ゴルフのスコアが116で落ち込んだからというのではない。

スウェーデンを舞台にした小説「ミレニアム」を読み続けているとき、同時に読み始めた小説がある。

田辺聖子「おちくぼ物語」。

 

うわ~、これはまた、なんという小説か。

カルチャー・ショック。

 

ということで、一旦、本を閉じて、その後は「ミレニアム」を読むことに没頭した。一応「ミレニアム」を読み終えたところで、再び「おちくぼ物語」の本を開いてみる。

 

王朝絵巻のような時代物ではあるが、明るく軽い登場人物の軽快な言動にというか、田辺聖子の筆力にあっけにとられ、翻弄されながら、少しずつ先へと読み進める。

 

その頃は仕事が忙しい時季であり、その他、各種所属団体や趣味のグループ活動などの予定が目白押しであった。その合間を縫い、ブログ記事を更新し続けることすら容易ではなかった。

 

ということでなかなか先に進まないまま机の引き出しにしまっていた。ただし中断したところで、話の内容がそれほど込み入った話ではなく、むしろ分かりやすいものであるから、なんの支障も生じない。

 

 

などと、要らぬことをダラダラと書き連ねたところで何の意味もない。ここは例の如く、文庫本の裏表紙の美内すずえによる解説をそのまま書き写しておこう。

 

高貴な生まれにもかかわらず、意地悪な継母に、床が一段窪んだ狭い部屋に住まわされ、一日中縫い物ばかりさせられていたおちくぼ姫。ところがある日、都で評判の青年貴公子・右近の少将が、不幸な境遇の姫の噂を聞きつけて・・・・・・。美しく心優しい姫君と純愛を貫こうとする少将の平安王朝版シンデレラストーリー!

 

デジタル大辞典の解説によれば、

おちくぼものがたり【落窪物語】

平安時代の物語。4巻。作者不詳。源氏物語よりもやや早い成立か。中納言忠頼の娘が、継母にいじめられて落窪の間に押し込められるが、左近少将道頼に迎えられ、中納言一家も栄える。継子いじめという陰湿な主題を、客観的叙述により明るくおもしろく描いたところなど、後世の物語に与えた影響は大きい。

 

無論のこと、原作の存在を知らずに田辺聖子「おちくぼ物語」を読んだ。継子いじめと継母いじめの話だけど、とにかく明るい。それというのもおちくぼの君に幼い頃から仕えている侍女「阿漕(あこぎ)」の活躍があるから。小説における阿漕の登場シーンを引用する。

 

すると、簀子の縁の端の、妻戸が開いて十八、九の姿のいい女が出てきた。髪の長い、色白の、身のこなしが生き生きして、はしっこそうな女である。小ざっぱりした蘇芳色の袿の裾をさばきながら、つかつかとやってきた。そうして、男を見おろし、軽蔑したようにずけずけいう。

「また来たの、性こりもなく・・・・・・。あんたの用なんか、わかってるわ。なんべん来てもムダってもんよ。さっさとお帰り」

 

阿漕が好きになった。

う~む、田辺聖子「源氏物語」も読んでみようかな。

 

 

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