僕は神社好きですが、靖国神社というのは、政治がからむという点でも、ご祭神のつくられた方という点でも、かなり特殊です。

勿論、大きな神社は政治がからみます。東大寺の大仏建立や道鏡事件に神託をくだした宇佐八幡宮しかり、菅原道真を祀る天神さましかり。古くは伊勢神宮や出雲大社もそうです。しかしこと現代においては、靖国神社こそ最も政治との関連をうわさされる神社でしょう。

そして私が靖国神社に注目している点がひとつありまして、それは”敗者の視点”から太平洋戦争そして日本を語っていることです。

通常、歴史というのは戦争の勝者が語るものです。勝者にとって都合の良い情報が残り、都合の悪い情報は消える。これはおそらく地球上の全ての場所で通じる普遍的な法則でしょう。当然、太平戦争後の日本においても、戦勝国の論理・価値観に基づいて、日本の社会制度や教育、文化がつくられてきました。

現代に生きる日本人の常識の多くは、イコール太平洋戦争の勝者である米国、英国、ロシア(旧ソ連)、中国などに植え付けられたものです。そしてその常識は、世界の常識でもあります。

それに反発を感じているわけではありません。まぁそういうものだよねと。そして敗者である日本の言い分は消える・・・かと思いきや、靖国神社には残っているのですよね。これはなかなか面白い現象であるなと。

義経の判官びいきではありませんが、敗者の視点から語っているというその一点において、私は靖国神社の存在を肯定的に見ております。あ、靖国神社的な歴史観で日本を統一すべき、とは思いません。色々な視点があった方が良いということです。

その上で、もし日本の内閣総理大臣が参拝したいと言うのであれば、どうぞご参拝くださいという意見です。参拝したくなければ、それもまたご随意に、です。靖国に関連する外交問題については以下のように考えます。

●中国韓国からの反発について:

安倍総理がしている事はただ神社を参拝しているだけです。別に他国の国旗を焼くわけでも無く、他国の建物を壊すわけでも無く、他国の大使館を襲撃するわけでも無く、他国を攻撃・非難するような過激な発言をするわけでもありません。

したがって、ここで引くと、これはこれで、暴力を正当化することになります。一度参拝したのであれば、このまま参拝し続けて、筋を通した方が良いでしょう。

●米国の失望なるものについて:

米国の失望は、中国と仲良くしてくれというメッセージでは無いです。米国と緊張関係にある中国とは、日本も緊張関係があって当然(米国の立場から見たら、ですよ)。しかし米国の同盟国である韓国とは仲良くして当然だと。アメリカからすれば、同盟国の日本と韓国はお互い協調してもらわないと困るし、普通そうするだろうというのはアメリカの立場からすればそうでしょう。

ただ、もし韓国がこのまま中国と接近し続けると、韓国とも緊張関係にあっても仕方無いよね、という方向に日米がなっていきますからね。これでもし北朝鮮が逆に日本と接近し、そして日本を通じて米国と接近したら、韓国は相当に難しいことになりますが、韓国はそれで良いのでしょうか?

これはあくまで外交的な視点ですが、韓国が、中国側では無く米国側であるということを、もっと鮮明にすれば、米国も安倍さんにがっちり圧力をかけてきて、安倍さんも折れざるをえなくなる所まで追い込まれるでしょうし、折れられないのであれば、退陣です。

しかし今のように中国と一緒に日本に圧力をかけ続けるのであれば、それは韓国にとってはまず間違いなく逆効果になります。せっかく安倍さんは親韓派なのですから、韓国は親密に付き合えば国益にもなると思うのですが。