MMA業界の問題点: 契約に関して / 文化が違う?芸能界とも似てる? - 10 | SLEEPTALKER - シュウの寝言
(photo by HACKS)
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「昨日まで建築業とか水商売をやってたような人が、経験も無く、急に芸能事務所を始めたりする。そこでアイドル志望の子を集めて働かせて、給料を渡さなくなる。本人はそこが事務所だと思って信頼しているし、偉い人が『辞めるなら100万円払え』って脅したりすると、そういうことに慣れてない若い子たちは怖くて何も言えなくなってしまうわけです。」
カンニング竹山
AERA.dotメルマガ
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ここでやや脱線します。
「日本の芸能の仕事だけを任せて欲しい」と言ってきた人たちの中で、私史上で最悪の一件について書きたいと思います。
まさに悪魔の囁きと言っても大袈裟ではない内容・展開だと思います。
 
Aという全国ネットで放映されていた団体と契約中で、弊社がマネジメントさせて貰っていた人気ファイターで Bという選手がいました。
日本での芸能マネジメントのみを担当したい。
そうB選手本人にアプローチしてきた人がいました。
この人はある芸能プロダクションの社長さんでした。
Cさんということにしましょう。
B選手の知り合いの紹介ということでした。
 
Cさんの経営している芸能プロダクションの名前を聞きHPを確認したら、設立されたのが1年前。
「モデル」や「タレント」のページに、地上波に定期的に出ている顔は見当たりませんでした。
格闘技のことには一切手を出さない。日本での芸能の仕事オンリーしかやらない。とりあえず会って一回話したいということらしいんですけど、どうしたら良いですかね?とB選手から私に連絡があったので、会うぐらい良いんじゃない、と言ったんです。
 
明らかに反社の人だとわかっているのなら話は別ですけけど、選手の紹介で素性もわかっている人だし。それに弊社でマネジメントさせて頂いている選手は、皆さん、まず契約をしないといけない、それが済むまで仕事はスタートしない、そして契約書というのは出されたその場でサインするものではない、というのをわかっているんで問題ないと思いました。
ただこのB選手の場合は、まだ弊社と契約したばかりだったので、そこらへんのところに関しての認識が少し薄かったんですね。
契約した時に、私からもっとしっかりと説明しておけば良かったとあとで後悔しました。
 
さて、B選手はどうしたのかというと、知り合いの歳上の選手、つまり先輩からの紹介だからと、このC社長さんに会いに行きました。
どこのお店であったのかは書きませんが、選手がそこに着いたら、このC社長さんの隣に知らない人が座っていたんです。
「うちの顧問弁護士です」と、C社長さんはB選手に紹介しました。
そして、日本での芸能活動以外は担当しないという内容だから心配するな、と言って出してきた契約書は、全く違った内容のものでした。
ごく普通のタレントと芸能プロダクションが交わす契約書で、しかも前回このブログで書いた項目が全てばっちし入っていました。
このB選手は出された契約書をしっかりと読まずに「これ、シュウさんと話してくれませんか?」と言ったら、このC社長さんは「シュウさんには連絡しておくから、これにまずサインして」と迫られたんです。
 
そして、私と話すのなら大丈夫だろうと思い、B選手は、その場で契約書にサインしてしまいました。
 
それでも結果としては、弊社とB選手の間ですでに交わしてあるマネジメント契約とバッティングする項目が多々あるし、先に契約をしているこちらの方が優先権がある、という理由で断ったんですけど、このC社長さんは厄介でした。
 
御社から出された契約書の内容と、あなたの言っていることとは異なりますよ。格闘技関連の仕事については関わらない云々は一切契約書に書いてないです。そう説明したら、このC社長から返ってきた答えは「ファイトマネーのことは契約書に一切書いてません」だったんです。
意味がわからないので、何度か同じことを聞いたんですけど「いやいやファイトマネーのこと一切書いてないでしょ」。
これしか返してきませんでした。口頭でもLINEでも。
そして、次にこのC社長さんが言ってきたのは「うちのグループ企業は〇〇や〇〇もやってます」と何人か有名選手の名前を出してきたんです。そして「うちとの契約が問題ならグループ企業全体で考えます」と言ってきました。
私的にこれを翻訳すると、俺たちは有名な選手をたくさん抱えているところと同じグループだから、俺たちのやり方に従わないのなら、グループ全体でお前のことを潰すことも可能だぞ、といったところでしょうか。
もう相手にしても時間の無駄だと思ったんで、どうぞ、お好きなようにしてくださいと返したら、ここからはもう訳のわからない方向に話がいきました。
「あなたが実際に試合を決めてるわけではないことは知っている」とか挙げ句の果てには「あなたが選手に付けてるスポンサーなんて世間一般に全く知られてない会社ばかりでだから、あんなのつけると選手にとってマイナスになるのがわかってない」といった内容のLINEを送りつけてきたんです。
勿論、私はその時点でこのC社長さんとコミュニケーションをとるのは止めました。
 
それでもこのC社長さん、諦めなかったんです。
 
団体Aと親密な関係の某団体のトップに連絡して、B選手を訴えることを検討していると伝えてきました。
このC社長さんは、ほんの少しだけこの某団体と関わりがあったからだと思います。
そして私はこの某団体とは普段から普通にビジネスしているので、そこから圧力をかけようとしたんだと思いますけど、B選手は団体Aと契約してるから関係ないでしょと、これは無視しました。
 
