One Step 50 | 櫻葉妄想Story〜陽だまりの中で〜

櫻葉妄想Story〜陽だまりの中で〜

大好きな櫻葉ちゃんのお名前でお話を書いています。
個人で楽しむために書き始めたものなので
苦手な方は御遠慮下さいませ。



〖 side:S〗





残った仕事をある程度片付けて保健室に向かった。
雅紀が心配でならない。
いつもなら廊下を走るなと生徒に注意するのに、今日は自分が走ってしまう。





ー ガラッ





「大野さん、雅紀は?」





「起きてるよ。
相葉、身体起こせる?」





ベッドに近づくと雅紀が起き上がって座った。
少し疲れた様子で、力無く座っているように見える。





「雅紀、帰ろっか。」





「翔ちゃん仕事は?」





「今日はもう帰ることにした。
教頭に体調悪いって嘘ついてきた。」





俺の言葉に少し笑って、でもまたすぐに表情が暗くなった。





「大野さん、今日はありがとう。
またあらためて連絡するね。」





「気をつけて。
相葉も、今日はゆっくり休むんだよ。」





雅紀が少し頷いて、歩きだそうとするその身体を支えて保健室を出た。
人気のない廊下をゆっくり歩く。
壊れてしまいそうな雅紀の身体を抱き寄せた。





「翔ちゃん、大丈夫だよ?」





それが大丈夫じゃないってことを俺がわからないはずがない。
そうやって平気なフリして我慢して…。





「雅紀、帰ったら一緒に風呂に入ろうか。
少しぬるめにしてさ、ゆっくりしよう…な?」





笑った雅紀のおでこにキスをして歩いた。
長い廊下。
外からは部活動の生徒の声が聞こえた。





家に帰りついて雅紀は着替えてくると言って自分の部屋に入った。
俺は風呂を洗って準備をする。
リビングに戻って時計を見ると夕方近くなっていた。





「そういえば、昼メシ食べてないな…。」





あんなことがあって昼メシどころじゃなかった。
雅紀もきっと食欲無いだろうし。
でも何か食べないとな…。





「雅紀〜…」





返事が返ってこない。
気になって雅紀の部屋を覗いてみた。
ノックしてドアを開けると、雅紀が腕を押さえて蹲っている。





「雅紀っ!どうした?」





「翔ちゃん…翔ちゃん……」





雅紀の横に座って抱きしめた。
明るい時間だったとはいえ、あんなことがあったばかりでひとりになるのは怖いはず。
しばらくはひとりにさせたくないと思った。





「雅紀、大丈夫…
俺がいる、ずっと一緒にいるから。」





うん、うんと頷く雅紀。
もうあんな思いは絶対させない。
どうにかして雅紀を連れ込もうとした奴を捕まえたいと思うけど、顔を知っているのは雅紀だけ。
思い出させるのは怖がらせるだけだろうか。





腕の中で擦り寄ってくる可愛いこの子を、全力で俺が守らなくてはと心に誓った。