GPファイナル進出者の不均等 ? | フィギュアスケート研究本

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http://number.bunshun.jp/articles/-/764232

選手選考で混乱したGPファイナル。
見所は独走・浅田とチャンvs.日本勢。


田村明子 = 文

text by Akiko Tamura

photograph by Asami Enomoto

2013/11/28 10:30 Number Web

 GPシリーズ最終戦、ロステレコム杯が11月24日に終了し、福岡市で12月5日から開催されるGPファイナルに出場する選手の顔ぶれが出揃った。

 全体を通してみると、3戦目の中国杯の男女シングルの結果がもっとも予想外で、全体のファイナルの顔ぶれに影響を与えることになった。

トップを独走する浅田真央に迫るのは誰なのか?

 女子ではスケートアメリカとNHK杯で連勝した浅田真央が、いち早く進出を決めた。今シーズン、ずっと安定した演技を見せてきた浅田は、いよいよスケーターとして円熟し、滑りに貫禄を感じさせるようになってきた。彼女が現在のところトップを独走し、ほかの女子が彼女を追う形になっている。

 大方の予想に反して、6人中ロシアの若手が4人を占めるという結果になった。その中でも福岡での浅田の最大のライバルは、15歳のユリア・リプニツカヤになるだろう。ルッツで3+3のコンビネーションを跳び、サーカスのパフォーマンス並みの柔軟性で見せる「キャンドルスピン」は彼女にしか出来ない技だ。

歴代3位のスコアを出したロシアのリプニツカヤ。

 ロステレコム杯ではリプニツカヤはSPで72.24と、キム・ヨナ、浅田真央に続く歴代3番目の高スコアを手にした。まだまだ滑りにジュニアっぽさが残るものの、演技が安定しているだけに試合のたびにジャッジの出す演技構成点は上がってきている。福岡でリプニツカヤがメダルを手にすれば、ソチ五輪でも怖い存在になってくることは間違いない。

 昨シーズンはGPファイナルに進出したものの、怪我で欠場。浅田と彼女が顔を合わせるのは、昨年の中国杯以来のことである。

 米国のアシュリー・ワグナーも、演技が安定している選手だけにメダル候補からははずすことができない。

 特にロシアのティーンネイジャーたちと同じ氷の上に出たとき、彼女のシニアらしい貫禄と表現力が改めて評価されることになる。ジャンプミスが出なければ、若手を退けることができるだろう。

高得点でもファイナル進出を逃した鈴木明子。

 中国杯で、ベテランのカロリナ・コストナーの不調をついて優勝したのはロシアのアンナ・ポゴリラヤだった。このポゴリラヤと、アデリナ・ソトニコワの2試合の合計スコアは、実は今回ファイナル進出を逃した鈴木明子よりも10ポイント近く低い。

 だがスケートカナダ2位、NHK杯3位だった鈴木の順位点は、1位と3位だったポゴリラヤ、2戦とも2位だったソトニコワよりも下になる。今回に限ったことではないものの、試合によって選手の実力がある程度不均等になることは避けられない。

 試合の順位点(1位15ポイント、2位13ポイント、3位11ポイント)ではなく、演技の合計スコアの高さでトップ6人を選ぶべきではないか――という声が絶えないのはそういう理由だ。

ファイナル最大の見所、チャンvs.日本勢。

 男子では、世界王者のパトリック・チャンがスケートカナダとフランス杯で優勝して、最初に進出を決めた。

 フランス杯ではSPで98.52、フリーで196.75、そして総合で295.27と、凄まじいまでの高得点ですべての歴代スコアを更新。本人も、「これ以上の演技はできない。あとはこれを五輪で繰り返すことができるかどうかが勝負になる」と語ったほどの迫真の演技だった。そのチャンに日本勢が挑戦することになる。

 高橋大輔はスケートアメリカで不調な演技で表彰台を逃し、4位スタートとファンを心配させた。だがNHK杯では日本のエースらしい、風格溢れる演技で優勝。こうして周りをハラハラさせながらも、肝心の場面でドラマを見せてくれるのは、彼のスター性の一部なのかもしれない。今シーズン、彼とチャンが顔を合わせるのは初めてのことである。

 またスケートアメリカとロステレコム杯で連勝し、日本勢の中でトップの成績でファイナルに進出した町田樹も、初のGPタイトルを目指してくるだろう。

 昨シーズンは後半に調子を崩した町田だが、今シーズンはおそらく周到に調整をしてくるに違いない。

 昨シーズンGPファイナル2位だった羽生結弦は、カナダとフランスでどちらもチャンに次いで2位という成績でファイナル進出となった。今季はまだ彼らしいベストな演技ができていないだけに、ファイナルに賭ける意欲も高いに違いない。

