晴れ 「朝日新聞、日曜版」2008.3.2付けより。山

たまたま前日柳生さんのエッセイを読んだせいか、似たような内容の新聞コラムが目に入った。それはC・Wニコルさん(小説家・ナチュラリスト)が語っている中にあったからだ。この中でちょっと興味深かったのは「英国では中高年に多い成人病を改善する治療として森を散歩する処方箋を出しています。」とあったことだ。

確かに森林の中を歩けば森林浴もできるから元気をもらえるような気もする。自宅の近所の神社裏手にはちょっとした林があるが、そこには大した広さではないが“森林浴コース”などと書かれた看板がある。夏にはそこはひんやりとして気持ちがいいことは確かだ。

ニコルさんが来日した46年前の子どもたちの顔は今より元気で幸せそうだったという。そして当時の日記には「日本は子どもの天国だ」と書いてあるという。それはちょうど私が子どもの頃だった。ということは、私は“子どもの天国だ”と思えるような時代を過ごしていたのだろうか。

それが今では「川で遊んではいけません」「森に近寄ってはいけません」というような注意、警告の表示が多くなってしまった。危険とか万一の責任とかの前にさまざまな規制が厳しくなってしまった。狭い道路で自転車などで遊ぶ子どもらの姿を目にすると実に窮屈そうに見える。

地元にもあった野山や雑木林や田んぼをかけめぐっていた子どもの頃が懐かしい。今でもあぜ道やちょっとした雑木林の雑草や枯れ葉の上を歩くと気持ちがほっとする。それも自然が与えてくれた処方箋だろうか。