わいた山はげの湯登山口に着いたので車を停めて歩こうと思ったら、もう少し先まで車道があるという。それならばと車を走らせると舗装がなくなり、落石がごろごろと転がっている道だった。
2、3回、車を下りて石を道路わきに放り投げながら車を走らせると、タイヤが通るところが凹み道路の真ん中が盛り上がっている。車高の高いRV車であれば問題ないのだが、普通車ではゴンゴンと車体の底に当たってしまう。
そんなときにはできるだけ真ん中の高いところをタイヤが通るように走らせるとよい。何事も学習が必要である。下山後の帰り道ではRV車に人を詰め込み、がねは一人で運転すると全く路面を擦ることがなかった。
ようやくわいた山の登山路に足を踏み入れると、頂上までずっと登り。
前夜は観劇のため帰宅が遅くなり、それから酒を飲み、暫く寝て目が覚めたので睡眠不足であり、頭も腹具合もよくなかった。歩き始めるとすぐに喘ぎ始め、頭も腹も足もすべてが歩きに対して抵抗している。ときどき立ち止まり写真を撮るときが救いである。
草木の枝に氷がくっついている。霧氷、樹氷の保育園児。まだこれから成長を始めるという氷の瑞々しさ。これまで見たことがない。もちろん写真や映像で見ているから不思議ではないのだけど、やはり目の当たりにすれば自然界の営みになにがしかの感慨を抱かざるを得ない。
北国の山では草木の全体が凍りつき、氷に閉じ込められるまで過酷な自然があるのだろう。九州の山ではそれほどまでにはならない。草木の本体を保ったまま、一部に氷の装飾を施す。枝を揺らすと、霜のような氷は枝を離れ、はらはらと風に舞う。(続く)






