相続・遺言・家族信託・終活相談室

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相続、遺言、家族信託、終活について簡単なこと、是非知っておいて欲しいことを紹介します。興味をもたれたら私のHPへ来てみて下さい。
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信託銀行の「遺言信託」について

 

 最近、相続関係のご相談で、信託銀行の「遺言信託」を「家族信託」における『信託』と混同している例に複数出会いました。

 前々からこの違いは気になっており、お客様に「家族信託」の説明をする際には、一応簡単にこの違いを説明していました。

 

 ただ、このところ、たて続けに、(亡くなったお父様が)信託銀行の遺言信託を行っていたお客様から、「父(死亡)が銀行に依頼していたのは単に遺言の保管・執行だけだったようだ。また、報酬がとても高いようだが解約する方法はないのか。」という相談を受けています。

 

これについては「お父様が信託銀行に遺言信託の依頼をした際には当然銀行から「遺言信託」の内容につき説明を受けている筈です。もっとも、相続人全員の協議で遺言と異なる分割協議をすることは可能です(民法第907条1項)。」と言うしかないのですが、更に話を聞いていくと、相続人は信託銀行の行う「遺言信託」が何をしてくれるのかを理解されていないケースが大半だということが分かりました。

 

また、遺言執行のスピードについても「銀行内の確認手続きが必要」ということで、迅速な手続きとは言い難い例が多いようです。

 

今更ながら、信託銀行の思惑と、依頼者(被相続人)と相続人の思惑の不一致が目立っているようです。

 

私自身金融機関に勤務していた経験から、信託銀行としては、「遺言信託」は、遺言作成のコンサルティング・保管・執行を行う、正にお客様の遺言業務をサポートするサービスという意識があると思います。

 

問題は、これを遺言『信託』と名付けているところです。

信託銀行の行っている内容は「遺言の作成サポート・保管・執行」であり、法的には何ら『信託』ではありません。信託銀行が行っているからと言って「信託」としているのは疑問です。

勿論、金融庁等からの指導はないようですからネーミングとしての問題はないのでしょうが、信託銀行さんなるものがこのようなネーミングを付していることは、銀行OBとして恥ずかしいところです。

 

法的には、本来、契約による(家族)信託と同様、遺言による(家族)信託を遺言信託と呼んでいるのです(信託法第3条2項)

 

もう一つの声は、信託銀行の遺言サービスが非常に高額だということです。ある信託銀行の例ですと、相続税評価額の2%、最低110万円となっています。

この料金は、一流の弁護士に依頼するのと同じようなものです。相談に見えたお客様が「解約できないのか」、と言った理由が分かります。

 

何れにしても、以上の問題を発生しないためには、皆が「家族信託」と「信託銀行の遺言信託」の違いを十分認識し、自分にあったものを選択することです。

 

その上で、富裕層の方が信託銀行の安全性を重視して遺言の作成・保管・執行を依頼されるならば、そのメリットは必ずある筈です。

一方、遺言のフォローではなく所謂法的な「信託」を検討される場合には、家族信託に強い士業に依頼されることが重要だと思います。

「三菱UFJ予約型代理人サービス」と「家族信託」

 

 今月8日に三菱UFJ銀行が「予約型代理人サービス」の導入を発表しました。

 

 このサービスの内容自体は、従来対応が遅れていた銀行の認知症対策への第一歩であり、また、成年後見制度の不備をカバーする意味で、私達認知症対策に注力している士業にとっては歓迎すべき内容です。

 

 ただ、一寸疑問を感じたのは、このとても重要なニュースに対し、2日も経っているのに、認知症対策を標榜されている「家族信託」の先生方のコメントが見当たらないことです。 

 

 私は、このサービスは「家族信託」と大いに関係があると思っております。見方によっては、私達が地道に推進している「家族信託」の主要部分を銀行の窓口で解決できるようになる、とも言えるものだと思います。

 

 このサービスの利点・問題点を理解し、私達の進めている「家族信託」にどう取り込んで行くかを考えるべきと思います。

 

[予約型代理人サービスとは]

 先ず、その内容を簡潔にご説明致します。

 

