約束の場所(世界の旅~インド・ブッダガヤ編~)第11話 | ちびタンクのひとりごと

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大好きな旅のこと、心理学・スピリチュアル・ヨーガのこと、日々の気づきなどをつぶやいています♪

夏風邪!!!

治らん~!!!

今も鼻水が・・・(汗)

誰かどうにかして(> <)


では,続きです・・・(^-^;;



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尼僧の後をついて勝手口のようなところから中に入ると,

そこは台所と食堂が一体になった広めの部屋だった。


台所では大きな鍋がぐらぐらとゆだっていて,

一人の中年女性が,大人数の食事の支度をしているようであった。


尼僧が女性に何かを告げると,彼女は私ににっこりとほほ笑んだ。

尼僧が彼女の手伝いを始めたのを見て,私も食事の支度を手伝った。


どうやらここはタイ寺の宿坊で.ちょょうど食事の時間らしい。


そうこうしているうちに,勝手口とは別の入り口から,

次々と,男の僧侶たちが現れた。


疲れたー,と言わんばかりの表情で,食卓に着く。



尼僧が先ほどと同じように彼らに何かを語った。

多分,私の説明だろう。

彼らは私を一瞥したのみで,特に関心を示したようには見えなかった。



私は正直,彼らが私を受け入れてくれているのか不安であった。



尼僧の好意に甘えて勝手についてきたが,

仕事として真剣に修行に取り組んでいる彼らにとって,

一介の観光客に生活の一面を見せるということは,

少なからず,心地よいものではないのではないだろうと思った。


事実,その時,特に私に関心を示す人はいなかった。



食事はすべてそろい,

僧侶達もすべて席に着き,尼僧も席に着いた。




当たり前であるが,食卓には私の席はない。




どうしたものかと思ったが,

食事を作っていた女性は,さらにもう二人分の食事をとりわけ始めた。



どこに運ぶのかと思っていると,

脇にあった小さなテーブルに,二人分の食事をセットした。



「どうぞ」


と手前の席を私に促す。



修行僧とは同じ席には着けないが,

私も分の食事も用意をしてくれたのだ。



皆で合唱をして,食事を頂く。

私は小さく,「いただきます」とつぶやいた。



主品はトムヤムで,

タイフーンを軽くゆでたものに,酸味と辛みの効いたスープをかける。

加えてトムヤムにじっくり煮込んだ肉団子のようなものが添えられたが,

多分,豆類等で模した精進料理であろう。

きゅうりとトマトのサラダ,

佃煮のようなもの,お漬物のようなもの,

フルーツが盛られた。

まさか,インドで本格タイ料理を頂けるとは。



トムヤムを口にすると,

酸っぱさと辛さと,だしの聞いたスープがお腹の好いた胃にしみわたって,

体全体がほわっと温かくなった。



間髪入れず,僧たちが,

「うまいか?うまいか?」

と聞いていた。



その反応に,私は驚きつつ,

「アロイ!アロイ!」

私は,かつてタイ旅行をしたときに覚えたタイ語で答えた。


「おおおおーーーー!」

と盛り上がる僧たち。


「そうかそうか」

と,彼らは先ほどのしかめ面が嘘のように,嬉しそうに笑った。



どうやら,話しかけるチャンスを伺ってくれていたらしい。

あれも食べろ,これも食べろと勧めてきた。



食後のデザートには,おしるこのようなものが出た。


やはり,

「うまいか?うまいか?」

と聞いてくる。


「うまい!」


と答えると,俺の分も食え,とすすめてくれる。


さすがに,おなかがいっぱいだ,ありがとう,と丁重にお断りした。



食事がきれいに片付くと,僧侶たちは来た入り口から帰って行った。


尼僧は私に,

自分も修行があるから行くが,また昨日と同じ夕刻に,同じ場所に来るように,

と告げ,去って行った。



私は.女性の後片付けを手伝った。

彼女は英語を一切話さなかったが,

私たちはなぜかきちんと通じ合っていたように思う。



私は助手としてそれなりに役に立ったと自負している。



---つづく---