地球を酸素いっぱいの大気の星にしたのは、微生物である。

今、大気中の二酸化炭素を吸収し、酸素にしているのは植物性プランクトンと植物である。

彼らは、海や川や地中に住んでいて、生きている。当然だが、コンクリートで囲ってしまうとその活動は制限される。増えることが困難になったりするかも知れない。彼らの活動のためにはコンクリートで囲わずに酸素を供給することが必要だし、栄養分も必要だ。


 広葉樹の落ち葉や植物の果実や種子や根、それをカロリー集積した昆虫や爬虫類が栄養となる。爬虫類、鳥類、両生類、哺乳類、皆のフンが、噛み砕いて溢した食糧が、その死体が、土に栄養を与える。栄養のある土地は地盤を強くし、清浄な地下水や肥沃な土地を産む。森に住む動物は森を育てている。


 だが、今、生物種が減っている。絶滅している。エサがないから、住環境が悪化したから、天敵が増えたから、理由はいくつもある。それが現実である。


 現在、日本の国土で国立公園は15%程度だが、それを30%に増やすという計画はある。

もちろん足りないと思う。もっともっと増やすべきである。ヒトが山の中に居住して、道路を舗装している場合ではない。


 湿地帯を埋め立てるのもダメである。干潟は生き物の宝庫である。ラムサール条約を待たずに保全した方がいい。コンビナートは整理して縮小し、発電所や道路や鉄道などは整理し、生き物のサンクチュアリ(聖域)を増やすべきである。専門家をリーダーとして、国民はボランティアで参加して、生き物の聖域を拡大する活動が必要である。経済的な利益を追求する森林を保全することは経済的には価値あることかもしれないが、果たして自然保護の観点では大して意味ある活動とは思えない。もちろん議論は必要だろう。


 開発行為は散々やってきた、もうしなくていい、賢い収斂に進化すべきである。つまり、スマートなシュリンクである。


 行政機関だけでなく、民間企業だけでなく、デベロッパーだけでなく、個人もスマートなシュリンクを考え行動すべきである。研究者がしっかり検証し、しっかり議論し、その議論は全て公開して、透明な議論を「知」として蓄積し、自然の効能を最大限活用できるように知見を得る。それは研究者だけの財産でなく、国民全員が身に付ける「知」である。ヒトが生きていく上で、最も根底に置くべき「知」である。


 できれば、それはJ.J.ルソー「エミール」にもあるように、幼少期にこそ、体で得る体験と共に身につけるべき知識である。親世代、祖父母世代のリフレッシュ期間を活用して、「コミュニティ」での信頼関係を強化する共通体験によって、会得するようにしたい。