SHINOBI | 空想俳人日記

SHINOBI

忍ぶれど 夢に出にけり 我が想い  



 弾正殿!!
 どうして、わしを5人のメンバーに加えてくださらんかった。割引符を頂いておいて、感謝の印はかたじけなかったが、いくら甲賀の里卍谷の民になったのが不本意とはいえ、なっちまったなら、それがさだめと思うぞよ。わしの雲隠れの術では人を欺いても人を殺すことが出来ぬからか。残念でならぬ。
 さだめは自分たちでつくると言いながらも、結局さだめに翻弄されるみなの衆と同様、わしも、甲賀の民になったことをさだめと思うことにしたのじゃから。なんせ、日本人に生まれたのもさだめだし、戦後60年と言われる今に生きておるのもさだめじゃ。
 残念と言えば、確かに、わしは、本当は伊賀の忍者になりたかった。何故なら、伊賀の影丸が好きじゃから。それに、朧を守る蛍火をさらに守る役がやりたかったと言えば、正直すぎるか。しかし、忍びは、戦うためには、敵だけでなく、見方も騙す、嘘もつかねばならぬ。嘘も方便、糞は大便。
 糞と言えば、陽炎じゃ。いくら、愛することイコール殺人とは言え、薬師寺天膳の自殺になぜ加担した。朧や弦之介の臭い芝居の中で、彼だけは不死身の如く、気を吐いておった。役者じゃのう。なのに、三角関係にひびいらせアンパン二つに豆三つもつけられず、それでは可愛いコックさんにもなれやせんぞ。
 だいたい弦之介慕うくらいなら夜叉丸を惚れなされ。あれ? 夜叉丸って伊賀じゃったっけ、甲賀じゃったっけ。
 ところでじゃ、朧と弦之介、ほんまに惚れあっていたのかのう。なんか、言葉尻ではそんなようなことを言っておったが、二人の愛に対して、泣けてもいいのに何故か泣けぬのじゃわい。「弦之介様と結ばれるのは、夢の中のみ・・・」何回も言う必要はないぞ、くどいし。
 そう、蛍火がひとえに朧を守ろうするのに比べても。だいたいからして、蛍火はやく死にすぎ。あれじゃあ、お幻さまもベッドの上で泣いていると思うぞ。わしが雲隠れの術で守っていればのう。そして、陽炎が弦之介を惚れるが故に愛の殺戮をしようとして成し遂げられず、同じさだめに身を焼くように天膳とともに果てるのに比べても。


 それらと比べても、どうも感情が震えてくれぬわい。弦之介が疲れておったせいかのう。そういやあ、「パッチギ!」に「オペレッタ狸御殿」「イン・ザ・プール」「メゾン・ド・ヒミコ」「スクラップ・ヘブン」「THE 有頂天ホテル」などに出て、忙しすぎるんじゃな。SHINOBIは偲びでもあろう。偲ぶれど色に出にけり我が恋は。色に出ておったのはお疲れじゃん、のようじゃった。
 ところで服部半蔵も何代目だって? 地に落ちたもんよのう。政治家さんも二代目や三代目はあかん、庶民の心が分かっておらん。
 ところで、冒頭のシーンはよかったのう。シーンが、かな。いや、違うわい、確かに美しい風景でござったが。ああ、そうじゃそうじゃ音楽じゃん。あれれ、「蝉しぐれ」の岩代太郎さんじゃ、あ~りませんか。ひっぱりだこじゃのう。なるほど、と納得した次第でごわす。
 弾正殿。なんか文句ばかりの弁舌になりもしたが、わしは、もともと白土三平の「サスケ」のファン。今回の映画で、三平氏の実写版「ワタリ」を思い起こし、こういう映画もないと、明日の忍びの世代が作られぬ、そう思ったのじゃ。
 弾正殿亡き後、目の見えぬ朧と脳味噌が足らぬ拙者が、新たな忍びの時代を築き、最良の子、サスケのような子を産み育てて見せるぞなもし。安心して成仏しなされ。合掌。