鏡の中に写るボク。、それは、キミのナカにいるボク。






 目の前にいるのは、笑いもしない
 人形のような、冷たい眼差しのキミ。

 ニッコリともしない、キミ。
 楽しいことの、ひとつ、でも、見つけてきなよ。

 と、ひと塗り、ひと塗り

 キミを彩っていく。
 
 ほんのりと、血色のいい、ファンデーション。
 やさしく、白いフワフワのやつで、パフパフ。

 春はまだ、ギリギリ残っているから
 少しだけ、濃いめに、サラサラとキミの頬を撫で
 桜色に染めてあげる。
 
 泣いてしまったからか、なんだか
 腫れぼったい瞼。
 泣いた痕なんて、隠してあげるから
 瞳閉じて、顔を上げてごらん?

 キミに、似合う、イロを
 重ね塗り。
 可愛く見えるように、キラキラ入ったパウダーもとんとん。

 仕上げにクリッと睫毛に
 キミが一番好きな、バーガンディ色のドレスを着せてあげよう。

 おまけに
 唇におまじないを、唱えて。

 真っ赤な紅に、クチヅケて。


 “今日も、可愛い、わたしの完成”
 

 瞳の奥が、輝いてるのが魅えるよ


 
 その、瞳で

 今夜は誰と、愛を重ねるの?





 やさしさに、包まれたい。

 ぬくもりを、感じながら、眠りにつきたい。

 せめて、今夜くらいは

 着飾ったままの、強がりな ワタシを
 抱き締めてほしい。


 満たさなくていい

 貴方とは、なんでも、はんぶんこ。がいい

 一緒にいても

 いなく、とも。 愛をちょうだい。

  わたしのナカの彩をあげるから、

        全部、貴方が飲み干して



 鏡の中に写る、ワタシごと。全部、あげるから


 
 👸