やはり、今のところ、この明治時代以降の将棋界の歴史の中で、最強と言って良いでしょう藤井聡太さん。

記録の面では、タイトル99期の羽生さん、さらに亡くなるまでずっと順位戦A級の大山さんがいますが、棋界トップでのこの勝率という意味では藤井さんが最強という可能性は大いにあります。

問題は、この勝率がいつまで続くのか、藤井さんからタイトルを奪っていく棋士が現れるのかということでしょうが。

 

まず、驚くのは、詰将棋と言われる、将棋の最終盤での見え方の速さです。

これはトップ棋士には必須の力と言われていますが、その強さがアマチュア時代の小学六年生にして、どのプロ棋士よりも上回っていたということです。

これは、野球で言えば、小学六年生にして、プロ野球の誰よりも打球が遠くに飛ばすことができる、あるいは、プロ野球の誰より速い球が投げれるというようなものです。

流石に体を使うスポーツなので、野球でこのようなことは不可能でしょう。

ただ、高校生で、そういう選手が出てくることはあり得るのかなとは思いますが…今のところ見たことはないですよね。

将棋は最終盤の一手のミスが勝敗に直結するゲームです。したがって、この詰将棋の強さは最も大事な能力です。

果たしてそういう小学生がまた現れることはあるのでしょうか?まず、ここが最重要ポイントかと思います。

 

次に、能力面で驚くのは、序盤や中盤での構想力です。

これまでの将棋界の歴史において、トップ棋士はデビュー直後は圧倒的な終盤力で逆転勝ちが多かったようです。

ところが、藤井聡太さんは、序盤や中盤でもミスがなく、むしろリードを奪うことも少なくありません。

多くの戦型を採用することはなく、少ないパターンでの序盤であることが多いのですが、その限られた戦型について深く理解し採用しているようです。これも、珍しいこと。また、プロ棋士になって8年ですが、未だに3連敗をしてことがないため、スランプと指摘された経験がない。だから、戦型などで悩んだ経験がないのかもしれません。

大山さんも羽生さんも、勝てない相手がいた時期がありました。高い勝率の中ではありますが…。藤井さんには今のところそういう経験がないように見えます。このあたりはAIを使用した研究や、トップレベルの研究者である永瀬九段という最高の練習パートナーがいたという幸運もあったかもしれません。

 

さらに、人間として最も大事な能力、つまり、体力です。

健康面での不安は、当然、棋力に関係してくるかと思います。

今のところ、二十代前半で体力面の不安はそうないかもしれませんが、これから年齢を重ねてきた時にどうなるかというのはあるかもしれません。

羽生さんも四十代で足腰の不調があったと言います。二日制の対局でずっと座りっぱなしとかはきついような気はします。

また、思考に要する頭の体力、集中力も二十代は問題ないでしょうが、四十代ともなってくるとネックになる可能性はあるかと思います。

羽生さんの獲得したタイトル数を上回るには、少なくともあと十年は同様な活躍を継続する必要があります。

その時まで、体力がもつか?まあ、もちそうですね。

 

そして、精神力、吸収力もあるかもしれません。精神面での卓越した強さ。

将棋の対局というのは、かなり緊張を伴うものらしい。駒を持つ手が震えるというのもよくある話です。

一回間違えたら負けという緊張の中で、秒読みされて、戦うというのは相当なストレスでしょう。

藤井さんも緊張した面持ちな時もありますが、それでも、切り替えの速さや落ち着きなど、藤井さんの精神面の強さは素晴らしいように見えます。

ただ、これからも成績を維持するためには、周りの方の協力も必要でしょうし、さらに運もあるんでしょうね。まあ、藤井さんの場合、それも問題ないような気はしますね。

 

藤井さんを超えるような棋士が現れるとしたら、それも楽しみですが、まあ、現れそうにないですね。