そしたらこのC社長は、自分のところのスタッフを「マネージャー」と称して、B選手がでる記者会見に送り込んだんです。
そして私に「あなたはなぜ記者会見に来なかったんですか?」とLINEしてきました。
もちろん何も返さずに無視しました。
そしたら、この「マネージャー」がB選手にまた連絡してきて、試合当日サポートとしてこの「マネージャー」と称するスタッフをバックヤードに入りたいからパスを取れないか、と聞いてきたんです。
もちろん前述の某団体のトップにも控え室に入れないか?と連絡してきました。
試合の現場についた経験ゼロで、B選手が団体Aとどういう契約を交わしているかも知らず、団体Aのルールや規則も知らず、B選手のトレーナーやセコンドとも面識もなく、さらには団体Aと全く取引したことのない人を、です。
幸い団体Aは控え室に入れる人数などをしっかりと仕切っている団体だったので、もうパスをあげられる枠がないから無理だとB選手の方からこれは断りました。
 
そしたら今度はこのC社長は、B選手のお父さんに連絡してきたんです。
自分の会社と契約して、格闘技マネジメントは自分の会社の下請けのような形をとったほうがいい。そしたら芸能の仕事をたくさんとってきてあげる、〇〇TVのプロデューサーとは親しいから。
そんな内容でした。
 
もう仕方ないので私は、お父さんにはこう言いました。
それでしたら私とビデオ電話で顔を見ながらまず話しましょう。そしておたくの息子さんに関して、私が考えている彼のキャリアのことについて説明させてください。それから、この社長さんと話してください。
弊社がこのC社長の会社の下請けになることはあり得ないんで、まず両方と話してみてください。それから息子さんにお父さんのご意見を言って、それで決めてください。
あちらにいくのなら、うちは手を引きますから、と。
 
結果はー
B選手のお父さんは、私と話して、その後このC社長と話して、最終的にB選手と相談して、このC社長からの話は正式に断わりました。
 
似たようなことは、他にもたくさんありました。
という訳で、私が今まで経験してきた中でわかったのは、こういうことをする人たちには共通することが何点かあるということなんです。
それをここで羅列します。
これはあくまでも私の経験をもとに、私が思っている一つの意見です。
 
1)選手のことを呼び捨てにする人
 
「さん」とも「くん」とも「選手」ともつけずに、あいつは俺が面倒みてやっているんだ、という態度で選手を呼び捨てにする。
もう契約したら、選手はうちの駒ですよ、という匂いがぷんぷんします。
 
2)やたらと営業だと言ってスポンサー周りをさせる人
 
選手連れ回して自分が自慢したいだけのケースが多いです。結局どこかの社長さんとかどこかの営業担当とかとご飯食べるだけで、ほとんど実りがないことの方が圧倒的に多いです。
更に付け足すと、この「営業」と称した、たった一度の会食の代金を払っただけなのに(なんで営業先の人がお金を払うのか?というのも疑問に思ってます>苦笑)あの選手は俺が面倒みてやってるんだ、とか各方面で言い出す人もいます。
 
3)〇〇とはグループ企業です、と自分の会社がどれだけ大きなネットワークの一部かを自慢する人
 
これを私に今まで言ってきた人たち、100%嘘でした。
調べてみるとグループ企業でもなんでもなく、ただ単に仲良くして少し情報交換とかをする程度というのがほとんどでした。
あそこの会社と繋がりがあるんですか?と聞いたら、中には「グループ企業だといろんなところで言ってるらしくて困ってるんですよ」と言ってきた人もいました。
 
4)得意なセリフが「形式的なことだから大丈夫だ」と「悪いようにはしない」な人
 
これ、ドラマでも悪役が連発しているセリフだと思うんです。
形式的だろうがなんだろうが、一回サイン、捺印して、その後に揉めたら、もう契約書に書いてあることが全てですし、悪いようにはしない、と言う人は、具体的に先のことを考えていない人がその場凌ぎで言うことだと私は思っています。
 
5)「他の選手もみんなこれにサインしてるんだから」という人
 
これ、芸能プロダクションに限らず、スポンサーとかでも時折これを言う人がいるんですよ。
例えばUFCなら絶対にリーボック着用を義務付けられるんで、試合で着用するショーツなどにスポンサーのロゴを載せられないのに、載せないといけないと契約書に書いてあったから、それは無理なんですよ。そう説明して、その項目だけを削除してくださいとリクエストしたら、けど他の選手はみんな同じ契約書にサインしてるんだ、と言ってきたんです。
他の選手たちみんなが同じ団体と契約している訳でもないですし、この担当者が言ってきた「他の選手」とは格闘技以外の選手も含めて、だったんです。
嫌ならスポンサーしない、と言う上から目線でした。
 
芸能プロダクションの場合は、こんな感じです。
他のタレントたちもみんな同じ契約書にサインしている。これにサインしないと芸能界の仕事はできないよ。といったニュアンスのことも言いつつ、この契約書にサインすれば、みんなの仲間入りができるから、といった感じです。
 
6)初めて会う時に弁護士を連れてくる人
 
これ、全く必要ないのに連れてくるということは、選手側、またはタレント側に暗に圧力をかける以外の目的が見当たらないんですよね。
弁護士を帯同することで、うちはしっかりとした会社だと誇示したいのかもしれないけど、私からしたら、逆にいきなり社長と弁護士2人で、まだ業界のことをよく知らない若者に会い、更にその場で契約書にサインするように言うのは、不当な圧力にしか思えないんですよね.....
ちゃんとした大人なら、契約書は持ち帰って、よく読んで、ご両親とも相談してからサイン・捺印してください、と言うと私は思うんです。
 
さて、次回からは格闘技の話に戻ります。
今度は、私が感じている日本のスポーツの根本的な疑問。
それがMMAの世界へ、そして大袈裟なことを言えば世間へも悪影響を及ぼしていると言わざるを得ない、と思っている部分に斬り込んでいきたいと思います。

 

(続く)
MMA業界の問題点: 契約に関して / 文化が違う?芸能界とも似てる? -
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