これからAIによって我々の仕事は奪われる(便利になる)と言われていますが、私はAIが出来ない事って実はかなり多く存在しているのではないかと思います。

もちろん現在の研究や今後の研究によって未来はわかりませんが、我々は職能という相対的に最も維持可能な個人財産をそれぞれ持っています。

 

頭の中に蓄積されていく能力は自分自身が健康な限りは常に自分と共にあり、自分自身の生活の糧を生み出すのではないでしょうか。

学生も社会人も今までの学生生活で培ってきた教養も知性もまさにこれから獲得するであろう職能の専門性の土台や基礎となります。

これらの身についた能力こそが私たちの何よりも大切な財産ではないでしょうか。

もちろん職能も永遠ではありませんが、時代に合わせたアップデートを怠らなければ最も永続性高く頼りになる武器となると思っています。

 

AIが流行ったら多くのスキルが陳腐化するので、これからの時代大丈夫か?と恐れている人がいます。

色々な事がAIで可能となり、私たちの職務も奪われる。そんな時代が来てしまうのではないかと。

 

しかし、AIの台頭はどのスキルを選ぶかという課題を投げかけたとしてもスキルの意義そのものを否定しません。

なぜなら、AIと私たちが向き合うにはスキル磨きがますます重要になると考えているからです。

大した能力も身に付けず呑気に生きている中途半端なサラリーマンや社会人をAIが合理化してしまう時代をも意味しています。

実は能力の低い人程AIを過度に恐れます。

AIに陳腐化されるような仕事をしている人は今日においてもそもそも仕事はまともに出来ていないでしょう。

 

AIは学習機能のある計算機だと思えば話は変わって来ますしイメージも変わるのではないでしょうか。

得意な事は決められた目的の為に過去の集積上にある情報を自分で集め、オプションを計算し、バイアスなしに提示する事です。

マーケティングでいうと今まで誰かがやっていたデータ集積や動向分析のCクラス或いはBクラスの仕事は代替出来るでしょう。

 

例えばメディアデータから関連するコラムなどを抽出し標準偏差を計算し、目ぼしい変化を勝手にレポートするような仕事はもはや人間ではなくAIの仕事となりつつあります。

しかしAクラスの分析は出来ません。

意思を持たない上に良くも悪くも揺るぎないAIにとって仮説を立てる事は苦手だからです。

仮説を検証する事は出来たとしても過去の延長線上にない未来を創造する事は出来ません。

加えてブレイクスルーな戦略を創るのも、究極の満足を創るのもちゃんとしたマーケターが行っている仕事はそのスキルを積み上げた人にしか出来ません。

いわば職人技です。

 

人間国宝の仕事を誰もが出来るわけでもありませんし、それこそ機械が出来る事は現在も限られているわけです。

創造的な知性や対人インターフェース、行動な社会的判断。これらの領域においてAIは分が悪いでしょう。

また、経営判断は勿論、営業スキルや人事スキル、ファイナンススキルも交渉に関わるスキルも、企画や経理財産も基本的にビジネスに必要な領域としては大抵が人間に残ります。

AIが流行れば流行るほどむしろスキル磨きが重要となる時代になっていくという事だと考えています。

 

中途半端なスキルしか持っていなければAIに職を奪われる可能性があり、それはオートメーション化されたロボットが単純労働者の職を大量に奪った過去と構造は似ています。

合理化されるのは創造的に頭を使っていない仕事です。

ホワイトカラーの領域にしても機械化による合理化の可能性があるのだと認識しておけばそれらの変化に私たちは今から備える事も出来るのです。

 

スキルを身に付けるという事はプロとして十分なスキルを獲得すれば主導権は自分に移ります。

自分自身のスキルを伸ばす舞台として自分のほうが会社を選べるようになっていきます。(既に転職市場は売り手市場でもあります)

勿論社会や組織に属していれば結果的には何らかのスキルは身に付くのですが、スキル獲得を目的にしている場合と比べ、獲得するスピードと獲得出来るレベルは全く違ってくるのです。

当然限られた時間や精神力や体力にだって限りがあります。

それをひとつの組織や会社から指示された仕事や職務でまんべんなく薄く分散し、5年、10年経った先に何らかのプロになっているのだろうか?

私はどこに勤めていると言える人になれた(なれている)としても、私は何が出来ますと言える人になっているのだろうか?

 

AI時代ならば尚更です。

組織や会社は今よりももっとあてにならない社会となります。

会社の中で必要な人間は代替が難しいスキルに集中します。

今よりももっともっとシビアな時代になっていく事でしょう。

そのタイミングがいつくるのかは業界や企業により異なってくるでしょうが、AIによる合理化が私たちの時代にやってくるのは避けられません。

 

何故ならば資本家がより安くて優秀な労働力を選ぶのは自明だからです。

それであるのならばますます二極化していく社会において、キャリアの明暗を分けるものは今まで以上のスキルであるのではないでしょうか。

 

これらの事を踏まえてAIに出来ない仕事は当然あるのですが、恐らく出来るようになってくる未来もくるでしょうが、覚悟とスキルを今まで以上に磨いたプロフェッショナルがこれまで以上に求められ、更には上を行き活躍していく事でしょう。

 

うまく活用していける人々とうまく活用していけない人々。

逆に利用されてしまう人々と色々と分かれてしまいそうですが、何もかもが便利になったとしてもテクノロジーで世界が変わろうが人の心は決して変わらないものであると私も信じています。