ショウ「ガンダムNT、小説版読了だ」
茜 「最後の映画ですね」
ショウ「傷口に塩を塗らないでくれるか」
ショウ「小説の「不死鳥狩り」を読んでいた状態で映画を見て、最後にNT小説版を読んだわけだが、やはり戦闘シーンは映画が良かったな」
茜 「小説では迫力ありませんからね」
ショウ「ただし話の内容は小説の方が丁寧だ」
茜 「小説、映画両方いいところがありますね」
ショウ「一番気になったのがこのキャラ」
茜 「ブリック君ですね」
ショウ「私は女性を愛しません、という告白にはズッコケた。
女性受けを狙ったキャラなのかと正直呆れたところがある。
しかし、意外にしっかりしたキャラで、彼の生き方には尊敬すらした」
茜 「一途な人でしたね」
ショウ「逆に主人公のヨナはイマイチだったな。パイロットとしての腕もイマイチだし」
茜 「彼も一途でしたが」
ショウ「ブリックと違ってマイナス面が大きすぎるのが欠点だな。ラストくらいまでずっと後ろ向きだった。
ラストシーンであの人、年齢的にはヨナよりも年下の「それでも」君の言葉で前向きになるというキャラの弱さ」
茜 「でもそこに持っていくためのいろんな思いだったのでは」
ショウ「確かにな。
ミシェルの嘘をずっと恨み続けている部分については、単なる後ろ向きという言葉では片づけたくもないし」
ショウ「主人公のキャラの弱さに比べるとゾルタンはものすごくキャラが強かった」
茜 「色物でしたね」
ショウ「彼が出てくると全部持っていってしまう。しかも搭乗するのがあのネオジオング」
茜 「勝てる気がしませんね」
ショウ「ところがネオジオングの核となるのがゾルタンが乗るシナンジュシュタインではなく、ガンダムNTというのが笑えた」
茜 「まさかでしたね」
ショウ「おおもとの「不死鳥狩り」には出てこなかったと思うミシェル」
茜 「事件の発端となった人ですね」
ショウ「「不死鳥狩り」では事件の発端となるのはエスコラ准将だな。
エスコラがヨナをシェザール隊へ入れたという方が説得力がある。
ミシェルがヨナをシェザール隊に入れることができる、というのはちょっと違和感あるかな」
茜 「でも「不死鳥狩り」に比べて主人公たちに焦点があたりやすくなりましたね」
ショウ「確かに。「不死鳥狩り」ではヨナの存在そのものがかなり希薄だった。
ガンダムNTでもヨナは存在が希薄だが、ミシェルが存在感あるおかげで主人公に焦点があたりやすくなっているな」
茜 「リタですね」
ショウ「今回の主人公が覚えにくかったんだが、存在感が薄いことと、
主人公がヨナ、ヒロインがリタ、という二文字の名前であることでどうも自分には覚えにくかった」
茜 「ヨナが男の子の名前かどうかは日本人にはわかりにくい感覚ですね」
ショウ「正直キャラの絵があまり好きでなかったのと、もともとの話が後付け、というか同人誌くさい感じがしてイマイチだった」
茜 「でも実際に見てみたらよかったですか?」
ショウ「そうだな。意外に良かった。大きな事件ではないのでやはり歴史には組み込みにくいというのはある。
でも今までのシリーズにきちんとつながっているところも多く、ニュータイプというものの定義をテーマにしたきちんとした作品だったと思う」
茜 「Ζガンダムのルオ・ウーミンやステファニー・ルオも出てきましたね」
ショウ「うれしい誤算だった。ユニコーンの原作に出ていたけどアニメに出てこなかったモナハン・バハロも出てきたし」
ショウ「音楽が澤野弘之氏だったが、ユニコーンの時ほど響いてこなかった。まああれはあれでもいいけど」
茜 「今までの澤野弘之さんの音楽はオーケストラ、って感じでしたね」
ショウ「小説版ではとにかく何度もランボーの詩が出てくる」
茜 「また見つかった、何が、永遠が、海と溶け合う太陽が。」
ショウ「繰り返し出てくるな。26歳で亡くなった詩人ランボー。16歳のままのリタ」
茜 「切ないですね」
ショウ「ああ。個人的には「神様がいたらこんな酷いことはしない。だから神はいない」というようなセリフがよかった」
茜 「信心は人の自由ですが、つらい目にあった人にとっては信じられなくなってしまうものですね」
ショウ「ブルーレイが発売されるということで、また見直したい作品だ」
茜 「いい作品でしたね」
ショウ「おかげで茜の「嫌です」が聞けなかった」
茜 「そんな日もあります」