ダイナミックに、ダイレクトに | SHoGo PaPeR >> 鈴木正吾のブログ

ダイナミックに、ダイレクトに

ダイナミック・プライシングというのが根付きつつありますね。これまで飛行機のチケット代金やホテルの宿泊料のように、ある一定期間のかたまりごとに、繁忙期は(高い値段でも人が来るので)料金を上げて、閑散期は下げるといったものがダイナミックに進化して、数時間単位で値段をコロコロ変えていくというもの。

客の顔を見ながら値段を決める寿司屋の「時価」とはニュアンスは違うものの、値段の不安定さというか(提供する側からいえば最適化?)は、時価に近いような気もします、

先日、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンが、入場パス(1日券)の上限金額を9,800円に引き上げるという記事がありました。その上限まで、時期に合わせてダイナミックに変動するというもの。ハロウィーンの時期が、おそらく最も高く(人気がある)なるそうです。

この価格変動に合わせて、年間パスも値上げらしいです。これまでより2,000円高い28,800円になるとか。とはいえ、1回に9,800円なら、この年間パス、かなりのお得感がありますよね。

同じモノでも、需要の高い・低いで、価格を上下する。これって、考えてみれば自然の流れなんでしょうね。商売をする上では、随時売値を変えていきたいとは昔からあったんでしょうけど、値札を変えたり、そろばんをはじいたりする上では物理的に難しかったんでしょうね。

それが、システムの劇的な進化で可能になったということなんでしょうね。価格はダイナミックに、そして、顧客にダイレクトに。スマホひとつあれば、なんだって買える時代になりましたからね。

さて、この夏の国内移動(旅行)は、去年に比べて大幅に伸びたそうです。ちょっとコロナ前と比較してみよっかな、という基準になったとか。でも、海外市場は、まったくダメだったようです。

日本が観光客の受け入れ(入国)を再開したこの7月単月の、観光目的での入国者は7903人。コロナ以前の2019年(の7月)が299万人だったので95%減のまま、観光客が戻らないという状況だそうです。旅行関連業者からは、日本の受け入れが「厳しすぎる」という声もあるそうです。

受け入れは団体ツアー客のみで、全員の陰性証明が必須。こんな状態が続けば、日本を避けて他国へと旅行客が流れる「ジャパン・パッシング」が増えていくだろうとも。日本をパスして、他の国に行く。これだけは避けたいと思う観光関連業の方々の悲痛な叫びが聞こえてきそうです。

アウトバウンドに目を向けると、この下期から添乗員同行のヨーロッパツアーなんていうのも、ちらほらと旅行会社で募集しているようです。が、海外に行く、というのも(ねぇ)、まだ「そういう気分」になれないかなぁとも思います。

国内旅行(と、なぜかハワイ)は、いくらコロナ感染者数が増えても、制限なしに「行こう!」という機運になってますが、いざ外国となると。行くのも、迎え入れるのも、まだまだ、なんですかね。

そもそも、コロナ前に「戻る」という表現(というか考え方)が違っているのかもしれませんね。国内旅行(と、なぜかハワイ)は、確かに戻りつつありますが、海外旅行となると、単純にコロナ前に戻ってしまうと、そこかしこに不安が付きまとうといいますか。

例えば、滞在先でコロナに万が一罹ったら、日本語の通じる病院はあるのか、隔離はどんな風に(どんなところで)されるのか、その間の同行者はどうなるのか、などなど事前に調べて、その結果、納得したら「GO」する気分になるという感じです。

ただ、「よし、これなら大丈夫」という条件のそろった国というのも、そう多くはないように思います。海外に住んでいる友人に言わせると「そんなの、慣れだよ」と。日本にいたって、わからないことだらけなんだから、海外でもさほど違いはないよ、と。

確かに、そうかもしれませんが、このコロナ禍を、ここ日本で巣ごもっていた立場からすると、日本を「巣立つ」には、それなりの覚悟がいります。なんといっても、未知の対応ですからね、コロナって。

逆に、日本でコロナを体験していない先述の海外在住の友人は、「だから、日本に帰るのが不安」と言っていました。日本には慣れているけど、コロナ対応は未知すぎるから、住んでいる海外の方が慣れていると。その気持ちはわからなくはないですね。

A地点とB地点で、てんでばらばらの対応をするから、こんな不安があるわけで、はやく世界基準のようなものが整備されればいいのにな、と思います。その基準に沿っていれば、ある程度「想定」できますからね。

そんな(基準を作ろうという)話が進むのは、きっと、もっと先なんでしょうね。世界は、もっと他にやることがたくさんあるようです。

ああ、どうでもいいですが、はやく海外に行きたいものです。

日本人にとって、海外旅行のバイブルとして長く君臨した「地球の歩き方」が、東京や多摩、京都に北海道、沖縄と国内版を出しかと思うと、もはや「宇宙」や「ムー」なんてものを出し始めてますからね。

これは、ガイドブック片手に、実際の街を歩くというのはすっ飛ばして? ガイドブックを読みながら、脳内で空想トリップするのだ!という方向転換なんでしょうかね。

まぁ、それほどに、バーチャル、バーチャルで、この2年半、やってきましたからね。ウーバーイーツや出前館で家飲みしたり、OniGOでチョイ買いしたり。ここから、以前に「戻る」のではなく、ここで慣れてしまったサービスが進化してこれから「創る」んでしょうね。それも、ますますダイナミックに変動しながら、ダイレクトに提供されるスタイルで。

「もう、お金出すから、ぜんぶやって~」という〈客〉を相手に代行や仲介をして成り立つ仕事って、ますます苦しくなるだろうなと思います。そもそもややこしい手続きや、時間がかかる交渉なんて不要のダイレクトさですからね。しかもワンクリックで終わってしまうような「簡単操作」で。

もう、「戻る」のではなく「創るモノ」が勝っていく時代に入っているのは間違いないように思います。この先、世界がどんな風につながっていくのか。無防備につながるのではなく、弁のようなもので区切りながらも、流れはスムーズな、そんなつながり。

どこかの国で、ウイルスが発生しても、それをシャットアウトしながらも繋がれる、そんな時代。もう、そのスタートは切られているんですよね。

 

 

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