フィギュアスケート全日本選手権レポ | フィギュアスケート研究本

フィギュアスケート研究本

フィギュアスケートの未来を考える同志が集う場所です

スケヲタ竹子のフィギュアスケート全日本選手権レポ【2日め・男子フリー】

実は、スマホよりもPCよりもフィギュアヲタの竹子です、こんにちは。

 12月23日~25日に大阪・なみはやドームで開催された全日本選手権のディープなレポートをお届け中でつ!

 ※以下、スケヲタ以外にはイミフな内容かと思います。ご容赦ください。

第二日は、女子のSPと男子のフリーなどが行なわれました。
 男子フリーで印象に残った選手の演技について、滑走順にご紹介します。

●近藤琢哉選手(慶應大学2年、曲は『スラブ行進曲』)
 ジャンプは3Lz-3T、3Lo-2T、2F、1A、3Lo、2Lz、3Lo、イーグルから3S。雄大なクラシックに、パワフルな滑りがあってた。力で無理矢理持っていく系のジャンプだけど……。身体全部を使って大きな動きの振り付け、これをステップも見ごたえあり。赤のベルベットに金の刺繍が効いたゴージャスな衣装もステキです。

●宮崎勇人選手(関西大学4年、曲は『アディオス・ノニーノ』)
 ジャンプは3S、2A-2T、2T-1T、2Lz、3S、3T-1T、2F、2A。癖がなく、体のラインがきれい。優雅な動きも、タンゴらしいキリッとしたポーズもさまになる。スピンのポジションがお手本のように美しく、北米の選手みたい!

●木原龍一選手(中京大学1年、曲は『バイオリンコンチェルト(チャイコフスキー)』)
 ジャンプは3Lzお手つき-2T、流れのある2A、3Lo、3Sステップアウト、3Lz、3S-2T-2T、3F、2A。
 ジャンプは癖がなく、流れがいい。スピードも最後まで落ちませんでした。
 エレメンツ間の曲想を表現する振り付けの時間が、魅了されてしまうほどちゃんと表現できている。最後のコレオステップは情感がこもっていてすばらしい。感動しました。会場の拍手も多かったです。

●吉田行宏選手(関西学院大3年、曲は『ロミオとジュリエット』)
 ジャンプは3Aステップアウト、1F、3Lz、3S、3F-2T、3T-2T、3S-2T-2Lo、2A。3Aと1F以外はパーフェクト。吉田選手のジャンプは大きく流れがあり、上がってから回るディレイの上質なもの。ほれぼれします。
 表現力はさ・す・が。緩急をつけて、ロミオの情熱を表現してました。

 ぜひこういう演技をテレビで放送して欲しいものです。
 しかし、放送権をもつフジテレビは、フリー第1・2グループの12人の選手の間、カメラすら回していません。
 放送権をもつ局なら、全員分を録画して放送するのが義務だと思いますし、スケヲタも選手もそれを望んでいるはず。地上波でやってと言っているわけではありません。有料のCS放送でいいのです。今後の改善を強く求めます。

●小沼祐太選手(日本大学1年、曲は『犬夜叉』)
 ジャンプは2Lz、2A、3S-2T、3T-2T、3S、3T、2A、2Lz-2T-2T。スピードが最後まで落ちず、ジャンプに流れがある。癖がなく、さわやか~な印象の演技でした。スキですよ。

●無良崇人選手(中京大学3年、曲は『ブエノスアイレスの冬』)
 ジャンプは4T、3Lz-2T、3A、3Lz、3A-2T、3S、1Lo、3F。いきなりの4回転トーループで会場盛り上がりました。
 つなぎや凝った振り付けはなく、ジャンプを跳びやすいプログラム構成。また、体力のある前半にジャンプを固めています。それでも無良選手の最大の魅力はジャンプなので、この戦略はイイと思いますよ!

●佐々木彰生選手(明治大学3年、曲は『paka mokuba』ほか)
 ジャンプは3A転倒、3lz-2T-2T、2Lo、2T-3T転倒、3S転倒、片手上げ3F転倒、3Lz-3T回転不足。……。しかし、コレオステップで踊りまくって会場が沸きました。
 ひつこいけど、片手上げの3Fは世界一ぐらいイイと思うのですよ。踊りと各エレメンツ、両立できることを期待してます!

