こんにちは☆
結局,昨日は一日外出で更新できませんでした~(汗)
すみませんっ。
やっと続きです。
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電話口には,流暢ではあるが片言の日本語を話す男性が出た。
私の本名を確認すると,
電話口の男性はもう一度,
従兄弟の彼が話した内容を繰り返し,続けてこう言った。
「それでは手続きを行いますね。
手続きには,手数料として6ドルが必要になります。
支払いは,現金とクレジットカードがありますが,どうなさいますか?」
「現金でお願いします。」
私は迷わず答えた。
「わかりました。現金でお支払ですね。
現金の場合,現地の航空会社の事務所へ立ち寄って頂く必要がありますが,
・・・
お客様の場合,トランジットの時間がとても短いですね。
事務所は市内になりますので,往復している時間はありません。
その場合,クレジットカードでの支払いしか認められませんが,
どうされますか?」
今回のトランジットは,確かに1時間少々しか空いていない。
しかし,こんなことでクレジットカードを使うのも気が引けた。
私は,電話口を塞いで従兄弟の男性に話しかけた。
「手数料が必要らしいのだけれど,クレジットカードしかだめだって。
私は今,クレジットカードを持っていない・・・。」
勿論カードは持っていたが,そう言えば,
彼が支払ってくれるのではないかと期待したのだ。
「クレジットカード,持っていないの?」
予想外の反応に一瞬違和感を感じたが,それもすぐにどこかに消えた。
「宿に戻ればあるけれど・・・」
全く持っていないもの不自然だろうと,とっさにそう言った。
カードがないことで,このチャンスを逃すのも惜しかった。
「取りに戻れば?宿は遠いの?」
「ううん。すぐそこ。」
たまたま,宿は1ブロック先を曲がったところにあったのだ。
「待ってもらえるか聞いてみるよ。」
彼は携帯電話をもう一度手に取り,いくつかの言葉を交わし,電話を切った。
「仮予約してもらえたから,準備が出来たらもう一度電話をかければ大丈夫だよ。
取りに行っておいで。」
「うん。わかった。すぐに帰ってくるから待ってて。」
彼女が笑顔で私に手を振り,”行ってらっしゃい”と送り出した。
意味のない宿への往復の最中,
私は気持ちが高ぶっていることに気づいた。
「こんな面白いこと,めったにないよね~。」
一人になって,自分が置かれている状況を可笑しく思った。
初めは,”そうなったら嬉しいなあ”ぐらいの気持ちであったのに。
今では,何が何でもアップグレードしてもらおうとしている自分がいた。
そう言った巧妙な心理操作が行われていることに,全く気付いていなかった。
そう,
私は既に蟻地獄の砂の中に足を取られ,
もう抜け出すことができない状況になっていることに,
まだ,気づいていなかったのだ。
---つづく---