「ぼ、ぼ、ぼくは、お、お、おにぎりが好きなんだなぁ。」

と、テレビではお馴染み『山下清画伯』の放浪記です。






山下画伯の描いたものや、口述に、本文にも登場する式場隆三郎氏が手を加えたものですが、文章はひらがなが多く、言葉使いも山下画伯の言葉使いが再現されているので、少々読みにくかったりもするのですが、山下画伯の考えていることや、気持ちがリアルに伝わってきました。






山下画伯の原文は句読点の全くない、「ので、ので」が無限に続く独特の文章だそうです。






できれば、原文を読んでみたいのですが、そういったものは発行されていないのがとても残念です。






山下画伯といえば、どもりがあったり、知能の発達も遅れていたけれども、ちぎり絵で才能を発揮した天才です。






文章を読むとわかるのですが、とてもピュアでいて、尚且つ、独特な感性の持ち主だと思います。






ピュアであるのは、知能の発達が遅れているから…というのも少なからず、あるのかもしれませんが、山下画伯の、自分をまるで飾ろうとしない、まっすぐで正直な(時には正直過ぎてまわりをハラハラさせますが(笑))言葉に読んでいて時々ハッと『そういう物の見方もある!』ということに気づかされました。






また、独特の感性(例えば訪れた街を少尉や少佐など軍の位であらわしてみたり…。)にやはり天才であったんだなぁ…と思わずにはいられませんでした。






凡人にはとうてい真似のできない、豊かな表現力と、心に突き刺さる山下画伯のまっすぐな言葉がこの本の魅力であると思います。






山下画伯のスケッチが挿絵として多数掲載されているのもお得な感じがする(笑)一冊…。
こちらの本は週間ベストテン入りもしているくらい今、売れている本です。






半分は仕事読み(自分の趣味以外の読書)だったんですが、読んでいるうちに、筒井先生の文章の面白さにハマりました。






まず、タイトルが『アホの壁』です(笑)






養老孟司先生の『バカの壁』をパロディにしたんじゃないかと思わせるタイトル(笑)ですが、内容はいたって真面目に世の中のアホなことを言ったり、アホな行動をとったりすることを脳科学的な見解や歴史上の背景なども含めて、筒井先生流に分析したり、解説したりしています。






真面目な内容なのですが、随所に笑える箇所があり(私は『品格本』が列挙されていたところで爆笑してしまいました。)新書はあまり読まない私も、まるっきり退屈せずに一気に読めてしまいました。






筒井康隆先生は前に『銀齢の果て』だけ読んだことがあったのですが、そこまで面白いとは思わなかったので、これまでまったく読まなかったのですが、バイト先の社員さんに薦められたこともあり、今回読んでみたらかなり面白かったので、小説もまたチャレンジしてみようと思いました。






仕事読みのつもりが読み始めてすぐに、娯楽読み(?)に変化した程、楽しめた一冊でした。
ちょっとサボってしまいましたが、その間にも読書はちょいちょいしていました。

安部公房を2冊
『笑う月』と『他人の顔』

や、高山なおみさんの『帰ってからお腹がすいてもいいようにと思ったのだ。』

や、恒川光太郎先生の『夜市』(これ、すごく良かったです~!!今度紹介しますねニコニコ)



他は…ちょっと思い出せないのですが…。





さて、今回の読書日記はポール・オースターの『幽霊たち』ですが、あまり海外文学が得意ではない私でも、出てくる登場人物の名前がブルー、ブラック、ホワイトなどの簡単すぎるものであったり、訳者が柴田元幸先生なのもあって読んでみる気になりました。






そして、何より設定が少し変わっていて面白い。






ホワイトという男から、ブラックという男を見張るように依頼された探偵のブルーは、向かいの部屋からブラックを見張るのですが、ブラックの日常には何の変化もなく、ブルーは次第にこの依頼の目的に疑問を抱くようになります。






事件の起こらない、犯人のいないミステリーといった感じのとてもボヤッとした話です。





ミステリーと言っても設定がミステリーなだけで、エンターテイメント性があるわけではなく、自分というものを知る事に重きを置いた、アイデンティティーの問題を描いた作品であると思います。






決して分かりやすい内容ではないのですが(文章の難解さは安部公房に通じるものがありますね。)、読み終わった後にジワジワとこの本の魅力が伝わってきました。







ただ、自分には読解力が足りないので、この本の本当の面白さを理解したとは言えないのですが、短い話なのであまりダレずに読めました。






『幽霊たち』とは一体誰のことを示すのか?
『幽霊』ではなく、その後ろに『たち』とついているのはなぜなのか?







この謎が解けた時に、ちょっと視界が開けたような気持ちになりました。






心に残る一冊…。