●宇野昌麿選手(中学2年、曲は『ツィガーヌ』)
 ジャンプは3Lz(フルッツ)、流れのある2A-3T、3F、3Lo、2A、3Lo-2T、3F-2T-2T、3S転倒。最後の最後で転倒してしまい、会場中が「あぁ~っ」と惜しみました。
 凝った振り付けやつなぎはないけど、スピードを落とさず、流れのあるジャンプを次々に跳んでいました。ストレートラインステップでは、音のひとつひとつを身体で表現。つか、まだ14歳、中学2年がツィガーヌですよ!? こんな難曲をよくこなしたなぁと感心してしまいます。
 演技終了と同時に大きな拍手喝采、スタンディングオベーションも見られました。

●小塚崇彦選手(中京大学大学院1年、曲は『ファンタジア・フォー・ナウシカ』)
 ジャンプは4T、3A、3Lz-3T、3A転倒、3F、3Lo、3S、3Lz-2T。6分間練習でほとんど4回転トーループを跳んでいなかったので、決まると思いませんでした。スゴイ!
 作品としての完成度はとても高く、ステキなプログラムだと思います。音も、物語も表現していると思いますよ。ただ、つなぎやエレメンツ間の見せ場が少ないのは残念。小塚選手の絶品イーグルをもっと見たいと思っているスケヲタは多いはず。

●羽生結弦選手(東北高校2年、曲は『ロミオとジュリエット』)
 ジャンプは4T、3A、3F、3Lz-2T、3A-3T-2T、3Lz-2T、3Lo、1S。めっちゃ高難度のプログラムをコンプリートか!? と皆が期待を膨らませるなか、最後の最後にサルコウがすっぽ抜け……ま、仕方ありませんよね。
 しかししかし、情感がこもったステキなロミオでした。「大ちゃん大ちゃん」言ってた観客たちもスタンディングオベーションです。
 まだ17歳でこの構成と表現力、ただ者ではありません。比類なき才能。日本の誇りです。
 実はわたくし、羽生君が今年の全日本を獲ると予想していました。ところが大ちゃんがSPで奇跡の4T-3Tを決めてそうカンタンには勝たせてもらえなくなったのですが、羽生君、フリーの得点だけなら1位です。もちろん、スケーティングやエッジワークは大ちゃんや小塚君に及びませんから、今後は足もとの成長を楽しみにしたいと思いまつ!

 ……ちなみに「17歳でロミオかよ」と思った方? 原作では、ロミオは17歳、ジュリエットはなんと13歳の設定なんですって。エーーー、犯罪じゃん。

2011フィギュアスケート全日本選手権 放送予定

[フジテレビONE(CS)]
12月30日 10時~12時 男子SP
       12時~14時 男子フリー
       14時~16時 女子SP
       16時~18時30分 女子フリー
       18時30分~20時30分 エキシビション
[BSフジ]※副音声は実況解説なし。
1月1日 14時~15時55分 男子SP
      17時~18時55分 男子フリー
1月2日 15時~16時25分 女子SP
      16時30分~18時55分 女子フリー
1月3日 16時30分~18時55分 エキシビション

スケヲタ竹子のフィギュアスケート全日本選手権レポ【3日め・女子フリー】

実は、スマホよりなによりフィギュアヲタの竹子です。こんにちは。

 12月23日~25日に大阪・なみはやドームで開催された全日本選手権のディープなレポートをお届け中!

 「全日本選手権てスゴいの? エラいの?」と質問されたのでお答えします。世界レベルの選手にとっては、年に1回3月に行なわれる世界選手権の代表権を懸けた試合です。世界選手権の代表枠は、男子3名、女子3名、ペア2組、アイスダンス1組。日本の男子シングルと女子シングルは世界トップレベル。世界選手権出場の切符は熾烈な奪い合いになります。
 世界レベルの選手以外には、全日本選手権が最高で最大の舞台になります。ですから、皆この試合を目標に、技術と表現の完成度を高めてきます。下位の選手でも、ノーミス神演技を披露して感動させられることが毎年あるんですよ。

 だから、テレビや新聞がとりあげない選手の演技について、積極的にご紹介していきたいと思いまつ!

