がんと睡眠について
がん情報サポートセンターでも
しっかり研究結果を発表しています。
http://www.gsic.jp/for/fr_05/isg/11_10.html
文:諏訪邦夫(帝京短期大学)
(2011年10月号)
すわ くにお
東京大学医学部卒業。マサチューセッツ総合病院、ハーバード大学などを経て、帝京大学教授。医学博士。専門は麻酔学。著書として、専門書のほか、『パソコンをどう使うか』『ガンで死ぬのも悪くない』など、多数。
「がんと睡眠」をキーワードとして調査しました。テーマは2つで、1つは睡眠ががんの発生と経過に影響するか、もう1つはがんで睡眠が障害されるメカニズムや対応・治療です。両者とも希望したデータがみつかりました。
本連載は今回が最終回です。長期間のご愛読に感謝して連載を終えます。
がん発症・経過への睡眠の影響
「睡眠とがん」と題する、あるサイトでは、睡眠時間ががんの発症率に影響するという研究を引用し、
よい睡眠をとってがんを予防しようと述べています。
この問題の検討には、多数、たとえば数千件をある程度の年月追跡調査する必要があり、
調査は容易ではありません。第59回日本癌学会での発表として、1988~1992年の5年間、
全国50地域で40~79歳の男女約11万人にアンケートし、さらに1997年末まで追跡調査して、
生活習慣別の死亡率を分析しています。
それによると、「睡眠時間が短すぎても長すぎても死亡率が高くなる」という結論です。
1日の睡眠時間を7時間未満、7~8時間、8~9時間、9時間以上の4群に分け、がんによる死亡率とがん以外の原因も含めた死亡率を比較しました。男女とも、7~8時間の群が最良で、
これより短くても長くても悪く、とくに9時間以上群では、両方の死亡率とも悪いという結果でした。
がんによる死亡率が1.2以上と高いだけでなく、がん以外の原因も含めた死亡率が男は1.6、
女は1.76と高値です。
睡眠時間が短いと、休養不十分で体力が低下すると推測できますが、
睡眠時間が長いと成績が悪い理由が不明です。
研究した人たちは、「睡眠が長い人は精神状態が悪く、同時に免疫力も低下しているのかもしれない」と
推測しています。
類似の研究結果は、米国国立がん研究所(NCI)でも裏付けられます。
ただし、同研究所で、睡眠と運動を組み合わせた乳がんの研究では、
運動にがん予防効果があるが、
睡眠時間が短いと、逆に運動群が、がん発症率が高いとの結論です。
http://www.gsic.jp/for/fr_05/isg/11_10.html
参考まで。
免疫細胞療法成功日記クンより