クラブ初のタイトルを阻んだ男が仲間入りだ。横浜FCから完全移籍で加入した北海道コンサドーレ札幌MF長谷川竜也(29)が17日、沖縄・金武町でのキャンプ2日目を終えた。札幌が準優勝だった19年ルヴァン杯決勝で戦った相手川崎フロンターレのメンバーで、PK戦では最後の6人目のキッカーを務めて勝利に貢献した“因縁”がある。今度は札幌の一員として、日本一へけん引する。 札幌にとっては敵(かたき)が心強い味方となった。長谷川は新天地での2日間の午前と午後の2部練習を終え、心地よい疲労感を漂わせた。初日のミニゲームでは主力組のシャドー(1・5列目)の位置に入ってプレーした。戦力として期待されている証しだ。「まずは自分が試合に出て姿勢とか質の部分で違いを出せないと」と自覚を高めている。 川崎F時代に6個のタイトルを手にした。J1が4度、ルヴァン杯が1度、天皇杯が1度。そのルヴァン杯が札幌が初のタイトルに最も迫った19年だ。延長戦から出場し、PK戦に突入。6人目先攻で成功し、後攻の札幌が失敗で決着した。「人生で一番緊張したPK」と懐かしむ。14日の新加入会見で隣に座るFW鈴木が「ルヴァン杯決勝で敗れ…」と話していたとおり、今も語り継がれる悔しい一戦だ。その思いを理解し「サッカー界にはいろんな巡り合わせがある。次は札幌の一員として」。日本一を目指す。 すでにチームになじむ。MF駒井が中心となる「筋トレ部」に入った。「動く際に筋持久力とかキレを出すところで最低限必要なトレーニングがある。そういうところを善成君に聞きながらやっていきたい」と、午前と午後の練習の合間、宿舎で鍛えている。2日連続で駒井と一緒に体を動かした。 全ては求められるパフォーマンスを発揮するためだ。札幌が躍進する可能性を感じている。「積み上げてきた魅力的なサッカーもある。落としちゃいけない接戦をどうものにできるのかっていうのがキーになる」。辰(たつ)年にやって来たタツヤが、昇り龍となる。【保坂果那】 ◆長谷川竜也(はせがわ・たつや)1994年(平6)3月7日、静岡・沼津市生まれ。静岡学園高から順大を経て16年川崎Fでプロ入り。22年に横浜FCに完全移籍し、23年8月に東京Vに期限付き移籍。J通算152試合20得点(J1通算106試合15得点)。右利き。家族は妻と2女。164センチ、60キロ。