 ※以下、スケオタ以外にはイミフな内容かと思います。ご容赦ください。

大会最終日の第三日は、女子のフリーなどが行なわれました。
 印象に残った選手の演技を滑走順にご紹介します。

●長谷川奏選手(東洋大学1年、曲は『パリのアメリカ人』)
 ジャンプは3Lo回転不足、3T-2T-2T、2A、2Lo、2A-2T、3Tステップアウト-1T、2F。大きいジャンプに関心しました。動きは荒削りだけど元気いっぱいで、ストレートラインステップの動きが大きく魅力的でしたよ。

●中村未夏選手(小松原女子高校3年、曲は『The Mask Of Zorro』)
 ジャンプは3T-2T、3S-2T-2T、3Lo、1A、3S、2T、1A。トリプルサルコウをお手本みたいにきれいに跳ぶのね。高さがあり流れもあり、スムーズで安定していました。ジャンプが失速した感ありますが、スケーティングのスピード自体はそれほど落ちず、プログラム構成全体はバランスよくできていたと思います。

●宮原知子選手(中学2年、曲は『Mother Goose Suite』)
 ジャンプは3Lz-3T、3Lo、3F、3S、2A-3T、3Lz-2T-2T、2A。ノーミス、パーフェクトで観客半分以上がスタンディングオベーション。この日会場が最高に盛り上がったのは、実は真央ちゃんでもあっこちゃんでもなく、第2グループで滑ったこの宮原選手の演技でした。
 ジャンプの回転不足はほぼないし、3Lzと3Fの跳び分けができている。2A-3Tを演技開始後3分も過ぎてから決めたときには、会場から低いうなりのような大きなどよめきが起きました。スケーティングも滑らかで伸びます。
 キャッチーな曲でなく伝えたいことがイマイチわかりませんでしたが、細かい音を拾って表現できていました。

 宮原選手は第2グループでの滑走。フジテレビはカメラを回していませんでした。
 第1、第2グループには、必ず毎年こういう伝説の神演技があります。下位だからといって最初から録画しない姿勢は納得いきません。別に実況解説なんていらないのです(むしろ不要)、ただ会場音を録画してたれ流してくれればいい。
 来年以降も放送権を持ち続けるのなら、改善を強く求めます。

●國分紫苑選手(関西大学2年、曲は『Red Violin』)
 ジャンプは1Lz、3F転倒、3Lo、2A、3T、1T、2A-2T-2Lo。6分間練習では3Lzが跳べていたのですが……。今回はジャンプの回転がすべてギリギリのように見えました。
 表現力と演技力はさすが。ストレートラインステップは、入るところからまるで役になりきっているようで、ゾクゾクしました。音に合わせたメリハリある動き、タメ、情感はピカイチ。ずっと見ていたい、と思いました。応援してまつ!

●鈴木真梨選手(東北福祉大学2年、曲は『シェルブールの雨傘』)
 ジャンプは3Lo、2T-2T、2A、2T、2Lo、2A-2T、2F-2T。シメのエレメンツはレイバックスピン。これが速度もポジションもすんばらしかった。
 曲も振り付けも表現もいいのだから、ジャンプを決められないのがもったいない……。

●庄司理紗選手(中学3年、曲は『Legends of the Fall』)
 ジャンプは3S-3T-2T、3Lz、2A-3T、3F、3Lo、3S、2A-2T。ノーミスですが、ジャンプが少し回転不足で着氷時に氷上で回転してしまう(グリ降り)場面が見られました。
 エレメンツとエレメンツの間のつなぎや振り付けに工夫があり、自然な流れの中でまるで振り付けのひとつのようにジャンプを跳ぶので、4分間があっという間でした。それほど大胆な振り付けがあるわけではありませんが、全体が美しい作品に仕上がっていました。
 ただし、ストレートラインステップはもっと動きが欲しい。エキシビションでは大きく大胆な動きを入れたステップをふんでいるのだから、できるはずです。来年のプログラムに期待します!

