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嵐・相葉雅紀「あんな恋がしてみたい」初の単独主演映画に込めた想いを語る<インタビュー>


映画「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」(公開中)が、初の単独主演映画となった嵐の相葉雅紀(31)。そんな彼に、今作に込めた想いについて語ってもらった。


今作は、山下達郎の名曲「クリスマス・イブ」をモチーフにした中村航氏の原作小説「デビクロくんの恋と魔法」を、『ジョゼと虎と魚たち』『のぼうの城』の犬童一心監督が待望の映画化。運命の女性と出会ってしまった光、幼なじみにずっと恋をしてる杏奈、元カレを忘れられないソヨン、恋に素直になれない北山。すれちがう4人の片想い。しかし、光にしか見えない相棒の“デビクロくん”が、聖なる夜に素敵なミラクルを呼び起こす。



相葉が漫画家をめざす書店員・山本光を演じるほか、光に片想いをするオブジェ作家の卵・高橋杏奈を榮倉奈々、光に運命の人と思われている世界的な照明アーティストのテ・ソヨンをハン・ヒョジュ、光とは大学時代の同級生でテ・ソヨンとは元恋人の売れっ子漫画家・北山一路を生田斗真が演じる。


また、お笑いタレントの劇団ひとりが声をつとめるデビクロは、光が子供のころに創ったキャラクター。ときどき光の目の前に現れるが、光にしか見えない。人には言えない光の本音を代弁していく。





― 最初に脚本を読んだときの感想をお聞かせてください。




相葉:脚本からはデビクロというキャラクターが何者なのかつかみにくく不思議な感じはありましたけど、ストーリー自体はピュアで心温まるお話だなと思いました。撮影中はデビクロがどのように動くのか、どんな感じで画面のなかにいるのか、なかなか想像するのが難しかったけれど、あっ、こういうふうになるのかと驚きました。


完成した映画ではデビクロのアニメ部分はすごくよくできていて、今まで観たことのないような映画になったと思います。何より、あんな恋がしてみたいと思いました。




― 光というキャラクターをどのように捉え、どのように演じていましたか?

相葉:光はすごく素直な人だと思います。小学校の頃から成長が止まっているような繊細さを持っていて、だから周りのいろんなことをスポンジのようにすべて受け止めてしまう。そして、喜怒哀楽の“怒”の部分をデビクロが補ってくれているんです。デビクロは光の毒の部分を背負ってくれている存在なんですよね。なので、僕の演技のなかに“怒”という演技はないんです。

光を演じるにあたっては、余計なことを考えないで、光の目の前で起きていることに精一杯な青年というのを意識していました。先のことを考えて動くような人じゃないと思ったので、とにかくそのときに起きたことに集中する。それは僕が脚本と原作から読み取った光像でもあります。なので、僕自身も素直に共演者に対してリアクションをしていくという感じです。ものすごく受け身の役柄でした。





― 光のことは好きですか?また、どのようなところが好きですか?


相葉:もちろん好きです。光は杏奈をはじめ周りの人たちに支えられてきた人なんですよね。そしてすごくピュアで、ファンタジーな空想をするところは彼らしいと思います。そして、運命の恋を信じている。人って誰でも、生きているといろんなハードルがあるじゃないですか。そういうものを乗り越えたり身を守ったり、そうやって大人になっていくと思うんです。


でも、おそらく光は向上心があまりなくてそれを経験してこなかったというか、ハードルを「越える」のではなく「くぐって」きたような人。そんなところが杏奈にも「わたあめ男子」といわれてしまうのだと思います。そんなフワフワと生きてきた青年が、本気になるんです。やっと気づくんです。


今まではミラクルが起きるのを待っていたけれど、ミラクルは起きるものじゃなく気づくものだと。あと、光はすぐに自分で自分の心を折ってしまうところがあるんです。すぐに諦めてしまう。それを杏奈がずっと光がそうならないように支えてきました。そう考えると、杏奈は精神的に相当強い女性ですよね。もういいやって投げ出したくなるところをずっと支えてきたんですからね。





― 犬童監督は「相葉さんで映画が撮りたかった」「この役は相葉さんにぴったりだ」と言っているそうですが、オファーをもらったときの率直な感想はを教えてください。




相葉:いろんな人にこの役は僕にぴったりだねって言われます(笑)。




― でも、相葉さんは向上心ありますよね(笑)? 




