磯部南海雄先生の至誠一貫⑧
<精神浄化、書道復活>
前回のブログに記したように
恩師や同窓生との再会によって、今私は青春時代への感謝と思いに心底から酔いしれております。
何か漲る思い!
高校卒業以来……
全く忘れていた事を思い出しました。
なんで、忘れていたのだろう?
心の奥底から…その思いがグツグツと湧き上がって来ました。
「下敷きの感触、半紙と墨の香り
硯に溜めた墨をたっぷりと筆に染み込ませるワクワクした気持ち
半紙の上を走るサラサラとした筆の音」
「クソッ!俺は50年以上の間、何で忘れておったのだ」
高校卒業後の学生時代は映画制作
自転車屋になってからの独身時代はBMX
結婚して親となってからは子育てと経営
一生懸命にやって来たとは自分では思っていますが……
その間、筆を手にする事は全くありませんでした。
磯部先生から書道展のお知らせは毎回頂いていましたが、結婚してからは行くことは全く無くなりました。
昨年春の滋賀県での個展は久しぶりに家内と行きましたが、その時も自分自身の気持ちは休火山のままでありました。
数年前、先生から落款(らっかん)を頂いた事があります。
私の名の一番下の文字「哉」が彫られていました。
可愛い手作りのハンコです。
全く使われることなく仕舞われていました。
。。。。。。
「なぜ?気が付かなかったのだろう……バカヤロ~めが」
「たまには書いてみないか?」
と言う先生からのお気持ちだった事にも気が付かず😭
早速・・・・・・・筆や硯、下敷き、文鎮、墨を買いに行きましたよ
でも、驚いたのは町の文具店が無くなっておる。
小中学校の近くには必ずあった文房具屋さんですよ
お店のおばちゃんも書道に詳しくて楷書、行書、草書に適した筆や墨の濃さなどを教えてくれていたのになぁ…
小学生用のお習字のセットが欲しい訳ではなく、暴れる書にも対応できる…下手な人向け筆が欲しいのに、私のゴツイ手に合う筆が少なくて困りました。
気に入った筆や硯があっても超予算オーバーで超庶民の私には高嶺の花。
やっとの思いで納得できる筆をみつけ書斎の机の上を整理して、机いっぱいの大きな下敷きの上に硯、筆立て、文鎮を並べました。
机の上を写真に撮り、開設したばかりの書道部ラインの青春友に送り「復活宣言」
宣誓!
「頭に浮かび、その時に思いついた『書きたい字』を自由に楽しく書き続ける事を誓います」
自分で自分を強制するものではなく「自然と湧き上がる泉」のような気持ちを持って臨みたいという思いですよ。
すぐに先生からラインが入りました
「いい言葉を思った時が筆を執る時、
その臨場感がヤッチの言葉の形となって現れる、ヤッチの自然体が現れる
既成の形から自由になるには簡単な事ではない
「百錬」は筆の機能を知る
筆の線を知るためにできるだけ筆と日常的に親しくしていくことが大切
そして、いい言葉を書く時は練習なしで【気】一筆入魂だ!」
恩師のお言葉……嬉しかったな😊
それから具体的な筆と墨の使い方をお話下さいました。
でもね…先生
それは全て覚えていますよ
高校の授業…
書道の授業は今でもはっきりと覚えています。
あ、体育も覚えています…
苦手な化学(バケガク)など、ちんぷんかんでまるで分からなかった…
政経だけは得意科目でありましたが……
と、いう訳で「一筆入魂」の筆おろし
墨をたっぷりと筆に馴染ませて……
「考えて浮かんだ字よりも心の中から湧き上がった字(書)」
寝る前の密かな楽しみとなりました
一日に二三枚、少しづつ、「今日の字」を書き続ける快感~~~
書、描、至誠一貫、鯨、二九来ふくきたる、福来くるぞ、来福、新夏、元気だすぞ・・・・
まるで「書日記」
晩酌の感覚かな😊
先生は高校時代の授業でよく「色気を持って書いた書に感動はない」と仰っていました
「上手に書こう、褒めてもらおう」と言う色気です。
もっと、ありのままの自分を描き、日々の生活を大切にして一生懸命生きろ!
また、日展入賞作品についても「それがどうした!もっと大切なものが君達自身の中にある!」
権威とかに踊らされず「自分で見る」と言う姿勢をいつも手本に見せて下さいました。
私の「それがどうした!ぼくドラえもん」の精神の根源は高校時代の書道の授業だったのですね。
権力にあぐらをかこうとする「偉そうで知ったかぶりの野心家野郎」に牙をむく私の性格もここから来ているのかな😱
うん・・・・それはないか
P、S、
風呂に入っている時にふと思いました
湯船に墨汁をたらして墨風呂にしたらいい香りに包まれるのではないのかと……
家内の反応が怖くてまだ実験しておりませんが・・・
。。。。
祖父は僧侶でした
祖父の部屋からはお塔婆を書く墨の香りとお線香の香りがしました
本堂からは畳の香りも……
雨の日に靄のかかる大楠山を見ながら「和」の香りに包まれる
。。。。。
高校の書道室の香りも好きでした
石を投げれば女子高生に当たると言われた女子高から開校した我が母校は男子よりも女子が多かったのです
だから、書道室は女生徒の甘い髪の香りもいっぱいでした。
そう言えば……
人生初告白も書道室であったのでした。
声は裏返る、彼女は小刻みに震えておる
一発撃沈でありましたが、当時としては最大の勇気を振り絞った行動であったのですよ