【Day78 Camino de Santiago】2025.11.20 物語の行方(1) | ちびタンクのひとりごと

ちびタンクのひとりごと

大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

長くなったので2話に分かれています

ーーー


ほとんど寝付けないまま朝4時に起き、5時には駅に着きたいというサイモンの見送りに出かけた。

星は見えないが雨は降っていない。

ありったけの服を着てきてもまだ寒い。

私たちは言葉少なに駅まで歩いた。

簡単な道なのに、彼はまた違う方向に行こうとする。

本当に、よくここまで歩いてこれたものだ。


私はluckyペンダントを渡すかまだ悩んでいた。

昨日久しぶりに会ってみて、これまでのこと全てが勝手な妄想のような気もしてきた。

私たちが過ごしたのは、アルフセンでの半日とサラマンカでの数日と昨日の夜だけだ。

ツインソウルだのなんだの大袈裟に語ってみたが、実際に会ってみればただの友だちである。

書くことでドラマチックに演出し過ぎてしまっただけではないか?

そんな気もしてきていた。


駅には5時少し前に着いたが、駅は閉まっていた。

開くのは5時からと書いてあったので、寒い寒いと言いながら閉まっている扉の前で時が来るのを待つ。

そういう人は他にも居て、“開くのは5時からだよ”と彼は声をかけていた。

この人の誰にでも気さくに声をかけるところが私は好きだ。


5時になりドアが開くと中に入りベンチに座った。

長距離列車は荷物検査を通らなければならず、その先は行き来できないようになっていた。

チケットを持たない私がプラットフォームに入るのは難しそうだった。


荷物検査の準備が整うとサイモンは真っ先に並んだ。

とにかくこの電車に乗り遅れることはできないと、彼はかなり神経質になっていた。

私は付けていたペンダントを外して手に握り、彼の様子を見守った。

荷物検査を済ませた彼とベルトパーテーションを挟んで最後のお別れをした。

“これ、私だから”

そう言って渡すと、

“ありがとう。連絡する“

私たちはギュッとハグをして別れた。

もう、サンティアゴで会おうという約束はない。

彼がプラットフォームに向かうのを見届けて、私も駅を後にした。

私はフックを外したのだった。


宿に戻りながら色々な感情に襲われた。

たくさんのタラレバ、こうすればよかったという思いが浮かんできて、胸が苦しくなったりもした。

それでもいつだって、結果が正解なのだ。

そんな自分の感情を受け止めた。


宿に着くとサイモンにペンダントについてのメッセージを送った。


そのペンダントを私はとても大切に思っていたこと。

それはとても高価なものなので、本当にお金に困ったらそれを使うことができること。

でもそんなことが起きないことを願っているということ。

そしていつか、また二人(サイモンとペンダント)に会えることを願っているということ。

最後に、彼女(ペンダント)は海が好きだから、ときどきあなたの町の海や、フィステーラに連れて行ってあげてほしいということ。


彼からは“ありがとう”と返信が来た。

どう受け止めているかはわからなかった。



一寝入りして身支度を整えると、私は巡礼者用のインフォメーションセンターの隣にあった公共交通機関のインフォメーションセンターに行った。

外は驚くほどの快晴だ。

調べてみると電車もバスも通らないタバラに行くのはかなり難しそうだった。

タバラは諦めてメリダで一泊して、アルフセン、そしてマラガに向かうか。

ベゴとマルセルは来年、カセレスの先を歩くはずだ。

タバラの宿の支払いは、ベゴに預けよう。

そんな風に思っていた。


インフォメーションセンターでメリダへの行きの便を尋ねると、明日はすでにフルだという。

バスでいく手段もあるが恐ろしく時間がかかる。

明後日なら良さそうなのは取れるよと勧めてくれたが、それでは全体の予定が狂ってしまう。

相談に乗ってくれたお兄さんは、駅で聞けばもしかしたら空きが見つかるかもよ、と教えてくれた。


どうしたものか悩みながらインフォメーションセンターを後にすると、ベゴから連絡がきていた。


“一日早めて日曜に来れない?

小さなパーティがあって、あなたを招待したいの”


これはもう、ベゴのところへ向かえということだろう。


“今、インフォメーションで確認したら行きたいところに行く手段がなくて。

日曜どころか、明日か明後日に行っても良い?”


“もちろん!明日なら完璧よ”

と返ってきた。


私はマラガ行きの電車のチケットを取って、その写真と一緒にメッセージを送った。


“明日の15:30にマラガに着きます。

よろしくおねがいします。”


明日ベゴのところに行くとすると、そのあとはどうしよう。

ベゴのところにいつまでもお世話になるわけにはいかない。

マラガからメリダ、アルフセンに戻る気はしなかった。

一瞬、サイモンのいるバレンシアに行こうかと言う考えも頭をよぎったが、やはりそれは違うだろう。

予定より少し早いが、日本に帰るか。


ベゴのところに3、4日、マラガに2、3日滞在すると、週末を避けた航空券が取れるのでちょうど良い。

なぜか早い帰国を促されている。

そんな気がした。


ーーー

つづく