仕事の実績が凄すぎて、
彼を解説する者からたくさん語られてもなお
評論の枠に収まりきらないのがイチロー。

個人的には、解説者の評論より、
彼のインタビューから、たくさん刺激を受けることができる。

なので、私も彼を解説するつもりはないが、
わかりやすい彼のスタンスのひとつは紹介したい。

それは、一番バッターにこだわっていること。

監督からの命令であれば、三番にも立つし、
彼の適性がリードオフマンなので、一番バッターなのは
もちろんなのだが、彼自身も一番バッターを好む。

その理由のひとつが、たくさん打席に立ちたいということ。

確かに、野球の場合、打順が決まっているので
自分の打席回数は自由にならない。
たくさん打ちたければ、打順が若い方がいい。

1試合で見ると、一番バッターであることと、四番バッターであることの打席回数の差は、0回か1回だが、162試合を経ると大きな差になる。

ちなみに、2010年のイチローについて
162試合での打席回数は680回。
一方、松井秀喜選手は、
145試合出場で、打席回数は482回と、イチローを200回も下回る。
もちろん、役割もタイプも違うので単純比較はできないが
イチローがそれだけ年間に立つ打席数が多いというのは事実だ。

そのことで、イチローが狙っていること。
真剣勝負の回数が多いほど、
自分のテクニックを向上させ、精神力を成長させるという仮説。

しかも、仮説を真実に変えるため、
ただ単に数をこなすのではなく、
1回1回の打席で、いろいろ試みてみる。
わざとボール球を打ってみたり、
意識的に流し打ちをしてみたり。
自分のテクニックの幅を広げるために
定石にこだわらない。同じ方法に頼らない。

彼ほどの選手だ。
ボール球を見極められないわけがない。

ピッチャーも彼には、打ちやすい球を投げてくれるはずがない。
そんな状況で、ヒットを打つためにどうすればいいか。

イチローが打席に立つときには、必ずそういうやり取りが存在する。
見ている方もその駆け引きが面白いのだ。

回数を重ねることで、
自分のテクニックを向上させ、
今までできなかったことをできるようにするという
当たり前のスタンス。
どんな仕事にも取り入れられるが、
意識している人は意外に少ないかもしれない。