相葉:そうですね(笑)、僕自身は意外と熱いハートを持っています。光ももしかしたら熱いものを持っているのかもしれないけれど、要領がよくないのでわかりにくいのかもしれない。彼は計算しないから。


でも、そこが彼の可愛らしいところだとも思います。完成した映画を観たときに、僕自身は杏奈の気持ちで観てしまったんです。「光、しっかりしろよ!」って思ってしまう瞬間がありました。僕自身は光を演じているのに杏奈目線で観てしまうのはなんだか不思議ですよね。






◆榮倉奈々、生田斗真らの印象を語る



― 相葉さんから見て、幼なじみの杏奈の存在をどう想いますか?


相葉:杏奈はパーフェクトですよね。口は悪いですけど(笑)。子供の頃に光と交わした約束を大人になった今も果たそうとしている。すごく健気で一途。僕自身も杏奈のような健気な女性、好きですね。光にとっては、杏奈はいて当たり前の存在だからことあるごとに頼って甘えている。隣に住んでいることもあるので、杏奈を家族のように捉えて演じていました。





― 杏奈を演じた榮倉奈々さんは、どんな女優さんでしたか?





相葉:バラエティで何度かお会いしたことはあったんですけど、こうやってじっくりとお芝居をしたのは初めてでした。きれいな方で、性格的にもスマートですごく自然体で現場にいる方だったような気がします。





― 印象に残っている光と杏奈のシーンはありますか?




相葉:光がソヨンとデートすることが決まったとき、杏奈にソヨンの代わりをしてもらってデートの練習をするシーンがあります。買い物の後食事に行ったとき杏奈が光のトマトを食べてくれるんですよ。そのシーンは、僕的にはキュンとするポイントでしたね。きっといつもこうやって杏奈は光の苦手なものを食べてあげていたんだなって。そういうシーンで今までの2人の関係性を感じることができたというか。演じていて楽しいシーンでした。





― 犬童監督からはどんな演出があったのでしょうか?




相葉:撮影に入る前に、光という役をどのように捉えるかということと、シーンひとつひとつの説明、こういう方向性でいきたいというのを話し合ってから撮影に挑みました。けっこう細かいことが多かったですね。


そして、現場では監督がものすごく楽しそうに撮ってくれるんです。あと、このリアクションはいろんなパターンで撮ってみようかとか、映画ならではの撮影時間の使い方なんだと思うんですが、贅沢に時間を使って演出していただけたのは僕のペースとしてもやりやすかったし楽しかったです。



例えば、ソヨン役のハンさんとの居酒屋のシーンでは、会話のなかで「韓国語でマンションって何ていうの?」っていうセリフから、日本と韓国のマンションの定義の違いをアドリブで話したりしています。あれはたまたま本番で出てきた会話で、リハーサルのときは出てこなかった会話なんです。ハンさんとのシーンはその場で生まれた会話が本編でもそのまま使われているシーンがいくつかありますね。






― ソヨン役のハン・ヒョジュさんとの共演の感想も教えて下さい。




相葉:ハンさんは、撮影中の数ヶ月で日本語での会話が全部聞き取れるししゃべれる状態になっていて、日本語を覚えるペースが本当にすごいなと思いました。クランクイン前はまだ日本語の台本があまり読めないんですって言っていたのが、撮影が終わる頃には台本ぜんぶ読めるようになっていて。尊敬しちゃいますよね。役柄としてのソヨンもすごく格好いいクールビューティーで、光が運命の人だと一目惚れするのも分かりますよね。






― ソヨンとのシーンで思い出深いのはありますか?




