予防線の話。 | 小堺翔太オフィシャルブログ『ショウタパドック』Powered by Ameba

予防線の話。

最初に書いときます。

今日の話は面白くないです(笑)

たぶん、小難しい話になるかと。

 

 

昨日の朝、

アメリカのデルマー競馬場で行われたブリーダーズカップ。

フィリー&メアターフをラヴズオンリーユーが。

ディスタフをマルシュロレーヌが勝ちました。

日本調教馬が日本生産馬がブリーダーズカップを勝つ。

しかも、2勝してしまうというとんでもない朝。

ラヴズオンリーユーに乗っていたのは、

日本人ジョッキーの川田将雅騎手で

2頭を管理しているのはともに矢作芳人調教師。

どこをどう切り取ったとしても歴史的な快挙が達成された朝。

 

 

…の海外中継終わりの、競馬中継の冒頭。

皆さんなら、何を喋りますか?

(ここを読んでくださっているプロの方向け 笑)

 

 

基本的に普段思っている方針として、

・スゴイ事、素晴らしいモノほど、

しゃべりすぎない方がいい

という思いがあります。

私から出る言葉程度で

そのスゴイことを飾ろうとするとか、

おこがましいのではという気持ちがあるので。

(もちろんそれができる方はたくさんいらっしゃいます)

後、しゃべりすぎるほど冷められてしまう、

という経験をしてきたので。

 

本当なら

「ねぇ、凄くない!?マジヤバいよねー!!ハンパねぇ!」

みたいな話を見てくださってるファンの方としたい。

けど、そんなわけにもいかない…(当たり前だ)

さて…。

 

幸い冒頭はレースのVTRと

表彰式の映像をを見ながら話が出来たので、

競馬中継の冒頭では

フィリー&メアターフのVTRところで

『普段クールな川田将雅騎手が

涙を浮かべる、高揚感に満ちた笑顔になる、

そうさせるのかブリーダーズカップなんだなと思いました』

ディスタフのところでは

『日本調教馬が本場アメリカのダートのGⅠを勝つ日が来るなんて。

オルフェーヴルの仔が、キョウエイマーチの孫が

本場アメリカのダートのG1を制する…ドラマですよね』

主にこんな話をしました。

 

が…

番組の冒頭からしゃべるにつれて

どんどん自分の中で感動がぶり返してきてしまって、

もう走り出したら止められない状態に(笑)

お前さっきの「基本方針」とかいって

偉そうに能書きを垂れていたのはなんだったんだよって

くらいにしゃべってしまいました。

 

だから結びの方で

『興奮しすぎてすみません』って話をしました(笑)

 

 

結果、どんなことが起きたか。

やっぱり来ました「しゃべりすぎ」という意見が。

「うるさかった」という感想が。
だよねぇ…。

 

もちろんわかっているのです。

それ以上に「モノ言わず」見てくださる皆さんがたくさんいて、

たぶん中には同じように興奮がぶり返してくださった方が

居てくださるのであろうということは。

でもやっぱり…悔しいというか、残念というか。

ご意見やご批判は心の中でずっと響いてしまうものなのです。

 

 

 

実はこの日はもう一つ、

自分の中で「あっ!」って思っちゃったことがあって。

晴れの福島競馬場を見て

『競馬日和』という表現を使ったことです。

 

コロナ禍で無観客競馬が続き、

テレビでしか競馬を感じる事ができなかった頃。

晴れている競馬場の映像を見て私が

『今日の○○競馬場は競馬日和ですね』

というお話をしたその日にこんなご意見が来ました。

 

『私たちは競馬場に入れず、家で競馬を見ている。

競馬場に出かけられないモヤモヤした気持ちなんだから、

晴れた競馬場を見ても「競馬日和だ」とは思えない』

 

確かに一理あるかもしれない、と思いました。

ファンの方にとってはもしかしたら今は

「競馬日和」ってないのかもしれないな、と。

それからは「競馬日和」という表現を使わなくなりました。

 

が、昨日は出てしまった。

福島の秋晴れ。

現地ではお客様の入場が一年ぶりに再開した。

という2つの要素があったので、

ついポロっと出てしまった言葉だったし、

先のご意見のことを考えた時、

むしろ今日こそ「競馬日和」かもしれない。

ですが、結局

『競馬日和…かもしれませんね』

みたいなちょっと置きに行った感のある言葉になり、

あーあって思いました(苦笑)

 

 

同じく昨日オレタチハツヨイ、という馬が勝ちました。

事前にJRAのホームぺージの馬の情報で

馬名の由来を調べたところ

「俺たちは、強い」となっていた。

この「、」をわざわざ入れた事に意味があるように感じて。

これはたぶん『スラムダンク』のセリフなのではないか、と。

実はスラムダンクはあまり詳しくないんですが、

チームが円陣を組む時に出る言葉というのは知っている。

 

で。レースの後に中継ではこう言いました。

『勝ったのはオレタチハツヨイ…

これ、スラムダンク…ですよね?』

相方の梅澤さんがすぐ

「あの名シーンを思い出しますね」と

答えてくれたのですけど…

『もし間違ってたらごめんなさいね、

スタジオではそんな話になりました』

と。

 

寄せられたご意見

『スラムダンクだけじゃない、弱虫ペダルでもあるんですよ』

 

ふー

ごめんなさい、知りませんでした。

 

 

今日、最も言いたかったこと。

実はこの記事でも冒頭からずっとやっているんですが、

『何かを喋る時に予防線を張る作業にちょっと疲れてしまった』です。

いや正確にいうと

『勝手に予防線を張るようになり、勝手に疲れてしまった』かな。

 

最初に書いておきます。

今日の話は面白くないです。

 

『興奮しすぎてすみませんでした』

 

『競馬日和…かもしれませんね』

 

『もし間違っていたら、ごめんなさい』

 

これらが全部「予防線」。

 

色んな事を考えてしゃべってるけれど、

やっぱり別の角度から切り込まれ、

どうしても突っ込まれることがある。

それも何とか丸め込もうとした表現になる。

でも結果「それも違う」というご意見が来る。

 

結果として、

何が合っていて、何が良いが分からなくなる。

目の前で起きた素晴らしいことをスパっと表現できない。

なんだか置きに行った言葉になってしまう。

それは結果「つまらない」。

で、今、しゃべるのがちょっと怖くなってないか、

という悪い連鎖が起きていることに

昨日の一連の出来事で気が付いてしまったんですね。

 

間違いなく、

これは一度取っ払わなければならないことで、

長いトンネルのような気がするんですが、

ちょっとしばらく「ご意見は置いておいて」

させていただこうかな、と思いました。

予防線を超えられたときの予防線まで張りまくっている状況に

いったんサヨウナラができるように。

 

 

でも、この予防線だけは回収しておこう。

ね、今日のブログ、面白くなかったでしょ(笑)