 三菱UFJフィナンシャル・グループでは、「認知症などで判断能力が低下し取引ができなくなった場合に備え、顧客が事前に親族らを代理人として指定しておき、認知機能低下が確認されれば、所定の診断書の提出により、その後は代理人が代わりに預金の入出金・運用性商品の売却等ができる」というサービスを今月22日より実施する。

 

 預金の入出金を代理人に認めるサービスは従来から他行で実施されていたものであり、特段珍しいものではありません。

ただ、認知症と診断される前に代理人の予約しておくという点は新しい取り組みで、謂わば、成年後見制度における、任意後見人選任の考え方と同じです。

 

ここで、なぜ三菱UFJが今このサービスを導入したのかと言うと、積極的な意味では、先般(2月)の銀行協会の見解(本人の利益を満たす場合に限り、法的な代理権のない親族の金融取引を認める)が「抽象的で実効に欠ける」という声に対し、具体的に明確な対処策を打ち出したこと、及び従来から銀行に向けられていた「銀行は認知症に対し冷たい」という批判を改善しよう、ということだと思います。

 

ただ、今回のサービス内容は、特段進歩的な発想ではなく、謂わば当たり前のサービスです。このサービスが何故今までなかったかと言うと、銀行としては、取引相手の確認において、認知症のケースだからと言って銀行が責任を負うようなことは絶対にできない、という不文律があったからです。

 

この点を、今回「診断書」を提出させることにより、この責任を家族と医者に負わせる形をつくった訳です。これは特段問題があることではありません。自分の資産は自分が責任を持って処分することが大原則です。

 

とは言え、この決断はリスクを伴います。何千万円、何億円の資産の行方が、代理人と医者の診断書のみで判断される訳ですから。

医者の資格、代理人の資格等は問題ないのでしょうか。経済的に厳しい状況にある医師に依頼して診断書を偽装した場合はどうなるのでしょうか。この辺りのリスクは銀行は当然「免責」条項をいれることで対応されるのかもしれません

 

しかし、実際にこの辺りで問題が発生した場合は大きな社会問題に発展する可能性があります。勿論、このあたりのリスクを三菱UFJが知らない訳はないですから、これに対しては有効な解決策を策定済と思います。

 

始めに述べた通り、認知症への対応策としてこのサービスは大変有効と思います。ただ、金額が大きくなった場合には、どうしても「このサービスでリスクがないですよ」、とお勧めするのは若干抵抗があります。

 

診断書偽装等の簡単に発生する大きなリスクを考えれば、慎重な認知症対策はやはり公正証書で安全性を確保できる家族信託をメインと考え、家族で信託の内容を議論して安心して次世代に託す、という流れは変わらないものと思います。

相続時における生命保険の課税関係

 

このところ、相続のご相談の際、生命保険に関する課税の質問を受けることが重なりました。

 

基本的には3パターンしかなく、私達相続の仕事をしている士業にとっては当然のことであり、税の基本をご説明すると皆様すぐに納得されますが、確かに普段生命保険の課税関係を意識されていない方にとっては直ぐには分からない点かもしれません。

 

当たり前のことかもしれませんが、意外に勘違いをされる部分なので、簡単にご説明いたします。 

 

契約状況

契約者

被保険者

受取人

課税関係

契約者と被保険者が同一

相続税

契約者・被保険者・受取人が異なる

贈与税

契約者と受取人が同一

一時所得

 

パターンは上記の3つです。

 

どう当てはめるかですが、「被保険者」は全て「父」、つまり、お父様が死亡された時、保険の契約者受取人が誰か、という点だけに着目すれば良い訳です。

 

①もし、契約者が父で受取人が母であれば、これは勿論「相続」です。ですから、「相続税」というパターンになります。このパターンが大半です。

②もし、母親が契約者受取人が子の場合は、子は母から贈与を受けたと見做される訳ですから「贈与」です。ですから「贈与税」です。

契約者が子で受取人も子の場合は、自分で保険料を支払い自分が受取人となったのですから、全て子のお金の出入りですから、自分(子)自身の所得の動き、即ち一時所得(所得税)になります。

 

 改めて見直して見ると、お金の出どころ、お金の入った先を考えると、至極当然の課税体系になっている訳です。

 何故そうなっているのかを考える時には、基本に立ち戻って見直すことが大切なようです。