相葉:光とソヨンの居酒屋のシーンで、ソヨンが酔ってテーブルに頭をぶつけるシーンがあるんです。ゴンッ!って、すごい音がしてリアルに痛そうでした。ハンさん、石頭なのかな(笑)。





― 相葉さんご自身は、運命の人をどう考えていますか?




相葉:子供の頃に思い描いた運命の人の像にぴったりの人が現れたら、そりゃあ恋しますよね。この人だ!って思いこんでしまう光の気持ちは分かります。きっと光にとってあまりにも衝撃的な出来事だったので、信じて突っ走っていってしまったんですよね。


光はその理想像を思い描いた小学生の頃から成長していないんですよ(笑)。でも、そういう光を演じるのは楽しかったですね。あと、光は、終始笑っているシーンが多かったけれど、実は切ないシーンがたくさんあるんです。ソヨンとのシーンも北山とのシーンも、ほとんど切ない。そう、割と切ないんです。




― 北山役の生田斗真さんとの共演の感想も教えてください。





相葉:ジャニーズJr.の時から一緒に踊っていたんですが、なかなか共演できずにずっと空いていたので、17年ぶりの共演は嬉しかったですね。共演のシーン数は多くはなかったのですが、撮影の空き時間にいろんな話をしたり当時の舞台の話をしたりしていたら、自然とその空いていた時間が埋まっていった気がしました。楽しかったです。





― 相葉さんからみた北山はどんな男性ですか?




相葉:北山も北山なりに壁にぶつかりながら、都度そこから自分ではい上がっていく人間だと思います。すごく頑張っている男ですよね。






― 印象的な北山とのシーンはありますか?




相葉:本当にね、ちょこちょこいいところで北山が出てくるんですよ(笑)。北山のオフィスで一緒にプリンを食べているシーンもよかったけど、やっぱり一番印象に残っているのは神戸で撮影したイルミネーションのシーン。あの日はものすごく寒かった(笑)という意味でも、思い出深いシーンになりました。






― 真冬の撮影は、寒さとの戦いですよね。




相葉:本当に寒かったですね。何枚インナーを着ていたことか(笑)。イルミネーションのシーンも寒かったけど、ハンさんとの最初に出会う、道の曲がり角でぶつかるシーンの撮影をした日も寒かった。本当に寒さとの戦いでした。





― 道の曲がり角でぶつかるあのシーンも、いいシーンでした。




相葉:ですよね。吹っ飛び方とかも何パターンか挑戦したんです。そういうシーンって、完成した映画を観ながら、そういえばあんなふうに撮影したなぁとか、撮影風景が頭をよぎりますよね。屋上のシーンもね、思い出すなぁ。何度か出てくるピドゥルギ(鳩)のシーンとかは、監督から「もっとわかりやすく謝って」って言われたのを覚えています。すぐに「ごめんなさい」って謝っちゃうのが光らしさでもあるので、そこはもっと強めに出していこうと監督と話していたんです。




― 犬童監督の印象を踏まえて撮影現場の雰囲気をお聞かせください。


相葉:1度ももめたりすることもなく、怒鳴り声もない、すごく穏やかな現場でした。犬童さんが、いつも笑顔なんですよ(笑)。




― 印象深いエピソードをひとつ挙げるとしたら?




相葉:やっぱり、神戸のイルミネーションシーンはものすごく綺麗でしたね。普段、ああいう場所に行くことがないので、撮影とはいえ楽しんじゃいました。






◆映画単独初主演の心境・クリスマスの思い出も明かす



― 映画単独初主演でしたが、主演という気負いはありましたか?

相葉:主演としての気負いはなかったです。みんながそれぞれの役割を頑張っていこうという感じになればいいなと。本当にチームワークが良い現場だったので、空港でのクランクアップの日はこれで終わってしまうのかと、すごく寂しかったのを覚えています。



クランクアップの日は撮影時間が限られていて、大変だったんです。汗びっしょりの姿でよく走った日でもありますね。あのラストシーンはハッピーエンドで本当に良かった。どんなことでも、諦めちゃいけないんだなって思いました。





― そんな「諦めないこと」を含め、この映画にはどんなメッセージが込められていると思いますか?


