さて、日本の売上高上位企業の30社分の開示情報でサステナビリティを見てみまして、ではどうなって欲しいのかということです。
大口の投資先として妥当なのかという判断基準としてのサステナビリティ情報開示基準であるため、最低限の基準でしかない開示基準となっているのは仕方ありませんが、それでも、問題なしと判断せざるを得ない報告書、報告内容ばかりであり、これが意味のある、あるいは価値のある情報とは思えません。
やはり、企業やその製品やそのサービスを組織(外国も含む行政機関や企業や市民団体)や市民がその開示された情報を見て、選択し、サポートすることができるような差別化するための情報の開示でなければならないのではないでしょうか。また、その際、その企業、製品、サービスを選択するのは顧客に限らず、行政が補助金を出すとかそういう基準にもなっていいんじゃないでしょうか。
では、それは今の情報と違うのかといえば、当然、違ってくると思います。
まず、その企業自体が、その存在が環境、社会にとって良いものなのか?悪いものなのか?ということが見えるようにする。これは、これまでの社歴でどの位の悪影響と良い影響を与えてきたのかという数値など。環境で言えば、どの位汚染してきたのか、どの位排出してきたのか、どの位清浄化してきたのかという数値と未来に渡って、今後、どの位汚染するのかという予測やコミットメントなど。
次に、その企業の製品やサービスが、環境、社会にとってどの位良いものなのか?悪いものなのか?消費者が選択する基準となるものです。できれば、ここには、政府や行政による補助金などの優遇措置も含んで表示できると良いし、そのまま、その製品やサービスを選択して発注できる仕組みであることが望ましいとも思います。購入者が税制の優遇措置なども選択画面でワンクリックで行えると良いですね。さらに、関連のデータが同時に比較できるようになると良い。例えば、自動車の購入画面で、中古車とも比較ができるし、公共交通機関とも比較ができるし、自転車や徒歩とも、リモートワークとも比較できるようになっていて、その上で、消費者は新車のオプションまで選択できるようにするなど。
そのように消費者が未来の社会のために行動できる情報を開示して、そこで比較対象となる情報について要望し議論する場も必要かなと思います。こういう指標が見たいとか、我が社はこういう指標で見て欲しいとか、より良い未来の社会を目指して、そういう提案がされる仕組みです。そういう指標については、個別に提案はあると思いますが、法制化にはまだ至っていないので、今後、議論して追加していくべきでしょう。
現在、社会面では、非正規雇用の問題があり、正規従業員を増やすべきだという意見があります。そこでは、非正規雇用は正規雇用の10%程に抑えるべきだという意見もあります。働き方の選択肢として多様な働き方を支援するといった風なことも言われていましたが、やはり、正社員として優遇する中で、個人の事情や状態にも対応できるようにするのが本筋でしょう。よって、社会面では、非正規雇用従業員率などの指標も考えられます。
また、私案としては、日本はスマートにシュリンクすべきだと考えているので、企業は限られた資本を有効に活かすべきだろうと考えています。そこでは、従業員一人当たりの売上高や保有土地面積あたりの売上高などの指標も含めて、開示し、競い合うことで、日本社会の資本効率性が上がり、ヒトにとっても豊かな社会となるように思われます。
そこで、売上高トップ企業でのそういった指標について、比較検討してみると、
非正規従業員の比率は、今回調査した30社で、平均0.27。正規従業員の比率が高いと言える0.2を下回っていたのは、約5割でした。
正規従業員一人あたりの売上高は、同平均93百万円/人・年で、100百万円/人・年を上回ったのは7割でした。
保有面積あたりの売上高は、同平均161千円/平方キロメートル・年で、700千円を上回ったのは3割でした。
いずれの指標もクリアしているのは、ソニーと豊田通商だけであり、他の企業はいずれかの指標において課題がありました。
やはり、達成率を見ても、保有面積あたりの売上高が最も低いため、売上を生み出していない土地を多く保有しているとかの非効率性があるかもしれません。非正規雇用の見直しによる正規従業員化や従業員の売上高に対する効率性はDXなどにより今後高めていくことになるのだろうとは思います。