街は鮮やかなイルミネーションで飾られ、どこからともなく聴こえてくるクリスマスソングに心が躍る。
日本では当たり前だった光景は、アフリカ南部ボツワナでも例外ではなかった。












貧困や格差が問題となっている南部アフリカに位置し、物資の流通もしにくい内陸国でありながら、急速な発展を遂げているボツワナ。
ダイアモンドなどの鉱物資源の発掘や経済開発の成功により経済が好調。
また、治安状況もよく、政治的にも安定しているため「アフリカの優等生」と呼ばれている。








ショッピングセンターではクリスマスコーナーが設けられ子どもたちが親におもちゃをねだったり、クリスマスツリーで記念写真を撮ったり。
ただ買い物をしているだけの光景でも、幸せというものを強く感じる。

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こうした明るい側面がある一方で、悲しいながら暗い側面もある。
驚くべき発展を遂げているボツワナであるが、発展と同時にもたらされたのが格差。
最下層20%の所得は国内総所得の4%、上層20%の市民の所得は国内総所得の60%を占めるという。
また、失業率も16%と高い。

ボツワナのような中所得国は低所得国(最貧困国)、高所得国よりも格差が激しいと言われていて、世界中の貧困者と呼ばれている人々の約7割が中所得国に住んでいるとも言われており、今や格差や貧困が広がっている中所得国の問題は、世界的な問題となっている。




どれだけ国が発展しても、その恩恵を享受しているのは、政治家や上層階級に属する人たち。ボツワナが低所得国から中所得国へ成長した、いわば副産物が”格差”のような気がして国が発展していく難しさを感じる。
国が発展し、いずれ中所得国から高所得国になったら格差はなくなるというような簡単な問題ではないし、格差に”一般的”という概念もない。
一つ一つの国に歴史的背景(南アのアパルトヘイトなど)や政治的背景があり、ただ単に格差ということだけに焦点を当てて問題を解決しようとしてしまうと、これから紹介する”バサルワ族”のような事態になってしまう。





バサルワ族

ボツワナに住む約3%の民族。(主要民族はツワナ族)
ボツワナの先住民族であり、ブッシュマンやサン族とも呼ばれていて、彼らは他のボツワナの人たちとは生活がまったく異なっていた。


生活に関してはその民族の独自の生活があるため異なっていても問題はないが、バサルワ族の問題で深刻となっているのは、民族として認知されていないということ。



日本や海外のガイドブックなどには載っているものの、ボツワナの参考書などからは消されてしまっている。
首都ハボロネなどで”バサルワ”というとバカにして笑っている人もいたくらい。昔はボツワナ人(ツワナ人)の奴隷だったこともあって、同じボツワナ人とは認識していないみたいだった。

1990年代にはボツワナ政府によるバサルワの強制移住計画が進められたほど、政治的にも経済的にもボツワナから排除された存在。
しかしボツワナ国内においてバサルワが孤立した状態にあることがおおやけとなって問題になることはない。
なぜなら、ボツワナ国内における統計データにはバサルワという項目そのものが存在しないから。
もっと言えば憲法にすらバサルワに関する記述は一切なく、ボツワナ人には認められている議会への参加も認められていない。


つまり、公式的にはバサルワという人々は存在しないということになっている。

悲しいけれど実質的にボツワナから「忘れられた人々」。
それがバサルワという人々だった。













このような事実がありながら世界から非難されていないのは、バサルワに関するデータがほとんどと言っていいほどないというのと、ボツワナがこのやり方で成功しているということから。



ボツワナ政府は中所得国というステータスを得た強みがある。
たとえバサルワのことについて言及されようとも「はいはい考えてますよ。」で済んでしまう。
経済開発のため土地を切り開く。
しかし伝統的な生活をするバサルワは生活の糧そのものの土地を奪われ、政府からの配給などに頼っての生活を強いられる。
その政府からも見放されたとなると、バサルワの人たちはボツワナの経済成長から完全に取り残された形となってしまった.。












ボツワナ西部ハンツィ(Ghanzi)

バサルワが住む地域ハンツィ
ハボロネ、マハラピ、フランシスタウンなどボツワナ各地7箇所をまわってきて初めて感じた違和感。
あまりにも多すぎる浮浪者とストリートチルドレン。
ボツワナでほとんどといっていいほど見かけなかった彼らが、ハンツィにはいたるところに存在していた。