相葉:大切なものは身近にあるっていうデビクロのセリフがあるんですが、本当にそうだなぁって思います。要はそれに気づけるか気づけないか。デビクロのセリフって、いいセリフがたくさんあるんですよ。やわらかい言葉だけれど、突き刺さってくる。そ


れを言わせているのは光自身でもあるんですけどね。幸せになりたいとか、恋がうまくいくようにとか、そう思うことは当然なんだけれど、この映画と出会って、それらはつかみに行くものじゃないんだなと感じたんです。気付けるかどうかなんだなと。気づいた先にミラクルがあるんじゃないかなと思います。






― ちなみに、デビクロ通信で1番心に刺さったのはありますか?




相葉:「泣いてもいいよ。ボクがわらう。わらってもいいよ、ぼくもわらう」というのは心に突き刺さりましたね。光っぽさ満載の言葉だなと思いました(笑)。





― 今作は4人4様の片想いが描かれています。相葉さん自身の片想い、初恋の想い出話をひとつ聞かせてください。




相葉:幼稚園の頃、お昼寝の時間がすごく楽しかったんですよね。こそこそしながら好きな子のそばに行って、お昼寝してました(笑)。そういう幼い頃の初恋の記憶を思い出させてくれる映画でもあるし、いま好きな人や大切な人に会いたくなったりもする映画でもある。本当に、恋がしたくなる映画だと思います。




― クリスマスの思い出話も聞かせてください。




相葉:僕はクリスマス・イブの誕生日なので、相葉家にはサンタクロースというのがなくて、誕生日としてプレゼントをもらっていたんです。でも、可哀想なのは弟。家族にとってクリスマスは僕の誕生日としてだけ祝う日だったので、弟もクリスマスプレゼントがなかったんです。今年のクリスマスは弟に何か贈り物をしようと思います!









生田斗真、17年ぶり共演の相葉雅紀&撮影現場の雰囲気を語る<インタビュー>


俳優の生田斗真(30)が、嵐の相葉雅紀にとって初の単独主演映画になった「MIRACLE デビクロくんの恋と魔法」(公開中)に出演し、17年ぶりの共演となった相葉について語った。


― 脚本を読んだときの感想を教えてください。

生田:こういうクリスマスムービーというジャンルの作品に出た経験がなかったので、新鮮だったのと、家族で観られるような、ちょっとあったかい気持ちになれるような映画になればいいなと思いました。ストーリー的には、アニメーションと実写が一緒になっているのも興味あるところですし、実際にどんなふうな映像になってくるのか楽しみでもあったんです。



完成した映画を観て、とても可愛らしい映画というか、大人の恋愛の話ではあるんですが、脚本を読んだときに感じたように、家族みんなで観ても楽しめるクリスマス映画になったなぁと。撮影中から楽しみにしていたアニメーションに関しては、観終わった後に「劇団ひとりさんがデビクロの声をやっていたのか!」と気づいて。それくらい、劇団ひとりさんの声はデビクロにぴったりでしたね。




そんなデビクロのセリフがいろんな局面で光を支えたり、救ったりしていたのもよかったし、幼なじみでずっと同じ時間を過ごしてきた男の子と女の子が、年齢を重ねるごとに意識していく感じもよかった。なにより、主人公の光という役が相葉くんにあっているなという気がします。すごく。





― それは昔から相葉さんを知っているからこそ思うのですか?




生田:彼がどういう生活をしているかはさすがに詳しくは知らないですけど(笑)。でも、あの笑顔の奥に潜んでいる、ちょっと憂いを帯びている表情であるとか、ちょっと悲しさが混じったような明るさとか、そういうのが相葉くんに合っていると思うんです。そういうのが透けて見えた。



光っていう役は彼のなかにも大きく存在していると思いましたね。そして、映画の中のキャラクターではあるけれど、現実にも光のような人って多いんじゃないかなって思うんです。仕事においても恋愛においても、あと一歩が踏み出せなかったり、誰かに背中を押してほしい人って、今の時代の若者には多いんじゃないかなって。また、そういう人、光を支える活発な杏奈は見ていて気持ちがよかったし、お互い素直になればいいのになぁって思っていました(笑)。






― その中でも印象的なシーンはどこですか?




