米焼酎とロシア料理のコラボ企画の夜だけど、もう一つの側面は“朗唱の会”の集まりでもあった。

朱判さんからの案内に雨読さんとがねが呼応した形だったから。

誘ってもらわねば経験できないことであり、有り難いことだった。


“ゆう和”には大勢の人が集まっていて、がねのテーブルからはきれいなご婦人が見えた。

雨読さんからはがねと壁しか見えない。


「美しい人がいる」


がねが教えてあげると、朱判さんが席を立ち、その女性に話しかけた。

すぐに女性は、我々のテーブルに椅子を運び、テーブルのセットがなされることになった。


美しい人


話は聞いてみなければわからないもので、ソプラノ歌手、福島由記さんのヘアメイクを担当する人だった。

オペラ「椿姫」、「細川ガラシア」などのヘアメイクをしたのだという。

きれいなだけでなく、話題が豊富で明るいから、もうすっかりその女性を囲む会に変貌してしまった。


この人の屋号は「希麗屋」。

このような出会いがあるから、面白い。


すっかり意気投合して

「(今後)何かあったら連絡下さいね」

ということになった。


がねは人様の話を傾聴するだけで、さしたる話もしなかったのだが、

“次回“朗唱の会”、花見はできるかな“

と朱判さんがつぶやいた。