いろんな人に話を聞くと、政府がバサルワの土地を”使われていない土地”としたために、力のある者がその土地を買い、バサルワをいつでも追い出せる状況が出来上がってしまったという。 
もともとは広大な敷地の中で住んでいたバサルワが、牧畜産業の拡大と言う名目のもと土地改革を行い、住んでいた地域に権力者が来てフェンスで囲う。こうなってしまっては今まで通り生活することは難しい。

政府はこのハンツィ地区を貧困地とし、貧困を解決する政策も実地している。
しかし問題なのは、その貧困者の大半がバサルワということを考慮していないということ。
ただただ貧困だからといって土地を開墾して食糧を増やしてとかの問題じゃない。
政府の政策は大多数の忘れられた人々にではなく、少数のツワナ人によるものだった。






こんな現状を知ったのが2ヶ月前のマラウィ。
南部アフリカで一番楽しみにしていたボツワナで、どうしてもやりたかったこと。
それが今回のクリスマスイベント。








結局は国を変えることができるのは、その国の人々と思う。






この思いがあったからまずボツワナ各地で呼びかけを始めた。

ボツワナで格差が広がっている一番の原因は、間違いなくバサルワ族に関してのこと。
そのバサルワを今ボツワナはなかったことに、そんなものはないんだと忘れようとしている。
忘れたらもう終わり。
どうか忘れないで欲しい。同じ国の人たちを。

クリスマスプレゼントを買って、バサルワの子どもたちに届けたい。
ボツワナの大人からボツワナの子どもたちへ。





自分がバサルワの人たちにやろうとしていること話し、賛同してくれたら募金をしてもらう。こんなことを1週間続けた。
人が集まるスーパーの前。バスターミナル。
警察に補導されるし、バサルワって言っただけでバカにされるし、言葉も上手く通じらん。
心が久しぶりに折れかけた。

結局1週間で5人。集まったのは400円弱。(ボツワナでは大きいホールケーキが400円くらいで買える。)








お金を集めた理由は、海外の誰かがやったじゃなくて、ボツワナの人たちがバサルワという同じ国の人たちに支援したという構図にしたかったから。




でも考えていた以上に上手くいかなかった。

海外でこういうことをする難しさが痛いほどわかったし、もっと多くの人が興味を持って聞いてくれると思ってた。作戦も練ってた。


でも返ってくる言葉の多くは
「私たちも貧しい。私たちの子どもにクリスマスをなんでしてくれないの?バサルワなんて」ってこと。





それだけバサルワは遠い存在に感じた。










今回はちょっときついな。ってなってた時。
一人の日本人がやってきた。


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(笑)


エジプトで一緒やった和希さん。
「クリスマスなにしてるー?ひまー?行くわー」
ってボツワナまでやったきた、美味しいとこもっていこうとするイケメン。


約3ヶ月ぶりの日本人。めちゃくちゃテンション上がった!
確かにこんなことに協力してくれんの和希さんくらいしかおらん(笑)







偽善者のしょーやと不感症のかずき

というあだ名がつけられるくらいマイナスイメージが強い旅人(笑)




とりあえずクリスマスプレゼントの買い出し!!
基本的に宿に泊まらない生活をしてきた南部アフリカ。野宿も多かったけれど、泊めてもらうことも多かった。
「お金は無理やけど、こういうことくらいなら。」
って言ってくれる人もいた。

お金を渡すのは気が引けるってのはよくあると思う。
だからこそ今までボツワナの人に泊めてもらったり、ご飯頂いたりしたとき浮いたお金をプレゼント代に充てようって思った。



野宿1回でめっちゃ可愛いぬいぐるみが1つ買えるくらい!
和希さんには悪いけど、ぬいぐるみのために身体張ってもらった(笑)









コンセプトは「普段買ってもらえないようなもの」
小さいおもちゃをたくさんの子どもたちへって考えたけど、やっぱりクリスマス。

えーこんなんくれるのー!?って夢があるのがクリスマス。





ラジコンやクルーザーセット、言葉を話すお人形。






喜ぶ顔が浮かび上がってくるようないいイベントができそうな気がした!

















ラッピングもちゃんとやった!
うそ。やってもらった(笑)

包装紙なかっても折り紙繋げてやっちゃう和希さん。
いや、ラッピング上手すぎな!!
デパ地下のおばちゃん並









プレゼントを届けにくるサンタクロース。

イメージはこう。

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できあがったのはこう。


めっちゃサンタ!!笑
たぶんこんな感じ!!










