公園を出ると舗装された山道に入り、
最悪なことに長い長い登り坂が待っていた。
「一歩づつ、一歩づつ」
そうやって、踏みしめるように、
片足を一つづつ前に出して歩いた。
もうここで止めてしまいたいって思いながら。
もう一歩も踏み出せないって思いながら。
もう無理だって思いながら。
なんでこんなことやってるんだろうって、思いながら。
そう、"なんでこんなこと、やってるんだろう?"
780km歩いたって、みんなに自慢したいだけ?
海外の友達がたくさん出来たって、日本で言いたいだけ?
違うでしょ?
そんなことの為じゃないでしょ?
簡単だとでも思ってたの?
簡単だったら、こんなバカなこと、やる意味ないでしょ?
大変だって、分かってたはずでしょ?
大変だからこそ、やる意味があるんでしょ?
そう、大変だからこそ、やる意味があるんだ。
クックック
なんだか笑いが出てきた。
すると、
お腹の底、おへその奥あたりから力が湧いてきた。
最後の一歩、最後の一歩って思いながら、
変な引きつり笑いをしながら、続けて歩いている自分がいた。
私の中のもう一人の私が言ってるのが聴こえた。
"ほら、まだ出来るでしょ?
甘えてないで。
ここまで来なさい "
って。
それは私の中の私の声なんだけど、
ある意味、どこか遠く、
天(?)からの声のようでもあって。
そう、神様はさ、
危機を取り除いてはくれない。
でも、
危機を乗り越えるための、
知恵や気づきを与えてくれるんだって、
そう思った。
信仰とかよくわからない。
でも多分、きっと神様は、
私の中で、今、生きているんだね。
ー続くー