保険料の納付

(1)労働保険対象者

基本的な考え方は、労働の対償として賃金を受けるすべての人が対象です。事業主は対象になりません。また、事業主と同居している親族も対象外です。ただし、実態として労働関係が成立している場合は対象となります。

事業縮小により労働者を解雇して、同居親族だけの営業であったところ、労災事故で傷害を負ってしまいましたが、年度更新を行っていなかったため不必要な保険料を納めながら、さらに保険対象外となり保険金も受けられなかったという残念なこともあったそうです。少なくとも年度更新をしておけば防げることですので、年度更新は大切ですね。

法人の役員は労災保険の対象となりません。ただし執行役員については、賃金や労働時間の拘束など労働の実態によって判断されます。グレーゾーンについてはハローワークに問い合わせることで確認できます。証明書も発行してくれるそうです。

出向労働者については、出向先で対象労働者として適用されます。賃金は、出向元で支払われているものも含めて、出向先で合計して計算します。

 

(2)算定基礎賃金集計表

算定基礎賃金集計表を記入することで、保険料申告書の基礎となる賃金総額が計算できます。賃金総額は千円未満切り捨てです。

通勤手当は賃金の範囲に含まれます。このことを聞くといつも納得がいかないのですが、私だけでしょうか。

パート、アルバイトなどについては雇用保険の被保険者とならないため、別欄の「臨時労働者」に記入します。

常時労働者数は年度間合計を12で割った人数です。端数が出た場合は切り捨てます。ただし1人に満たない場合は切り上げて1人とします。0人だと処理途中で、計算エラーとなってしまうそうです。

 

(3)保険料申告書の記入にあたって

高齢者は雇用保険料が免除となります。昭和21年4月1日までに生まれた人は、平成22年度の確定保険料が免除されます。

事業又は作業の種類」の欄には事業の内容・作業の種類を記入します。労災保険は事業の種類ごとに54に区分されて労災保険料率が決められていますので、こちらとの整合性に注意してください。

保険料とともに、一般拠出金も計算します。料率は1,000分の0.05(10万円で5円)です。保険料額および一般拠出金額の1円未満の端数は切り捨てです。条件を満たせば3回に分けて分納できます。3で割って余りが生じた場合は必ず第1期分に加算(1円または2円)します。間違うとたった1円や2円でも未納扱いとなりますので注意が必要です。

千円未満切り捨てたり、1円でも違わないように加算したりで、おおざっぱなのか厳密なのかよくわからないところが徴収法の特徴ですね。

次回は、「労働保険の年度更新業務の注意」の続きとして、過払い時の還付と一括有期事業の申告についてまとめます。

 

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