名作な感じはしないが、これぞ映画の秀作だと思う。
オープニングで、私の人生を語るよと言葉の分からない人にも判るように伝え、
サンセバスチャンでの出来事と
これまでの人生と
これからの人生に向かう動機付けが示される。
それが、実にわかりやすく、しゃれていて、笑えるように描かれている。
主人公のハゲ具合、チビ具合、ガニ股具合はたいへんな現実味があるし、あの歩く姿がまた可愛らしくもあり、映画のテンポを作る。
主人公の嫁さんのセクシー具合、
そのお相手の映画監督の抜け具合は
ボンゴを叩かせたり、政治を語らせたり、(戦争は地獄!)笑。
つまり、主人公の人生やサンセバスチャンでの出来事を我々は見て思うのである。
さえない風貌だし、弟は金持ちでセクシーで自分が好きだった女性と一緒になったし、理知的なところを好きと言ってた妻は有望な若い映画監督と一緒になろうとし、サンセバスチャンで会った素敵な女医には振られて、終いには、精神科医?カウンセラー?にカウンセリングを受けるようになってしまったが…
彼の人生、全然悪くないじゃないか!と
ということは…
我々の人生も色々あったし、
今、我々はさえないかもしれないが…
全然悪くない!!
と
そう気づかせるというのが、この映画である。
そういう意味で、それをたった1時間ちょっとで表現するって…
やはり、ウディアレン…すごい才能だとエンドロールを見ながら、感じ入った次第でした。
また、映画はたいそうなテーマや事件やメッセージやCGなんか無くても、こんなに心に届く映画もできるんだという強いメッセージも感じてました。
ウディアレンさん、80代後半らしいけど素晴らしいですね。
次回作も楽しみです。