秋のプール
私には娘が3人いる。
上の2人は母が一緒の姉妹で、1番上の娘が高校に入るくらいの時
何故自分達に父親が2人いて、
何故本物の父親とずっと一緒に居れないのか?
何故、母は2人の父親の家を、私達、
何故、この日本人に本当の父親のことを言っては駄目なのか?
を聞いたろう。
16歳下の家内は彼等に言った筈だ。
「我慢するの。」
「私達の生活は夢のように開けるわ。」
「私達はね、一生生活に困らないの。」
「お兄ちゃんも、おばあちゃんも、ウイ叔母さんもみんなよ。
この子供たちは、飲み込みが早かったのだろう。
2番目の子が幼稚園の時だったと思う。
家の中にフィットネスセンターがあり、よく4人で泳ぎに行った。
ちょっと目を離した隙である。
2番目の子がプールの海面に見えなかった。
今思うと5Mくらいの距離。
その辺りに束の間の静寂と悲鳴が聞こえた。
大人にとっても深い所なので、泳がなければならない。
そして彼女は水を沢山飲んではいたが、
僕の腕の中に収まった。
娘は、唇を青くして震えている。
その後のことをよく覚えていない。
ただ僕が助けなければ助からないか、
或いは家内が密かに隠し持つ水泳能力で助けたかもしれな
もし、死んでしまったらどうしたか?
誰に怒るのか?
僕か?
家内か?
全ての苦労が水の泡と怒るのか?
自己責任なんて言って威張る人の、
これが本性であるから。
合掌
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