そしてついにやってきましたクリスマス!

21:00
ハンツィ自体は騒がしいけれど、バサルワの人たちが住んでいる南にはずれたところは明かりもなく静まり返っていた。
2日かけて南を歩き回り、どこにどんな人たちが住んでいるか確認。
真っ暗な中でも迷わないように地図を書いて子どものいる家に印を書いて準備万端!


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写メで保存した地図を見ながら歩くサンタ。
実はほんまのサンタもこんな感じでやってそう(笑)




でも甘かった。
印つけたとこに実際行ってみたら子どもはいなかったり、不審者と思われて扉を開けてくれなかったり。










ゆっくり門を開けて侵入。

そしてノック。




「Who are you ?」

『We are Santa Claus!」

「???」



中の様子をのぞき見。














いや、シュールすぎる(笑)








やる前は70%不審者やなーとか思ってたけど、実際やってみたらこんなもん100%不審者!!




「やばい!犬おる!!逃げろ!!!」

ってあれなにしてんのこれ?(笑)









でも子どもがドアの隙間からチラッと覗いて、
「ああーーーーーー!!サンタクロースやーーーー!!!」
ってはしゃぎまくってるのを見た時ほんまやってよかったと思った!






あらかじめダウンロードしていたクリスマスソング。
こっちもわくわくしてくる!

寝ている子どもには玄関や枕元に。
起きた時さ、絶対びっくりして喜んでくれてる気すんねん!

予想していた以上に喜んでくれたのがほんまに嬉しかった。







クリスマスに確かにサンタはハンツィの人々のもとにやってきた。
人生初のガチサンタ。
気づいたことは12歳くらいの子はサンタを見て喜ぶけど、5歳くらいの子は、誰かわからん怖さとプレゼントくれる嬉しさと不思議さが混ざり合って、ものすごい顔するってこと。(笑)
 
いや、そんなことじゃなくて、クリスマスの文化はあるけれど、祝いたくても祝えない状況が確かにあった。
プレゼントとあわせて大量のクッキーをもしもの時のために持っていってた。
さすがにちっさいケーキや何かしらクリスマスっぽいことしてるんかなって思ってたけど、そんなものはまったくなかった。
いつもとかわらず、ただひっそりと静かに暮らしているのが現実。












ボツワナは真夏。
日中平均は33度から37度(゜д゜;)
全てをやり終えたサンタは元通りの偽善者と不感症に戻ってしまった。

初めは一人で全部やるつもりやったけど、こんなもん一人じゃ絶対無理やった。
ラッピングや荷物持つとか細かいとこもそうやけど、精神的にもな(笑)

5個上のええ兄ちゃんです。
面と向かっては言えらんけど、和希さんにはめっちゃ感謝してる。
ほんまにありがとうございました。












忘れられた人々に、忘れられないクリスマスを。

とか言ってるけど、実際は自分とって一番忘れられないクリスマスになった。





ケニアで短期的な支援をして、同時に長期的な支援の大切さも感じた。
二ヶ月前のマラウィで考え始めてやっと形となって、その間に考えさせられたことはものすごく大きい。

「国が発展していくため。」というものわからなくもない。けれどもどうにかして文化を守りながら発展していくことはできないんかな。

支援をするときにつきものなのは「貧困ビジネス」という目と、「当たり前」と思われること。

「外国人は金持ってんやろ?金をくれ。」って言われた時、そりゃやる気も失せるよ。
でも自分も金ない時必死やし、そんな道徳的教育も彼らは十分受けれてないというのが現状。
しんどいけど、それをわかってあげられる包容力が支援にはものすごく大事な時があって、だからこそ支援って言うのはケースバイケースなんやと思う。








クリスマスというイベントを使った今回の支援。
バサルワの人たちにとって本当に必要なものはもっと違うもの。
それはわかってる。それでも一瞬でも子どもらが喜ぶものを贈りたいと思ったし、あの笑顔を見た時、間違ってなかったなって感じた。





大人になっていくにつれ、サンタはいないんだ。って気づく日が来る。
それでも子どもの頃こんなことをやってくれた人がいてくれたと思ってくれたら最高やな。







忘れ去られようとしているバサルワ。
でも、サンタクロースは忘れていないよ。




すべての子どもたちへ。
Merry Christmas.
















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