ここに気持ちがある。

ここに心がある。

と、胸に手を当てて思うことはありますか?


(私は無いです)


胸にあるのは、気持ちじゃなく、

心じゃなく、血液を送り出す心臓しかないのです。


耳で聞いて、目で見て、

記憶を脳に留める。

似たようなことを聞いたとき、

似たようなものを見たとき、

その記憶というものを呼び起こし、

そいつをちょっと手前の列に置く。


その最前列に並んでいる僕の記憶が、

僕自身である。


そして、その僕自身は、心臓の動きと一緒に記憶されている。


心拍数が上がる記憶たち、

心拍数が下がる記憶たち。

そいつらの記憶を最前列に並べ出す。


そういうのが記憶で気持ち。

いつもそういう記憶による気持ち。


だから、マティスの赤で、

いつも心拍数は一定になり、

ピカソの青で、

心拍数は急上昇する。


記憶しか無い。気持ちはない。


(そんな気がする)