さまざまな厄介ごと
今日もGalerijaに来てみた。
手作りパスタを注文してみる。チキンとマッシュルームのクリームパスタ。
パスタが中途半端な長さと太さで、もちもちしていて美味しかった。チキンは胸肉だった。
レストランには猫もいた。ハエもまたいた。
他のカンパニーのアーティストらしきグループもいた。
マダムは今日もとても奥ゆかしく、繊細な感じで親切だった。
ブログを書いたり、雑多な仕事を片付けていく。ところでまだカナダのポスターが発注できておらず、週末だからなのか返信もなく、とても!とても!焦っている。
これさえ完了すれば、かなり気が楽になるのになあ…。
あまりに暑いので夕方にスーパーでレモンのビールを買ってみた。
だが栓抜きがない。
試行錯誤した結果、持っていたペンチでビールの栓をこじ開けて飲んだ。
ツアーに栓抜きとワインのコルク抜きを持ち歩くべきか、毎回悩むのだけども。
さて、そうこうするうちイヴァナから呼び出しがかかったので、8:15に劇場へ行く。
かなり疲れている様子。そうだよねえ、流石にフェスの最初の1週間が終わって、疲れもピークでありましょう…。
「イヴァナ、国立公園すばらしかったよ!」と私が言うと、イヴァナは「そのことなんだけどねえ…」と曇り顔。
話を聞くと、こうだった。
私はバスの目的地終点ではなく途中の場所で降ろしてもらうよう、運転手に伝えて、そこから国立公園に入るはずだった。だが私が運転手にそのように頼まなかったため、バスは普通に終点まで行き、私は他の観光客とともにそこから国立公園に入ろうとしたため、公園スタッフは電話口で「聞いていない!」とイヴァナを怒鳴りつけたりしたらしい。
よくわからないが、もしかしたら私が途中下車すべきだった場所は、公園の職員用の入り口とかなんだろうか?そこでアーティストパスを見せる手はずだったのかもしれない。
確かにそこで降りるようにとイヴァナから指示されていたが、バスがそこをスルーして終点まで行ったので、まあいっか、ここも公園入り口って書いてあるし、と地図を見てテキトーに考えていた。あらかじめ頼んでおかないと普段は停まらないところらしい。
ごめんねごめんねと謝ると、イヴァナは「大丈夫、気にしなくていい。明日、私は報告書を出さなくちゃいけないけど、それで済むだけだから。」と、凛々しく言ってくれた。
ああ、こんなに働き者で疲れているプロデューサーに、余計な仕事を増やしてしまった。ほんとうにごめんなさい。そしてほんとうにありがとう。
それと、私への支払いについてもちょっと解決しておかなくてはならないことがあるらしく、明日だか明後日だかに一緒に銀行だかどこだかへ行って手続きをしなければならないと言われた。私が法人格を持っておらず、インディーズかつ海外アーティストだからだ。
ほんとうにややこしいことばかり、お手数をおかけいたします。
いろんな苦労をして、私を呼んでくれていることに深く深く感謝だ。
それからようやく、イヴァナは私をミスしゃっくりのステージに連れていってくれた。
図書館の前の野外ステージ。まだ音響機材も何もないが、これから設置するという。
テクリハについて、当初イヴァナは「このステージに音響機材なんかの設置をするのはかなり直前だし、昼間はあまりにも暑いから、テクリハは劇場の中でやったら?全く同じことをここで本番でやればいいんだし。」と言った。
しかし!
そんなに甘くはないのだ。
野外なら野外でちゃんとテクリハをやり、サウンドチェックをしないと、劇場の中と外では全く、まっっっっっっっっっっっっったく条件が異なるのだから。
特にミスしゃっくりにとっては音が命なのだ。
頼むからこの本番のステージでテクリハやらせてください。
私が真剣に説明すると、イヴァナも真剣に聴いてくれて、なるほどわかった、じゃあ前日か当日にテクリハを入れよう、と承諾してくれた。
そしてテクニカルスタッフのローブレにも紹介してくれた。
よろしく、ローブレ。
こちらもまたずいぶんとシャイそうな、無口な男性だが、私のショーがうまくいくかどうか、全てあなたにかかっている。
野外なのでワイヤレスマイクも借りることになった。
イヴァナと2ショット。同じ誕生日の、めちゃくちゃ仕事のできる敏腕プロデューサー。
私が「他のアーティストをぜんぜん見ないけど、みんな私のアパートとは違うところに滞在してるの?」と尋ねると、イヴァナは「他のカンパニーはもっと遠い場所に滞在してるのよ。あなたは一人だから、町の中心部が便利だろうと思って、あのアパートにしたのよ。」と答えた。
なんと!
確かに、カンパニーによっては車もあるし、複数いればどうにでもなることも多い。
私が一人で行動するために、イヴァナはこんな便利な立地にアパートを借りてくれたのだ。
再びの感謝。
さらに後でわかったことだが、私のWhatsApp(LINEみたいなアプリ)に、イヴァナからのメッセージが届いていた、6月4日に。
私は主にメールでイヴァナとやり取りをしていたので、WhatsAppを見逃していたのだが、そこに「ヤノミ、ベイビー ちょっと相談なんだけど、あなたの本番を7月4日に移動してもいいかしら?」などなどの詳細な相談が書かれていた。今日、見た。
ああ、それで!
私はすでに4月だか5月だかにはフライトを予約していた。その時点では、6月30日が本番になりそうだと聞いていた。けれどもそれが翌週になったので、イヴァナはこんなにも早く(6月25日に)到着する私に気を遣って、バケーションの心配をしてくれたのではないだろうか。
ああ、ほんとうに何度も何度もだけど、ごめんね。
言葉の壁、使用するデバイスの多様さ、習慣の違い、いろいろが重なってコミュニケーションはいつもスムースとは行かない。
でも、なんだかんだで何とかはなる。
それがまた、醍醐味だよね。
広場では体操教室の子どもたちが発表会のようなものを披露していて、盛り上がっていた。
歴史ある古い街並みの間では、野外映画の上映も始まっている。これもこのフェスティバルのプログラムの一つだ。
そして大聖堂前の野外劇場にはまたまたこの大勢の観客。
先日、私が「星の王子様」だと思って観たのは、違う演目で、今夜がほんとうの「星の王子様」だった。そして予想外にも人形劇だった。
ルーマニアのカンパニー。
ぜんぜん面白くなかった。全部録音でセリフが再生され、おそらくセリフがルーマニア語なんだろうけど、スクリーンにクロアチア語と思しき字幕が出されていた。
三人遣いもあれば二人遣いもあり、演者はがんばっているのだが、ぜんぜん面白くなかった。人形劇の良さも、星の王子様の良さも、まったくゼロであった。
ま、当たりもハズレも、好きも嫌いも、いろいろあるのがフェスだよね〜。
そしてまた野外ステージ、有料公演にもかかわらず途中でどんどん人が帰る。子ども連れだからさまざまな事情があるのだろうけど、ほんとうに遠慮なく帰っていくし、そのたびにぶつかられたり蹴られたりする。
私の舞台はどんな感じになるんだろう。
テクリハは大丈夫だろうか。
カナダのポスターは間に合うのだろうか。
不安が尽きない。
でも、一つ一つ、解決しつつがんばろう。
明日から子どもたちへのワークショップ、2時間×5日間。
ヤノミ