信じる宗教があるという日本人は2割以下と言われている。多くの日本人には信じる宗教がない。それは主に二つの理由があると思う。


一つ目は、日本での神道や仏教の始まりが国家の統一のために利用されたという点にある。

そもそも、宗教の本質は、神への信仰である。

しかし、日本では、神道も仏教も、国家運営や組織が主なものであり、

天皇への信仰が消失すると共に、神道と仏教における信仰が消失してしまった。

宗教は信仰なしに成立しない。


二つ目は、日本人は個人の信仰より、地域の集団による参加を重要視してきたことである。

信仰は、神の存在と個人の体験がリンクしていくことで強化される。

ところが、日本人は、祭事など常に集団で宗教行事に参加しているが、

懺悔など個人的体験と神への信仰のリンク経験がほとんどない。

信仰は神と個人のリンクである。そういう経験が比較的少ない日本人が神への信仰が深まる機会を失っている。


天皇制のために使われてこなかった新興宗教の方がむしろ信仰の対象とはなりえやすい。

上記のように、信仰が深まるには、国家体制に反する存在であり、かつ、地域や家族から切り離された個人としての宗教者への信仰が必要となる。

つまり、反社会的組織と見做される組織でないと、信仰されない。


今後、宗教がヒトを救うのではなく、テクノロジーがヒトを幸せにするように思う。

現在、信仰しているヒトは宗教に救われている部分もあるので、それはそれで幸せなことだと思うが、日本人が幸せを求めて優先的に必要となる事項が宗教ではないように思う。