「わたしってさ、のり君のおもちゃでなんか無いよね?」

「当たり前だろ。
 オレ、由香さんの事を、
 そんなふうに思った事なんて、一度も無いよ」

「でも、のり君は、わたしの事を、
 まるで、おもちゃのように扱おうとしている…」

「いや、そうじゃ無いんだよ。
 この前の時だってさ、由香さんはとても上手だから、
 オレだけ凄く気持ち良く成って、イッちゃったけど、
 由香さんは、ちっとも気持ち良さそうじゃ無かったしさ。
 オレ、何だか、すごく虚しかったんだよね。
 オレがイク時には、

 由香さんも一緒にイッて欲しかったんだよね。
 だからさ、オレが上手に出来ない分、
 おもちゃを使ってでもさ、
 由香さんにも気持ち良く成って欲しかったんだよね」

「わたしはね、のり君に、

 気持ち良く成って、イッて欲しかったの。
 だって、のり君はさ、1ヶ月半も入院してて、
 ずっと出来なかったんでしょ。
 もう、したくてしたくて、

 堪らなかったんじゃ、ないかと思ってさ」

「そりゃあ、その通りだったんだけれどさ…」

「だって、のり君だってさ、
 普段なら、いろんな事に気を使う人なのに、
 会ったら、いきなりキスをして来てさ、
 胸を揉んだりするんだからさ~。
 わたし、誰かに見られるんじゃないかと思って、
 ヒヤヒヤしたんだよ」

「いや、それは、悪かった…」

「だからね、早く出して、スッキリさせてあげなくちゃ、
 いけないのかな~って、思ったんだよね。
 だって、のり君、血走っている感じだったしね」

「ごめん」

「あのね、のり君の気持ちは分からなくも無いんだけれどさ、
 わたし、のり君が一緒にいてくれるだけで、
 すご~く幸せなんだよ。
 キスしてくれたり、体を撫でてくれたりするだけで、
 すご~く、イイ気持ちに成るんだよ。
 だからさ、そんなおもちゃを使ったりするの、
 わたしは嫌だな。
 いつものように、のり君が普通にしてくれるだけで、
 わたしは十分だよ。
 腰の事なら、そんなに慌てなくても大丈夫だよ。
 もう、歩ける様にも成ったんだしさ、
 その内に、腰だって自由に動かせるように成るよ」

「そうか、オレが悪かった」

「ねえ、そんな事よりもさ、どこかにご飯を食べに行かない?
 アレなら、帰って来てから、たっぷりとしてあげるからさ」

「わかった。
 由香さんは、何が食べたい?」

「そうね~、冷やし中華かな。
 のり君は、何か食べたいモノが有るの?」

「う~ん、オレは、お刺身系がイイかな」

「あっ、じゃあさ、ここの近くのお寿司屋さんにしない?
 割と安いんだけれどさ、けっこう美味しいんだよね」


ここのマンションは、おいらが選んだだけ有って、
生活をして行くのには、かなり利便が良い。

二人で、たっぷりとお寿司を頂いて、帰って来てから、
由香さんのリクエスト通りに、おもちゃは使わずに、
二人の秘め事は行われた。

やっぱりまだ、おいらの腰は役に立たなくて、
最後は、前回と同じように、由香さんにして貰った。

でも、由香さんも気にしていてくれたのだろうか?
前回の時よりも、由香さんは、ヨガってくれていた様に思う。

それとも、あれは、サービスだったのだろうか?


夜に成って、おいらが帰る時に、持って来たおもちゃを、
また持って帰ろうとすると、由香さんは言ったのだ。

「それ、のり君のお土産だよね?
 なら、ウチに置いて行ってよ」

「じゃあ、悪いんだけれど、コレ置いて行くわ」


もしかしたらだけれど、由香さんは、おもちゃの事に、
けっこう興味を持っているのかも知れない。

いや、分からんのですけれどね。
 

 

 

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