●友滝佳子選手(岡山理大附高1年、曲は『サムソンとデリラ』)
 ジャンプは3Lo-2A、3F-2T-2Lo、3Lz転倒、3T、3Lo、3S、2A-2T。最初のジャンプが高くて、私のメモにただ「たっけー」と書かれています(笑)。3F-2T-2Loは、ダブルトーループでほとんど流れが止まってしまったのに、その場で力で跳んでダブルループを付けてしまいました。私の右側には小塚選手や佐々木選手、中庭健介君、宮本賢二さんなど男性の集団が座っていたのですが、この友滝選手の力技にどよめいていましたよ。

●村元哉中選手(神戸ポートアイランドFSC、曲は『ラストエンペラー』)
 ジャンプは1F、3T、3S-2T、2A、3T-2T-2T、3S、2A-2T。お姉さんの小月選手と同じでジャンプに癖がなく、体のラインをきれいに出しますね。タンゴを大人っぽく演じられたと思います、演技力ありますねー。メイクと衣装も上品でステキです。

●西野友毬選手(武蔵野高校3年、曲は『Piano Concert No.1/チャイコフスキー』)
 ジャンプは3Lz-2T、3Lo、3T、2A-2T、1Lz、3T-2T-2Lo、3Tお手つき-2T回転不足。グリ降りの癖はだいぶ解消され、回転不足は多少あるものの、ルッツをはじめいいジャンプを跳んでいました。ミスを最小限に抑えたと思います。
 音を拾い表現しようとする振り付けがイイ。昔とは違い、ホントに見違えるように表現力が付いたと思います。引き込まれました。

●浅田真央選手(中京大学3年、曲は『愛の夢』)
 ジャンプは2A、3F-2Lo、3Lz、2A-3T、3F-2Lo-2Lo、2S、3Loお手つき回転不足。
 6分間練習では、3Aを含むすべてのジャンプを完璧に決めていました。3F-2Loと3Lzには余裕があります。3Lzは完全なアウトエッジではありませんでしたが、高さと流れがあるいいジャンプ。それなのに、GOEにマイナス2を付けたジャッジがいることが信じられません。また、曲の後半のはじめに跳んだ2A-3Tも質のいいもの。回転不足の判定は厳しすぎる印象ですね。
 私も数年前に母を亡くしたので、つい自分の経験を思い出してしまいます。まだ演技途中なのにこみあげてくる涙を抑えるのに必死でした。今日のストレートラインステップもスパイラルも、いつもと同様にノビがありため息ものでした。
 真央ちゃんも観客も、私の右隣にいた男子選手達も皆ホッと安心した顔をしていたのが印象的でした。

●今井遥選手(日本橋女学館3年、曲は『マイフェアレディ』)
 ジャンプは3T-3T、3Lz(フルッツ)、3F回転不足、3Lo、3S-2T-2T、3S-2T、2A。ジャンプにあまり余裕はありませんでしたが、3回転3回転のコンボや、曲の後半に2つもコンボを入れるなど、アグレッシブな構成がすばらしい。
 しかしそのわりに得点が伸びなかったせいか、本人はキス&クライで納得いかない表情でした。観客からも「なぜ低い?」という声が聞こえました。この経験をバネにしてほしいと思います。
 しっかし衣装は上品かつセクシーでステキですね。曲は、ジャズアレンジではなく、ふつうにオーケストラのマイフェアレディのほうが合っていたのでは……。キャッチーな曲でわかりやすい表現をしたほうが得点は伸びると思います。ある程度の評価を受けるようになるまでは。

 以上で、全日本選手権の演技レポは終了です。地上派では特定の選手しか放送しませんが、BSとCSではより多くの選手のステキな演技を放送します。この年末年始に番組が予定されてますので見てみてね!


2011フィギュアスケート全日本選手権 放送予定

[フジテレビONE(CS)]
12月30日 10時~12時 男子SP
       12時~14時 男子フリー
       14時~16時 女子SP
       16時~18時30分 女子フリー
       18時30分~20時30分 エキシビション
[BSフジ]※副音声は実況解説なし。
1月1日 14時~15時55分 男子SP
      17時~18時55分 男子フリー
1月2日 15時~16時25分 女子SP
      16時30分~18時55分 女子フリー
1月3日 16時30分~18時55分 エキシビション



お正月から、フィギュアスケートづけになりそうです。

来年も、フィギュア情報がんばります。よろしくお願いいたします。



人気ブログランキングへ

今年ラストのクリックを、どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _ )m