日本人の自然観は世界でも劣っている方だと思う。なぜなら、自然に対する知識がなく、恐れもない。管理しなければ気が済まず、そのため、ヒトによる支配を信じ込むために、自然はかわいい、快適なものとして扱われる。自然に対する知識があれば、真っ当な対応として、自然に対する畏怖があり、その上で、自然を最大限利用しようとする。やはり、こちらの方が自然観としては理にかなっていると思う。


 もちろん、日本にも自然に対して深い造詣がある専門家や古くからの住民もいる。

しかし、経済・人命を最優先するという単純な論理で、自然を害い、十分な利活用ができていないのである。川に流せば、海に流せば済むという考え方は稚拙であり、動物というのはペットのことであるというのも幼稚な考え方である。自然からの恩恵は小さくなっている。


 自然の回復力を信じて、専門家をリーダーとして、日本という国土をより自然に近い形に戻していくことが、自然の恩恵を最大化することであり、かつ、日本人が幸せに生きていくことに寄与すると思う。


 例えば、野生動物が多くいることは土地を肥沃にし、地盤を強くする。その土地は水を清浄化し、長く地中に水を保管する。また、そうした水は鉄分をはじめ、豊かな水を河川や海洋に供給し、海藻や植物プランクトンを育てる。それにより、動物性プランクトンを増やし、ウニや小魚を増やし、中型や大型の魚類を増やすというふうに。


 近年の日本近海での海洋資源の減少は乱獲と陸地の環境破壊によるものであると考えられるが、海洋環境の改善により海洋資源を増やすことは日本人にとって利益は大きい。また、気候変動対応では原油の利活用が制限されるとすれば、海藻が多く育てばバイオエタノールとして燃料製造の資源にもなる。やはり、自然の専門家の意見に従い、予算を掛けて、保護し、しっかり活用すべきである。


 そこに魚がいるから捕獲する。山にいるから食肉にする。食用になるから、植物を採取するといった原始人風な自然との向き合い方ではなく、専門家が先頭に立って保護し増やし、利活用すべきだ。自然を害虫、害獣として扱っていると利活用は困難だろう。しっかり増やし、そのための土地を確保する、自然に戻す。というスタンスが必要ではないだろうか。