生田:やっぱり、恋のライバルのソヨンが現れてからの杏奈ですね。私、やっぱりこの人(光)のことが好きかも…という想いがありつつも、それを隠しながら光と会話をしている姿は歯がゆかった。






― ちなみに、生田さん自身は杏奈のような女性はどう思いますか?




生田:僕、杏奈みたいな女性、好きですね。近所のおじさんおばさんとも仲がいいんだろうなぁと。そういう明るくて、しっかりしている女性、好きです。






― ハン・ヒョジュさんが演じたソヨンというキャラクターもどう思うのか教えてください。




生田:僕が演じた北山に光が劣等感を感じたように、杏奈はソヨンに劣等感を感じている、そう思わせるシーンがありますよね。ソヨンみたいに綺麗じゃないし、うまく笑えないし…っていうシーンがあるように、杏奈にそう思わせてしまうほど、本当にキラキラしたキャラクターだったと思います。そして、その中にある癒されない部分やピースが欠けていたりする感じを、ハンさんはとてもうまく演じていたと思います。





― 4人4様の片想いには4人4様の繊細な演技が表現されていますよね。

生田:ですね。一歩踏み出す勇気、想いを打ち明ける勇気というのが、クリスマスといったイベントの力を借りて4人それぞれが動き出していきますからね。僕自身もそういう経験というか──クリスマスシーズンは女の子の存在を意識したりというのはあったと思います。クリスマスの時季というのは特に街がキラキラしているので、今日は何か起きるかもしれない!という小さな奇跡を信じたくなりますよね。






◆「嫌なヤツ感が出ていると思う」演じる上で心掛けていたこと



― 北山というキャラクターをどのように演じたのか教えてください。




生田:自分の演じた北山は、要所要所で出てくるキャラクターなので、彼はなぜこういう言動をとっているのか、という助走部分はほとんど描かれていないんです。なので、北山のワンシーンワンシーンの背景も表現できるような、説得力をもたせられるような芝居ができたらなと思って演じていました。それにしても、相葉くんの演じた光や榮倉さんの演じた杏奈があまりにも純粋だったので、北山はなんて格好つけているんだろうって、完成した映画を観て思いましたね(笑)。



― 監督からはどんな北山を求められたのでしょうか?

生田:光と北山は同じ大学に通っていて、スタートラインは一緒だったはずなんです。でも、時を経て光は北山との差に愕然とするというか、ちょっと劣等感を感じるような、そんなキャラクターにしなくてはならなかった。そこは意識していました。



光と比べたら北山は社会的な地位とか名誉とかそういうものを手に入れているけれど、光が一歩踏み出す勇気が必要だとしたら、北山は振り返る勇気というか、自分の過去を見つめ直す勇気が足りないんだろうなって思いますね。それでも、映画の後半で勇気をふりしぼりますけどね。



どこか影を感じる男って女性からしたら魅力的なんですよね?なので、私が何とかしなくちゃ、支えてあげたいって思わせるような、そんな要素が北山に必要なのかなと。あと、光とのシーン、コミケ会場のシーンとかは、ちょっと鼻につく成功者っていう見え方を出しつつ、成功を手に入れても何かが足りなくて、それを探し続けている寂しい男なんだなというのが徐々に分かっていけばいいなと思って演じました。若干の嫌なヤツ感が出ていると思います(笑)。






― 光のような男性をどう思いますか?




