MMA業界の問題点: 契約に関して / 文化が違う?芸能界とも似てる? - 7 | SLEEPTALKER - シュウの寝言
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(マネル・ケイプ選手のオクタゴン・デビューは10月のファイトアイランド大会になりそうだ)
 
マネル・ケイプ選手に関して、前回書いた私の想像に関して、少しだけ付け足します。
 
これはあくまでも私の意見です。
 
行き着く所は、それなりの規模の大会をやっているのなら、契約は世界独占契約にするしかないと思うんです。
今の時代、映像は一瞬にして世界を駆け巡る訳ですし、映像の権利というのは団体側にとっては大切な資産です。
 
そう考えると、日本で大会をやっているからといって、海外の事はいいよ、という考えは捨てた方が良いと思うんです。
極論なんですけど「海外」という考え自体を排除した方がいろんな意味で良いと私は思うんです。
そうした方がビジネスの広がりも違うと思いますし、他の団体から選手を引き抜かれそうになった時もしっかりと対応できると思うんです。
 
でも「世界独占」という契約で、いい選手を団体側の予算に収まるファイトマネーで押さえるのが難しくなるのでは?
そう思う方もいるかもしれませんが、それなら、それに対応する項目を契約書の中に織り込めば良いと私は思うんです。
 
例えば、アメリカのフィーダー・ショーの契約でも世界独占というのをみた事があります。
しかしその替わりにUFC、ベラトール、インヴィクタ からのオファーがきたら選手側が一方的に契約を解除できるという項目が入っているんです。
今だから明かせますが、井上直樹選手が、アメリカのCFFC (Cage Fury Fighting Championship)で試合をした時の契約には、団体側には2試合目を付け足す権利がありましたど、交渉してUFC、ベラトール、RIZIN、ONE、PFLからのオファーがきたら選手側から契約を破棄できる項目を入れて貰っていたんです。
 
このように契約書上で臨機応変に対応すれば良いのでは?と私は思うんです。
 
例えばですけど、RIZINなら、あそこまでの規模で大会をやっているんですから、チャンピオンというのは団体の資産の一つだと思いますし、選手がチャンピオンになるまでの過程でたくさんの投資もしている訳ですから、チャンピオンという新しい価値がついたステージで、団体側は、それなりの利益をあげる権利はあると思うんです。
それならチャンピオンになったらとりあえずは12ヶ月3試合延長になるけど、2試合防衛した時点で、UFCかベラトールからのオファーがきたら契約を破棄して良いという項目を入れるとか、または1試合防衛した時点でマッチング期間に入れる権利を選手側が持つとか。
そうなると、チャンピオンになったからといって、必ずすぐにUFCからオファーがとれる訳でもないですし、例えばですけど、RIZINで5、6試合してチャンピオンになっている選手なら、UFCからでるオファーよりもその時点は良いファイトマネーを稼いでる可能性もあり得るんで、それはそれで選手にもしっかりと説明すれば、決して悪い契約内容ではないと納得させれると思うんです。
あとは年間試合数を保証するとか。
コロナ禍前のUFCだったら、スター選手とかでない限り、だいたい年間2試合から3試合できれば良い方だったんで、年間3とか4試合保証するとか。
 
要は、私が思うのは契約というのはいくらでも変えて良い、なんですね。
契約書というビジネス上のリングで知恵を使い対抗するしかないと思うんです。
 
UFCのような巨大なリーグになると、全ての選手への平等性というのを常に考慮しないといけないですし、1人の選手に特例を認めたら、他の約600人の選手たちが、じゃあ、私もこうしてくれと言い出すので、それの防衛策のためにも、それなりに決められた契約書を曲げるのは逆に難しい状況だと思うんです。
例えば、UFCの場合は、初めて契約する選手の場合は、もう、これは99%以上の確率で、UFC側が負担する渡航費は、選手とセコンド1人まで、です。
これを初めてUFCと契約する選手がセコンド2人まで、と変更させるのはほぼ不可能なんです。
 
それがある意味UFCの契約書上の弱点でもあると私は思うんです。
これはコストが少し掛かってくる話なんですけど、それならうちはセコンド2人までの渡航費出すよ、とか。
RIZINでも他の団体でも、そこをうまく突くやり方で、良い選手を適正のファイトマネーで押さえ、そしてしっかりと団体側の権利、目的を契約書上でも明確にすれば、それに同意する選手はたくさん出てくると私は思うんです。
 
もちろんMMAの世界最高峰は間違いなくUFCですし、最近のコンテンダー・シリーズのレベルの高さを見ると、UFCがメジャーでそれ以外は全部マイナーという事をいう人がますます増えてくる時代ではあると思います。
でもプロ・ファイターにとって、いろんなキャリアの選択肢があった方が良いですし、あるべきなんですよね。
そうでなければ完全に市場が1企業に独占され、一部の人たちが業界の権力を壟断するのも可能になってしまいますし.....
 
