*こちらのお話しは個人的な妄想を題材にした、恋愛妄想小説です。ご理解頂ける方のみお進み下さい。







「ずっと考えてた、…どうしてあの日俺を、何で…って。あの日から俺の心は囚われたままで…」


「………」


「突然…俺の前から消えて、会うことは勿論、声を聞くことも出来なくて…だからこのまま時間が過ぎて行くんだ、そうすれば思い出に変わる…そう思ってたのに。でもね、想いだけはずっとここに残って消えなかった…苦しかった……っ、」


「………潤」



腕を強く引かれすっぽりと腕の中に

スーツの上からでも伝わる体温の心地良さに、背中に縋りそうな手を握り締めて、小さな声で胸に呟く…どうしてと他の意味も込めて



「ごめん…」



…苦しめて悪かったと背中を擦る手が優しい


小学校で泣いていたお前の足元に咲いた花を見て真実を知った

それまでそんな事あるわけないって疑ってて

あの日から俺には護るべき者が出来た、コイツを全ての物から護ってやると



「……翔…くん」


「……フッ、さっきも言っただろ?ずっとお前を…潤を見てきたって」



腕の中から見上げる潤の髪を梳いて微笑む翔、その手が今度は涙の跡を拭う



「…中学の入学式で久しぶりに見た時には驚いたよ、変わらない可愛いさと男としての成長の一歩手前の危うさが…お前を綺麗にしてたからさ…」



参った…いろんな意味で意識させられて

どんなに抗っても無駄なんだ、この気持ちを認めるしかないって

涙の秘密を護ること、悲しい思いをさせないように、大切に温室の中で純粋培養してたんだけどな…



「純粋…培養…?」


「ああ、大事に育ててたって事だよ…だけど」



生徒会室の出来事でお前を傷つけた

自分の不甲斐なさと漠然とした不安に駆られたのも事実なんだ

この先ずっとお前の傍で護り続けるにはどうしたら良いのか…



「その頃からだよ、…ずっと一緒にいられる道を探し始めたのは…」



そんなに前から?

視線の先には小さく頷く翔がいて、照れ笑いのような笑みを浮かべていた