こんにちは☆ しずです。
祝日って嬉しいですね。
私も今日は昼間ブログ書いて,夜は遊ぶぞ(笑)
では,続きです。
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私は,どのくらいの間,そこで座っていたのであろう。
ただとにかく,その空間,その光景に惹きつけられ,
何時間もそこから動くことができなかった。
そしてその間ずっと,涙がこぼれっぱなしであった。
私だけでなく,多くの僧や観光客も,
そこらに座り込み,涼んだり,お経を唱えたり,ぼおっとしていたりしていた。
何人かの人が,私に話しかけた。
ある僧は,どこから持ってきたのか,リンゴと柿の入ったビニール袋を私に渡そうとした。
お坊さんに恵んでいただくなんて・・・
「もらえない」と断ると,いいからとっておきなさい,と私の手におさめ,彼は去って行った。
別の僧は,私の隣に座り,長いこと一緒にぼおっとしていた。
パンフレットに住所を書き込み,困ったらここに連絡しなさい,
と言って私に渡し,去って行った。
またある人は,落ちた菩提樹の葉を拾って私に渡した。
ここの菩提樹の葉は価値があるものとされ,葉が落ちると奪い合うように拾われる。
真偽は定かでないか,マハボディの菩提樹の葉と称し,お土産屋で売っているほどだ。
たまたま目の前に落ちた葉を拾い,彼は私にそれを譲ってくれた。
私はその度に,また涙を流さずにいられなかった、
日が落ちかけたころ,やっと重い腰を上げることにした。
東向きに座っていたため,場所を変えて,夕陽を見ようと思ったのだ。
入り口から階下へ降りるところへ戻ると,
ちょうどステューパのバックに落ちるであろう,大きな太陽が見えた。
なんて美しいんだろう。
光輝く時間から,斜光を下げ燃ゆる色に変化しようとしている太陽が,
園内のお経を一層激しく響かせているように感じられ,
日中の神秘的な雰囲気とはまた一味違う,美しい空間を作りだしていた。
私はまた涙があふれ,そこに腰を下ろした。
園の外側を何週もする修行者が,何人も私の目の前を通りすぎていった。
私は,構わず泣き続けた。
周回する修行者の中に,ひときわ目を引く,美しい尼僧がいた。
他の僧と同じオレンジの袈裟を肩にかけていて,頭も丸坊主であり,
一見,ほかの僧との違いはないのだが,体つきに女性性が感じられた。
年は,60過ぎであろうか。
身長は低く,まん丸い顔をしていた。
深い慈悲のあふれる微笑を湛えていたが,
その奥には,強い意志のようなものがあるように感じた。
何て表現すればいいのであろう。
丁寧な彫刻で作られた,美しい仏像のような,お顔であった。
私は,彼女から目が離せなかった。
生きている人に対して,こんな崇高な,かつ恐れ多い気持ちになるのは,初めてであった。
泣きながら,彼女を目で追っていた。
彼女も私の視線に気づくと,ぶつぶつとお経を唱えながらも,にっこりと,笑顔を返してくれた。
それは,この世の人間とは思えないくらい,美しかった。
何周か後,あまりに泣き続けている私が気になったのか,
彼女は私に,「着いてきなさい」と言うジェスチャーをした。
私は,無心で彼女の後をついていった。
自分の意志とは関係ない,何か大きな存在に操られるように。
日は,ちょうどステューパの向こうに落ちようとしていた。
---つづく---