『熊と踊れ』(上)、『銀色の猫』、『熊と踊れ』(下)の次に取り掛かったのは、安部龍太郎『冬を待つ城』。

 

北欧ミステリと時代小説を交互に読む。

 

新型コロナウイルス感染が世情を賑わせるとき、暗く陰鬱な犯罪小説の『熊と踊れ』を読むのは気持ちが沈んだ。それに引き換え、歴史小説はどこかで自分たちとつながっているものの、はるか昔の、遠い世界の出来事で。いわばひととき夢を見るようなものである。

 

『冬を待つ城』の舞台は、奥州九戸という“がね”にとっては未知の土地であり、未知の人物たちが血沸き、肉躍る活躍をする。これが面白くなかろうはずがない。

 

 

ここで裏表紙

小田原の北条氏を滅ぼし、天下統一の総仕上げとして奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その兵力はなんと15万。わずか3千の城兵を相手に何故かほどの大軍を擁するのか。その真意に気づいた城主九戸政実は、秀吉軍の謀略を逆手に取り罠をしかける。あとは雪深い冬を待つのみ――。跳梁する間者、飛び交う密書、疑心暗鬼、そして裏切り。戦国最後にして最大の謀略「奥州仕置き」を描く歴史長編。

 

 

読み終えると、虚実入り交じる壮大なスケールの一大叙事詩であり、ファンタジーである。感動しかない。影響を受けやすい“がね”は、四万十川に行ってみたいと言っていた舌の根も乾かないうちに、岩手県の九戸、そして馬淵川(まべちがわ)に行ってみたくなった。

 

思うばかりで、ひとつも実現しないまま終わるのが常であるが・・・。

 

 

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