私は、契約書上の条件次第では、いくらでも良い選手は連れてこれると思っていますし、選手によっては、UFCからオファーがきても断るという選択をするのがこれからも出てくると思うんです。
今までにも実際にUFCに行けたのに行かずに、しっかりとUFC以外の場所で稼ぎ、キャリアを構築してきたエメリヤーエンコ・ヒョードルのような選手も実際にいる訳ですから。
 
(エメリヤーエンコ・ヒョードル選手は一度もUFCに出てないが、アメリカのファンやメディアの間で、歴代最強のヘビー級ファイターは?が論じられる時に、必ず名前が上がるほどの認知度を誇る / photo by Gonkaku
 
契約の話に戻ります。
 
延長項目
 
私がファイトマネー、試合数、契約期間、そして拘束市場の次に必ず交渉するのがこれです。
どの団体の契約書にも、ほとんどの場合、団体側が契約期間を延長できる権利、これが発生する項目が入っています。
 
まず引退した場合は、その時点で、契約期間は一時ストップとなりますけど、復帰したら、また契約期間が再開されます。
(ただしこれも延長期間は大体マックスで5年ぐらいです)
 
怪我、病気、試合を断った場合、そしてチャンピオンになった時にも、契約期間が延長されます。
団体によりけりなんですけど、試合を断ったり怪我をしたら半年。
または2回以上断ったら半年とか普通に一回断ったら自動的に三ヶ月とか。
 
契約期間が終わるまで試合のオファーを断り続けるとか、引退して1、2年経って復帰したら、好きな所で試合をできるという訳ではないんです。
 
けどこれって、団体側からしたら当たり前の権利だと思うんです。
契約して試合数も決めて契約期間を決めても、選手側が気に食わなければ、試合のオファーを契約期間が終わるまで断り続ければ良いなんて、それこそアンフェアですし、それでは契約する意味がないと私は思うんです。
 
それなのに、日本ではこれをやった選手がいて、それを許した団体があるんです。
ちょっとした事で団体側のやった事に選手側が不満を抱き、それ以来いくら試合のオファーをしてもうんともすんとも言ってこなくなり、そのまま契約期間が終わってしまったんです。
この選手と団体との契約書の中にどのような延長項目が入っていたのか、私は知りません。
もしかしたら延長できる権利が団体側にはあったのかもしれないですけど、敢えてそれを行使しなかったのかもしれません。
 
けどこの延長項目というは団体にとっては当然の権利だと私は思うんです。
 
ただ、それもあまりにも延長が長いと話は別だと思うです。
1回試合断っただけで1年とか延長されるのはおかしいと思いますし。
私がこの延長項目に関して気にするのは、実を言うと、チャンピオンになった場合の延長条件なんです。
今までみた契約書の中で、1番長いのが6試合24ヶ月延長する、でした。
つまり、この団体でチャンピオンになったら、自動的に2年間他の団体に行けなくなるという事です。
 
これを良しとするか、長すぎると考えるか。
その期間に貰えるファイトマネーと、他団体でチャンピオンになった時の延長条件と比較して、つまり業界スタンダードと比較して決めるしかないと、私は思います。
 
独占交渉期間とマッチング期間
 
これは、もう普通にどの団体の契約書にもついてるものです。
それこそ業界スタンダードなんですけど、最近の傾向としては、独占交渉期間が短くなってきているような気がします。
団体によってはマッチング期間のみという所もあります。
 
ご存知の方もいると思いますけど、契約期間が終わったら、または契約上の最後の試合が終わったら、選手は契約している団体としか交渉できなく期間に入ります。
これが独占交渉期間です。
そしてマッチング期間とは、選手は他の団体と交渉して良いけど、きたオファーは契約している団体に知らせる。
そして同条件のオファーを出すか否か、「マッチング」する権利を団体側が持てる期間です。
例えばUFCから来たオファーと同じ条件のオファーを選手に出せたら、団体はその選手をキープできるという事です。
 
このマッチング期間が終われば、選手は完全にフリーエージェントなります。
 
例えばですけど、独占交渉期間が3ヶ月でマッチング期間が9ヶ月だとしたら1年待てばフリーになれるという事です。
これを、日本の団体からでる契約書の中で時折見る、契約延長しないのなら1年間他団体で試合できないみたいな項目と比較すると、全然良いと思うし、フェアだと思うんです。
選手は他団体と交渉する機会を与えらる訳ですし、団体側も、他団体が出すオファーの内容を知る事ができて、それに対してマッチするオファーを出すか検討できる。
 
逆に、契約延長しないのなら1年も試合できないという項目は、プロ・ファイターにとっておまんまの食い扶持を1年間放棄しないといけない事になるんで、これは延長しないから発生するペナルティとも取れると思いますし、私は不当な条件だと思っているんです。
何度も書いてますけど、選手は個人事業主です。
普通の会社が、ちゃんと契約通りに問題なく仕事をして、次の契約の条件を出されて合意できないとなったら、1年間業務を停止しろ、なんて事有り得ますか?と私は思うんです。
 
なぜ、契約が終わったのでお世話になりました、ありがとうございました、他にやりたい事があるんで次の契約はしませんと選手が言ったら、そこまでのペナルティを喰らわないといけないのか?
これ、日本の芸能界の契約にすごく似ている部分があると思うんで、次回はそれもひっくるめて続けたいと思います。

 

 

(続く)
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