生田:男からしたら「シャキッとしろよ!」って思うこともあるんだろうけれど(笑)、杏奈のような女性と一緒に過ごしてきたらこそ、彼のいい部分がちゃんと活かされている。それは純粋さであったり──あんなふうに純粋に人を思えるっていいなぁと思いましたから。そんな純粋な光を相葉くんが演じるとほんとに無理がない。そうだよな、光ならそうするよな、って思わせるんです。






◆17年ぶり共演の相葉雅紀、撮影現場の雰囲気、初恋の思い出も語る





― 相葉さんとは久々の共演ですね。




生田:17年ぶりですね。その時は映画ではなく舞台だったんですが、お芝居のことはぜんぜんわからなくて、ひたすら与えられたセリフを覚えて、演出家さんに言われたことをやるという現場でした。役者という仕事をやっている感はなかったですね。なので、大人になってからの共演はこれが初。知っている仲だけれど、共演となるとなんだか照れくさい感じもして、でも感慨深くて、不思議な感覚でした。




― 犬童監督の印象を踏まえて撮影現場の雰囲気を教えてください。また、犬童監督の演出で思い出深いものはありますか?




生田:犬童組は初だったんですが、わりと自由にやらせてもらいました。クランクインの最初のシーンが北山とソヨンの回想シーン、英国で2人が暮らしていた頃のシーンだったんですが、声は一切使わないシーン。監督からは、こんな感じのことを話してください的にアドリブからスタートした現場でした。そのシーンは、とにかくソヨン役のヒョジュちゃんが可愛く映ったらいいなというのが一番で、でも会話の内容はごく普通の会話(笑)。彼女がすごくいい表情をしてくれたので、最初は引きの画だけの予定が寄りの画も撮ることになって。こうやって現場でいろいろとカットが増えていく監督なんだなって思いました(笑)。あったかい現場でしたね。






― 現場の温かな雰囲気とは対照的に、真冬の撮影は寒さとの戦いだったと思います。オールロケを振り返ってみて、思い出深いロケ地はどこですか?





生田:神戸ロケはすごく寒かったですね。あの日はエキストラの方も数多く参加してもらって、とても感謝しています。クライマックスに向けた重要なシーンということもあって、日の出ギリギリまでねばって撮影していたシーンです。思い出深いのは、相葉くんの現場での過ごし方。エキストラの方が寒いなか頑張ってくれていたからなのか、相葉くんは控え室に戻らずに外で待機していることが多くて。そういう姿を見て、この人はこういう過ごし方をするんだなぁと、感心したのを覚えています。




― この映画にはどんなメッセージが込められていると思いますか?




生田:光は、運命の人を探していて、ようやくソヨンという運命の人と出会うわけです。仕事ができて綺麗でキラキラしている、そんな運命の人を見つけたんだけれど、実はもっと近くに運命の人はいるんじゃないの?と気づかされるわけですよね。自分のことを大切に思ってくれている人とか、大切にしなきゃいけない人って、誰にでもいるんだなって思いましたね。



その上で、自分の気持ちを伝えて、相手に優しく接するってすごく大切なことなんだなって。素直になるのって難しいんだなとも思いました。光も杏奈もソヨンも北山も、キャラクターそれぞれに言えることだけれど、素直になりたくても何かしら自分の中での折り合いがつかなくて日々を生きている。素直になるのは大変ですよね(笑)。でも、恋愛においては、いろんなシチュエーションが後押ししてくれることもあって、彼らの場合はクリスマスというシチュエーションが人生を動かしていくんですよね。






― 生田さん自身の片想い、初恋の想い出話をひとつお聞かせください。




生田:小学生の頃、運動ができたり、授業中に率先してハイ!って手を挙げたりする、そういう活発な女の子に惹かれていたなぁというのをこの映画を観て思い出しました。






― クリスマスの思い出話をひとつ聞かせてください。




生田:子供の頃、自分の家族と近所に住んでいた仲良しの家族と一緒にクリスマスパーティをしたことがあったんですね。その時、家の奥の部屋の扉をカチャって開けたら、おじさんがちょうどサンタの服装に着がえているところで(苦笑)。見てはいけないものを見てしまったと、そのまま何も言わずにドアを閉めた記憶があります。小さい頃はサンタを信じていたし、少し大きくなってからも、サンタはいないと分かってはいつつも、やっぱりおじさんが着がえているのはね、ちょっぴり苦い想い出です(笑)。