ー面でなければ階段にはなれない。線では無理だ。点でも無理だ。二次元の階段という概念はとっても窮屈である。自分が点になるしかない。
ー机の中に階段を持っている人は変態である。女性の場合、特に恐ろしい。絶対に怖い。男性の場合、それほど怖くない。ちょっとした変態なだけだ。心配ない。
ー芝居の舞台での階段は宗教的である。これも時間稼ぎである。意味はない。
ー積み木で容易に階段ができると思うのは早計だ。だってすぐに破壊されてしまうから。三歳の子供でも判っていることだ。反省しなさい。
ー北欧の階段も南米の階段も中国の階段もどれも皆同じ階段だ。しかし、違うもののように感じてしまうのは、あなたの階段に対する熱意(気持ち)が強くなっているのだ。
ー氷の階段で違和感を感じる人は偏執的だ。
ー階段を撫でる人がいる。巨人だ。彼にとって、もはや階段ではないのに。
ー酩酊状態で階段を降りるのは、辛くもあり、楽しくもある。
ー階段状の皿に盛り付けた料理は視覚的に決して効果はない、嗅覚的には効果がある場合がある。個人的な感覚だが。
ーこれは階段をスライスしたものです。
ー海よりも深い階段って、本当に嫌になる。
ーでも、未来には、階段って、間違いなく消滅する。歴史上の遺産となる。雛人形も段飾りはなくなる。これは大予言である。
ーだから、階段という概念も無くなる。だから、現在、階段状のものは全て無くなる。概念も含めてである。エスカレーターもなくなる、神社の参道もなくなる。歴史とはそういうものだと思う。
ー音楽的に言えば、階段は音階である。上と下がある。どこまでもある。
ー階段状の臭気は勘違いである、感覚がおかしい。
ー階段の幅は好みである。狭いのがスタイリッシュという人もいれば、貧乏くさいという人もいる。
ーどうしても一緒に降りてみたい階段があった。それを告げて、一緒に降りてもらった。一度切り。もう一度一緒に降りたいと思っていたが。降りたかったが。
ー階段を昇る時、膝に痛みを感じ始めると、自分も長生きしてきたのだなと悦に入ることがある。単に体重が増えていただけだとしても。
ー煙りが階段を昇っていくとよくいうが、あくまでもそう見えるというだけの話しであって、実際に煙りに脚がある訳ではない。誰だって知っている。チクショー。
ー歯医者さんが治療の時、螺旋階段の上から降りてきたら、歯痛の患者は、はらわたが煮えるか、嬉し涙を流す。それを理解する歯医者は歴史上まだ存在しない。
ー全くイイところなくフラれたデートで昇った階段は、全く意味がない。ゼロだ。
ー料理的な階段はなく、飲料的なそれはある。だからアルコールはハイになる。
ー地図に書かれていない階段はなぜそこに書かれていないのか。愛する恋人の手紙に愛という文字が書かれていない経験に通じている。
ーモデルウオーキングで階段の降り方を習ったが、注意されたのは、一段降りる度にアゴが出るというところだけであった。皆がそうだった。
ー正面から絵にしようとすると案外難しい。というか絵の上手い人はそもそも階段を正面から描かないのである。実は。
ースーちゃんは、自分の身体に階段を持っている。そこが魅力だ。三つはある、五つかもしれない。いや、七つかもしれない。一つも持っていない人もいるのに。
ーなんて上下動が激しいんだ。ヘイ、ステアーズ。いや、階段又三郎。
ー階段を昇ったり降りたり意味なくしている動物のことをペットと呼びたい。
ー零下十度を下回るとヒーターがONとなり、溶け出す氷の階段があるとして、穴が空いて、通り過ぎる強風にファルセットの音が溢れている。そこをツンドラという。また嘘である。ほんとかもしれない。
ー両端に対称のバーキンを置いた階段を昇っていく執事は華麗で、降りる時はカレーが食べたくなると、ドリフのラッパーが唄っていた。
ー雪国の要塞はゴツゴツしている。岩のようだ。特に出入り口。内部の階段の様子を想像すると、それは芋虫の神経系を…模した…汚点。笑って。
ー昇り続ける人、降り続ける人。想像できるのは降り続ける人で、彼は地下室で横たわっている。昇り続けた人は階段の端を見たはず。雲の上か海の真ん中か会議室の端っこか、絶世の美女の寝室のベッド脇。そういう場所にいる可能性が強い。
ー果たしてそのSUVはこの階段を昇れるのかい。自慢したりするんじゃないよ、やだね、この子は。
ー階段に関する論文を検索したところ、深刻なテーマとお気楽なテーマの振れ幅が大きいのです。何となく予想できる。
ー階段にずらっと並んだ人々の顔ぶれを見てみると、最も下の段にいる人特に真ん中のあたりにいる人が中心的と考える人がいる。実は右上だ。
ー殺される!と感じた場所が階段なら、絶望的に感じて、逃げ出す意欲も湧かない。けど、殺す側もそうなんだよと僕は言いたい。知らないけど。
ー一段ずつ伸ばしてきた世界記録。今はどこにあるかも判らない。世界で最も長い階段のことである。ビール会社しか興味がないらしい。
ー崖の上の階段には不思議がある。自然な恐怖の上の人工的な恐怖という。ステーキの上のベーコンのような不思議である。
ー階段とエレベーターの関係は、各駅停車と特急列車のそれに似ている。だが、決して、交わらない、寄り添うだけだ。
ー屋上に通じる階段の上の主はいつもラジオを聴いている。
ー踊り場って、ドラマティックな響きじゃないか。階段には安い歌劇しかないけどね。
ー住宅の事故の三分の一は階段で起きるらしい。降りる時は昇る時の4倍で、重大なものになるらしい。タンスの角どころの話ではないらしい。
ー嫌だったのは、足を滑らせると、高所から落下してしまう危険がありながら、床には鳥のフンだらけの階段だった。リスクと情けなさのミルフィーユだ。
ー正直な階段なんて想像できないが、それは嘘つきな階段が想像できないからである。さて、不幸を想像できなくなるには、何を消滅させればいいのだろう?
ー階段が好きなら、ビルの管理人になるのがいい。管理人室は要らない。
ー後悔するとすれば、あの階段をまじかに見つめてはいなかったことだ。
ーウェディングケーキ状の階段があるとしたら昇るのにも降りるのにもたいへんだが、冒険的でおめでたい。
ー喜劇でも階段が舞台上にあることがある。残念ながら、それも時間稼ぎだ。
ー無謀な階段があるとしたら、それはベニヤ板製かもしれない。あるいは骨組みがないかもしれない。既に抜け落ちているかもしれない。
ー赤いハイヒールで、白いスカートで、金髪の巻き髪の人。階段で泣いている。