2006-01-31 08:39:14

<権威と権力>

テーマ:社会問題
女系天皇を容認できるか否か、皇室典範改変に対する抵抗感については世代や個人間で大きな隔たりがある。
これは、ひとつには、権威に対する認識の相違によるものではないだろうか。

今日、父や教師の権威、医師や学者の権威、あるいは組織の権威など、その多くが失墜した世の中に成り果てている。
なだいなだ氏の著書「権威と権力」によれば、権威とは、それを前にしては誰もが自発的にいうことをきいてしまう力であるのだそうだ。これは権力が無理やりいうことをきかせる力であるのと対照的である。
権威が失われた世の中にあっては、権力によらなければ秩序を保つのが難しくなってくる。
いかに法を厳しくしても、これを守ろうとする原理が働かなければ意味はない。法を守ろうとする原理を与えるのが権威であり、守らせる原理となるのが罰則を与える権力である。

我々の社会が日増しに窮屈になっているのは、社会のあらゆる場面で、こうした権威が失墜し、法を守ろうとする原理が働かなっていることと無関係ではない。
権威が失墜すればするほど、社会秩序を保つためには権力の行使される機会が増やされることになる。
しかし、権力行使の機会が増大すればするほど、個々の自由は奪われ、国家は殺伐として病んでしまうのだ。
日本においては権威の最高峰が皇室において保たれてきたわけだが、この権威が損なわれるということは、日本が国家としての秩序を維持する上で、より権力に依存した国づくりを余儀なくされることを意味する。
古代国家における権威は宗教にあり、神官が神の権威を代行することで秩序を保ちえた。細かな法的規制を持たずとも、即ち権力の圧倒的な行使がなくとも国をまとめることができたわけである。
実際、日本の天皇は神官に由来するという。

よって、皇室の有する権威を守ろうとすることは、国家の秩序維持の観点から、きわめて国益にかなうのだ。
皇室典範の改変は、皇室の権威を貶める危険を過分にはらんでおり、日本国の秩序を徹底的に破壊せしめ、中央権力のさらなる増大を目論んだ策略という見方もできる。
皇室典範改変という日本国最高権威失墜の一大事に対する温度差が世相に生じるのは、権威によって社会秩序が保たれるという原理を知るものと、そうでないものとの違いによるのではないだろうか。

なだいなだ氏は、今日の権威の失墜を、我々の知性の発達に伴って権威に対する依存度が相対的に軽減した結果であると洞察していた。だが、それは単に自然発生した結果ではなく、マスコミや教育によって意図的に権威が剥奪されてきた経緯も無視することはできまい。
氏はまた、権威と権力に依存しない社会、即ち秩序はなくても調和のある社会を、決してたどり着くことはできないが、目指すべき理想社会として位置づけている。
しかしながら、組織が目的をもって機能するためには、やはり秩序は必要であるわけで、それはたとえ個々が共通の目的を有して集っていたとしても不必要になることは決してない。
なぜなら、個性は多様であり、その知性や智性が決して等しくなることはないからだ。
現実世界に生じる諸々の優劣を無視して皆が対等に自己主張したところで、目的を達成することはかなうまい。

氏の書籍では、進学塾を例に挙げて、権威がなくとも共通の目的の前に個々が集えば調和が生まれると結び、権威や秩序(まとまり)の不必要を説いていた。
だが、塾においては講師が権威者なのであり、これなくして塾は塾として機能しえず、単なる勉強会グループに過ぎなくなってしまう。
また、勉強会グループにしたところで、これが効率よく目的を果たすためには、最も優秀な人材が講師を代行せねばならなくなる。そしてこのとき、そのリーダーには権威が付与されることになるのだ。

我々が生きる上では、確かに、権力を必要としない社会が理想的ではあるのかもしれない。しかし、権威を必要としない、秩序を持たない社会に調和を生み出すことはできまい。
理想的な調和とは、知性ならぬ智性の発達に伴って生じた生きる目的、宗教的希求に関する合意のもと、究極的な権威の所在を裡なる神においた社会にもたらされるのではないだろうか。
もっとも、神を権威の最高峰におくなどといえば、それは古代国家への回帰のようにきこえるかもしれないが、そうではない。
古代国家における神は、人の外側にあり続けた。それゆえ現実の世に神の代弁者を必要としたのだが、真の神とは、万物に顕れ、我々に内在する神を指すものだ。
我々一人ひとりが裡なる神に目覚めるとき、真の秩序と調和を生ぜしめることができるのだと私は信じる。

参考図書 なだいなだ著「権威と権力」
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。