裸足の盗賊の終り | 白クマの妻は今

白クマの妻は今

外国の白クマを夫にしたら予想外のイケメン子グマが2匹も出てきた。どぉする?

夏の終わったシアトルは寒いです。
今朝は12度くらいしかなくて、雨。
一昨日の30度からの急転直下です。
午後には19度くらいまで上がるという予報になってますが、
どんなもんだかとクマ妻は思っています。

さて、今日の話題はローカル紙のトップ記事から。

と、言うか、このシアトルに引っ越した直後から
ネタにしたいと何度か思ったものの、
「タイミングはまだか?」
と、くすぶっていたネタ。

「裸足の盗賊、お縄に!」

日本語だったら、こんな見出しになるかもしれない。

長い話なのだ。
なんせ、長いのだ。
何がって、話題の期間が。

つまり、徹底的にダイジェスト版にするとこうだ。

シアトルからフェリーなどで行く、湾内の島々のひとつで、
次から次に泥棒騒ぎが起った。
これが、2008年の秋の事だ。

クマ妻も細かくは覚えていないのだが(なんせ件数が
半端なくて)工具店や食料品店に立て続けに泥棒が入った。
で、割とあっさり犯人は特定された。

それが、通称「裸足の盗賊(ベアフット・バンディット)」
コルトン・ハリス・ムーア、この頃なんと17歳、だった。

どこかに泥棒に入った際に、裸足の足跡を残して行ったとか
ペンキでメッセージを落書きして行ったとか、まあ、
そんな理由から「裸足の盗賊」というあだ名がついた。

地元ではこのガキ、小学生の頃から困りもので、
学校の事務所に潜り込んで、教師のコンピューターを
ハックしたり、火災報知器をならしたり、といったイタズラを
することですでに有名な存在だったらしい。
ヤク中の父親とアル中の母親というすばらしい環境で
むちゃくちゃに育ったらしく、7歳の頃には近所の家に
泥棒に入りまくり、食べ物から洋服まで盗んでは森で
何日も暮らす生活を繰り返し、矯正施設に何度もぶち込まれ、
2008年の秋にそういう場所のひとつから逃げた。

しかし、変なところは頭が良いのか、ど田舎の
連続窃盗事件だった話がどんどん大きくなっていく。

このガキ、メカに詳しいのだ。

次から次に車を盗んで乗り捨て、更にはポートも盗んで
乗り捨て、セスナを盗んでひとっ飛びして荒っぽい着陸で
小型飛行機を壊して乗り捨てたあたりから、
「おいおいおい・・・このガキ、際限ねえぞ」
ということに地元ではなってきて、シアトル界隈にも
その悪名は轟くことになった。

当然、地元警察は山や森に隠れているとされたガキを
狩り出そうというので、やっきになった。
警察犬を導入して大騒ぎになっていった。

それでもこのガキは捕まらなかったし、
iPodを持ち歩いて、今どきのネット世界に顔まで出した
このガキは一気に知名度を上げてファン(?)までできて
一般市民の声としては当然「早く捕まえろそんなガキ!」
のはずなのだが、アングラ・ネット社会では
「捕まるな!がんばれコルトン!」みたいな動きまで出た。

1年が過ぎてもこのガキは捕まらず、
そのうちに、なんせ飛行機や船を盗めるものだから、
よせば良いのに州外に逃げた。

アメリカではなんせ国土が広いもんだから、
税金から法律まで、州単位で決まっている事が多い。
検察局も同じことで、ひとつの州で事件を起こしているうちは
ローカル事件ということになるのだが、州を越えて事件を
起こすと、まさに一線を越えた状態となる。

また、厳密に言うと、窃盗の場合、盗んだものを
(例えば車とか)州外に持ち出すと、連邦警察が出て来る。

連邦検察局、つまりFBIである。

このガキはそのうち、オレゴン、アイダホ、ワイオミング、
サウス・ダコタ、ネブラスカ、アイオワ、イリノイ、
インディアナと、そっちこっちに痕跡を残しつつ移動。
ついに国境も越えてバハマに行ってしまいました。

もうこの時点ではFBIが1万ドルの賞金までかけてる。

しかし、バハマ警察を甘く見たのか、
「わたし、この子にビールを売ったと思うわ・・・」
という証言が出てから船泥棒が話題になり、
昨日朝、ドタバタ逃走劇に幕が降りた。

まだ19歳ですよ。

ちなみにこのバカ息子の母親が著名な弁護士と渡りを付けて
メディアを通じて息子にメッセージを送ったり、
この一連の事件を本にしたり映画化したりした場合用の
弁護士とまで話をしたりで有名になっているらしい。

ろくな母親ではない事は明らかである。

3年近い逃走犯の逮捕で、関係各者がため息をついている
のは、捕まえたのは良いものの、さて、どこで誰がどうやって
この若者を裁くのかという事だ。

なんせ、その窃盗たるや、「おそらく」このガキの仕業
ではないかと言われているだけで軽く100件を越えるのだ。
本人だって、一般家屋への侵入と盗みなんて全部を
覚えているわけがないと思う。

車やボートだけでも何台にもなるのに、
飛行機が5機だよ、5機。
しかも着陸が下手だから、どれもこれもダメにしちゃう。
飛行機は何千万円もするんだっつの。

だが、どういう経緯なのか、このガキは人を傷つけていない。
どの盗みも強盗じゃない。
怪我もさせてないし、殺人も犯していない。

運が良いのかもしれないし、気性がそんなに悪くは
ないのかもしれない。

逃走中のエピソード(?)のひとつに、
田舎町の動物病院に現金100ドルと手紙を置いて行った
ことがある。

「近くを通った。お金がすこし余ってるから置いてく。
動物達の為に使ってくれ。コルトン・ハリス・ムーア」

問題は、検察側がどれだけの事件について
このガキがやったという証拠を提示できるかにかかっている。

大体のところ、7年から15年の懲役ではないかという
見方があるらしいが、まったく見えない状態だ。

17歳から19歳まで逃走を続けた根性は見上げたものだが、
そういう根性と気力とアタマがあるならば、
なんでまともな道に進めなかったものかと思うわけで、
事実は小説よりも奇なりというローカルニュースでした。


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