民営の鳥類研究所で学者として働く夫、そして、政治学者出身の代議士で少数野党党首の妻。ある日、妻は夫に「私が総理大臣になったら、何か不都合ある？」と聞く。夫は鳩が豆鉄砲を食った様にキョトン。然し、渡り鳥観察の為の北海道出張の帰り、自分の知らぬ間に妻が総理大臣になってたという事でさあ大変！
原作を読んだのが随分昔なので、殆どうろ覚えな感じで観賞。映画は原作よりも夫婦愛がクローズアップされた作風。相馬内閣の目玉政策は原作と同じく消費税増税なのだが、「色々な税制がある中、何故態々消費税を増税の対象とした？」という点は原作と共に不明確で、映画は原作より更に政治色を薄めてしまった為に説明不足、消化不良の感が否めなかった。いや、作者としては劇場公開当時は選挙の最中だったので、其のタイミングで「消費税増税こそ正義！」と声高に主張出来たのは「してやったり」なのかも？
相馬内閣の面々についてもほぼ全く説明されず、途中登場する政治ライターの人物像の深い掘り下げも無く（原作にあった「ギャル文字＆ねらー用語全開のブログが全く登場しない）、「本日は、お日柄もよく」にも出てきたスピーチライター・久遠久美も未登場。原作改変があったのも気になった。「本日は、お日柄もよく」はドラマ化もされてたので、特別出演で久美役として長谷川京子氏がキャスティングされてれば面白かったのだが。日和役は政治ドラマ「民衆の敵」で政治家の妻の活動を支える夫を演じた田中圭氏、主題歌は政治ドラマ「民王」の主題歌も歌ったｍｉｗａ氏ってのは、制作側も意識してのチョイスなのだろうか？
まあ劇場公開当時は総選挙間近というタイミングで政治ネタ映画、しかも「史上初の女性総理」という今の政治に対する最大の風刺が込められた此の作品が上映されたというのは興味深い事かも。今年は参院選。選挙の前に一寸見てみても良いかと。