求められる各大会におけるレベルの均一化。

 今回はファイナル初進出の若手が2人入った。ロシアの18歳マキシム・コフトゥンは、ロステレコム杯のSPではトウループとサルコウの4回転を成功させ、92.53という歴代4位の高得点を出した。中国杯に続いてここでも2位となり、進出を決めた。

 また小塚崇彦の不調をついて中国杯で優勝したハン・ヤンは、フランス大会では4位だったが、ファイナルに初進出した。

 女子やペアでも同じことが起きているが、ヤンの場合、2試合の合計スコアだけを見ると、459.85で今季のGP大会男子の中では10位である。どのGP大会でも優勝すれば自動的に15ポイントの順位点がもらえるが、優勝者の演技のレベルは大会によってかなりのばらつきがあることも珍しくない。現在のファイナル進出ルールに改正の必要はないのかどうか、今一度考えさせられる一例だった。

アイスダンスとペアにも注目!

 その点、もっともすっきりした6組が揃ったのは、アイスダンスだっただろう。

 米国のデイビス&ホワイト、カナダのヴァーチュー&モイア、ロシアのボブロワ&ソロヴィエフ、フランスのペシャラ&ブルザ、カナダのウィーバー&ポジェ、そしてイタリアのカッペリーニ&ラノッテの6組は、現在の時点では文句なしに世界トップ6チームと言える。GP6大会2試合で、この6組を超える合計スコアを出したアイスダンスチームは他になく、五輪メダリストもこの中から生まれることは間違いない。

 ペアはジャンプがある分、アイスダンスよりも大会ごとの成績の変動が激しいと言える。最大の焦点は、今シーズン絶好調のヴォロサザール&トランコフに、過去4回世界タイトルを手にしてきたドイツのサフチェンコ&ゾルコーヴィがどこまで迫ることができるかだろう。

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 『ポゴリラヤと、アデリナ・ソトニコワの2試合の合計スコアは、実は今回ファイナル進出を逃した鈴木明子よりも10ポイント近く低い。

 だがスケートカナダ2位、NHK杯3位だった鈴木の順位点は、1位と3位だったポゴリラヤ、2戦とも2位だったソトニコワよりも下になる。今回に限ったことではないものの、試合によって選手の実力がある程度不均等になることは避けられない。

 試合の順位点(1位15ポイント、2位13ポイント、3位11ポイント)ではなく、演技の合計スコアの高さでトップ6人を選ぶべきではないか――という声が絶えないのはそういう理由だ。』


鈴木選手が二大会、表彰台だったにもかかわらず、ファイナルに進出できなかったのは、こういうからくりからだったのですね。

出た試合と、選手たちのレベルによって、順位は微妙に変わりますので、こういう現象が起きてしまった訳です。

エレーナ・ラジオノワ選手が、今季14歳にしてシニアに参戦してきた事で、ファイナルの席を一つ少なくした事が、また不利になったもう一つの原因かもしれませんが……。

 『女子やペアでも同じことが起きているが、ヤンの場合、2試合の合計スコアだけを見ると、459.85で今季のGP大会男子の中では10位である。どのGP大会でも優勝すれば自動的に15ポイントの順位点がもらえるが、優勝者の演技のレベルは大会によってかなりのばらつきがあることも珍しくない。現在のファイナル進出ルールに改正の必要はないのかどうか、今一度考えさせられる一例だった。』

高橋選手の欠場により、ファイナルへ進出しましたが、織田選手も表彰台に二試合とも上がりましたが、ファイナル進出を逃しましたよね。同じからくりのようです。

日本人3人も同じ試合に出しては駄目でしょう。日本人同士潰しあった気がします。

特に五輪シーズンですから、この不均等が、ファイナルに進出出来たか出来なかったという判断で、五輪代表に影響が出る事もあるかもしれません。

なので、GPで取った得点も考慮に入れて上げて欲しい所です。

確か、得点も考慮するという項目もありましたが、ファイナルでの表彰台に立つ事の方が、五輪選考に大きな影響があります。

しかしファイナルに進出できなかった時点で、このファイナルでの表彰台も絶たれてしまいますからね……。

後は全日本で、すぱっと良い演技をするしかないでしょう。

しかし、ファイナルに出ていない分だけ、良い演技をしなくてはと緊張してしまう、プレッシャーで重圧がかかるとミスを誘発しかねない状況かもしれません。

去季の全日本の男子がそんな感じでしたよね……。

全日本では、全員が悔いのない演技を出来て、その上で実力通りで五輪代表が決まる事を願っております。(。-人-。)




↓出る皆さま、ファイナル頑張ってください。☆-( ^-゚)v


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